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時は2060年・・・3ヶ月前、バーチャリアリティ技術を応用し、一般家庭用に開発された仮想空間移行装置【バーチャルワールド】が販売された。それと同時にVRMMO【CrestOnline】が販売され、世界20カ国で6000万本という記録的な売り上げを残した。
もちろん俺─桐真も高校の友達と一緒に購入し、学校が終わると寝る間も惜しんでプレイした。
いや、俺だけじゃなく、世界中の誰もが夢中になっていた・・・。
キーンコーンカーンコーン
「桐真君」「桐真ー、今日どうする~?」
HRが終わるなり俺に話しかけきた奴が二人。学校でも指折りの美人である【亜夜】と、中学からの付き合いである【奈央弥】だ。
「ログインしたら、第四エリアに集合でいいんじゃないか?」「第四だな、他の連中にも言っとくぜ!」
言うが早いがダッシュで帰る奈央弥。もう少し落ち着いて行動しろよ、まったく。
「じゃあ後でね、桐真君」「お、おう」
そういって亜夜も返っていった。やっぱ可愛いな~~、って何考えてんだ俺。さっさと帰ってログインするか。
「ただいまー、ゲームしてくるーー」「桐真、ご飯は置いとくからね~」
基本的に家の親は適当だ。そう、テキトー。まあ色々口出しされないからいいんだけどな。
さっそく【バーチャルワールド】を装着し電源を入れ、【CrestOnline】をセットする。
段々と視界が狭くなり、完全にゲームの中へと意識が飛ばされた。
「よう、トーマ!早速行こうじゃねーか!」
第四エリアに着くとすぐに【奈央弥/ナオ】が急かしてくる。
「お前はもう少し落ち着けよ、脳筋ゴリラ。」「誰がゴリラだ!!」
「ふ、二人とも落ち着いて・・・」
ナオをゴリラ呼ばわりしたのが【竜希/リュウ】で、二人をなだめたのが【恵/ケイ】だ。
もちろん二人ともクラスの友達で、在庫とかの関係で俺やナオより一ヶ月遅れで始めたのに今はナオに追いつくくらい上手くなっている。
「じゃあ行くとするか、」「そういや今日はどこに行くんだ?」
「それを今から言うんだろ、脳筋ゴリラ」「だから誰がゴリラだ!!」
「今日は期間限定イベントをしようと思ってるんだ」「「イベント??」」
「なんでも、イベントでしか取れない特殊な【Crest】が出るらしいぞ」
「へぇ~、じゃあ何色になるのかな?」
「さぁ、俺達が第三エリアの黄色で、桐真は最前線の第四エリアの紫だから他にない色は・・・」
「蒼とかじゃないのか?公式情報ではそうだったような・・・」
この【CrestOnline】ではキャラクターごとに【Crest】即ち紋章が刻まれており、その色によって階級分けがされている。
【Crest】によって、自分が具現化した様々な武器の性能が変わり、デザインも自分好みに変更できるためこのゲームの人気に拍車を掛けている。
「まあとりあえず行こうぜ。世界中のプレイヤーが同じマップに入るんだから早めに行かないと」
そう言って俺はイベントエリアへの扉を開いた。