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高校生活  作者: 黒猫
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マック

 東京のマクドも見た目は変わらなかった。なんか同じやと安心する。向こうの事も思い出す。


「自己紹介まだだったよね? 高橋たかはし 優衣ゆいです。優衣って呼んでね」


 席に座ると同時に、黒髪の少女―優衣が自己紹介してくれた。

 そう言えば最初の自己紹介の時に、この人綺麗やなぁって見とれてたんを思い出した。


「あっ、笹本 千幸です。うちも千幸で。よろしくお願いします」


 敬語のままで自分も名乗って頭を下げる。タメで話したら関西弁もろ出んねんもん。

 だからって標準語に直すんはちょっと不自然やし。


「千幸ってイントネーション?ちょっと皆と違うよね。どこ出身?」


 聞かれると思ってたけど、やっぱり話し方おかしかったんかぁ。ちょっと気をつけててんけどな。


「奈良の田舎の方やってん。やから、関西弁。変やんな?」


 だんだん声がちっちゃくなって、俯き加減になっていく。多分顔も真っ赤になってるやろうな。

 ずっと奈良出身っていうのを打ち明けるんが怖かった。だって完全によそ者やん。

 それに、関西弁って怖いイメージあるんかもしれへんし。


「えー、なんで? 関西弁良いじゃん。私は好きだよ」


 ニコッと笑いかけてくれたのを見て、うちは確信した。この人は良い人や。

 っていうか個人的に好き。なんかちょっと憧れちゃったりもする。

 ありがとう、と礼を言ってうちも笑い返す。優衣の素敵スマイルには勝たれへんけどな。

 こっちに来てからの友達一号や。


 うちは、ポテトとジュースを、優衣はフルーリーとジュースを買って席に座る。

 当たり前やねんけど、どこでも味は変わらんねんなぁってちょっと安心。



「優衣は何部に入る予定なん? うちは中学もしてたからバドミントンにしようかなぁって思ってんねんけど」


 ふとこんな事を話題にしてみると、優衣は一瞬悲しそうな顔をした、気がする。

 一瞬すぎて、うちの気のせいかもしれへんけど。


「私は入るとしたら文化部かな。茶道部とか」


 優衣が着物着たら、きっと似合うんやろうなぁ。着物美人みたいな。絶対絵になるわ。


 そっからいっぱい喋って、笑って、ホンマに楽しかった。

 こっちに来てあんなに笑ったんは初めてや。

 そう言えば最近、あんまり笑ってなかったなぁ。

 お腹も気持ちもいっぱいになったところで、時計を見たらもうPM7時なってる事に気づいた。

 喋りすぎたなぁ。でも、誰も心配せえへんんから遅くなっても良いねんけど。


「じゃあ、また明日。バイバイ」

「今日はホンマにありがとう。バイバイ」


 マクドを出て、もう一度感謝を伝えてお別れする。

 家の方向は逆みたいやから、直ぐにバイバイ。


 最近、こういう時が一番苦手。

 メッチャ笑って騒いだ後、一人になって家に帰るん、なんか寂しい感じするやん。

 虚しいっていうか、まぁそんなん言うてもしゃーないねんけど。


 今日は一日長かった気がするなぁと思いながら、そのまま真っ直ぐ家に帰った。

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