幽霊
このへんは東京でも田舎の方だから、そんなに賑やかな場所はない。
どちらかというとひっそり公園が佇んでいるような場所。そういうのうちは好きやねんけどな。
歩いて五分のスーパーで買い物すませて、荷物を持って帰り道を歩く。
なんかそのまま帰るんもつまんないと思い立って、好き勝手に歩いてたら変な場所に出てしまった。
実はうち、かなりの方向音痴で、中学三年生の時に校舎内で迷子になったことがある。
「ここ、どこ?」
周りに人気がなくて、急に怖くなってきた。あたりは街灯がポツポツとあるだけ。心細い。
このまま帰れへんようになったらどうしよう。さっき閉じ込めた涙が、もうすぐそこまで出かかってる。
泣くのを我慢しながらトボトボと歩いてたら、河原に人影が見えた。
一瞬本気で幽霊やと思って、咄嗟に身構える。戦って勝てる気はしてないけどな。
「だっ……誰、ですか?」
自分でも情けないくらい震えた声で聞くと、人影がこっちに向いて歩いてくる。
ヤバい。殺される!とかよく分からん発想になっていく。どうしよう、もうアカン!
「あのー、大丈夫?」
座り込んで顔の前に両手を突き出してると、聞いたことある、というか、つい最近聞いた声が聞こえた。
ゆっくり手をどけて顔を見てみると、同じクラス同じ委員会の南 翔太君が不思議そうに立っていた。
「しょっ…しょっ……しょうたぐーん」
後半はもう泣くの我慢出来んくて、声出してわんわん泣いた。
子供みたいで恥ずかしいけど、怖かってんもん。ホンマにホンマに怖くて、心細かった。
翔太くんが胸差出してくれて、頭まで撫でてきたから、余計に涙が出てきた。