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高校生活  作者: 黒猫
6/23

帰宅

「ただいまー」


 なんて言っても誰も返事をしないのは分かってる。

 分かってても、癖で言っちゃうねんからしょうがない。

 それにしても、まだ慣れへんなぁ、この感じ。

 ちょっと前までは、家に帰ったら絶対お母さんと妹がおったのに……。


 うちの家族は、去年の夏休み最後の日に崩壊した。

 宿題に追われてたうちは、母親からの呼出に多少イライラしながらリビングに行った。

 そしたら家族皆集合してて、妹は泣いてるわ、お兄ちゃんは難しい顔してるわ。

 お父さんは怒ってるわで、意味が分からんかった。

 離婚の原因は母親の浮気。実は、うちも薄々それには気づいてた。

 帰りが遅くなったり。急にオシャレ始めたり。

 でも、ホンマの事知るんが怖いから、見て見ぬふりしてた。

 その日に離婚届に判子押して、母親は妹を連れて家を出て行った。

 うちも付いて行きたかったけど、お金のこと考えると無理って分かってたしな。

 ホンマはうちだって……。


「あぁ、アカン」


 引っ越したアパートのドアも開けっ放しで、鞄を置いて玄関に座り込んだ。

 もう半年以上前やのに、思い出すと涙が出てくる。ほら、今も目の前が潤んでる。


「ヤバッ。洗濯物干しっぱなしやん!」


 誰に隠すわけでもないのに涙を拭いて、慌てて洗濯物を取り入れる。これが結構手馴れたもので。

 最初は、お父さんのパンツなんて絶対に触りたくなかったけど。まぁ、今でも嫌やけどな。

 制服着替えて、ハンガーにかける。まだまだ新品の制服は見るだけでテンションが上がる。

 それから洗濯物たたんでタンスになおして、晩ご飯作ろうと思って台所に立ったのは良いけど。


「この冷蔵庫はお茶しか入ってないんかい」


 一人ツッコミを入れて、深い溜息。今から買い物行って作るん面倒やな。

 でも、お父さんのご飯作ってあげやなアカンし。しょうがない。

 この辺のスーパーってどこが安いんやろ?

 とか考えながら財布持って、軽くパーカーを羽織って家を出た。

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