初仕事
「あの、えっと……」
一生懸命皆に伝えようとすればするほど、上がって何も喋れなくなる。
人前で話すのが一番苦手なんや。うちが皆まとめやなアカンのに、どうしよう。
「みんな、笹岡さんが話してるから静かにしよーよ」
もうちょっとで泣きそうになったところで、誰かが大きい声で言ってくれた。
黒髪の綺麗な女の子がこっちを見て微笑んでる。
皆もその声聞いて話やめてくれた。後でお礼言っとかんな。
「委員決めます! やりたい委員ありますか?」
多少力みながら皆に問いかけて、順番に委員を決めていった。案外皆協力的でスムーズに決め終えた。
なんとか最初の仕事を成し遂げたうちは、教室に帰ってきた先生に報告する。
そういえばちゃんと決めれたんかな?と思って男子の方を見ると、ちゃんと全部の委員が決まっていた。
やっぱり翔太君は、まとめるん得意やねんなぁ。
「さっきはありがとう」
帰りのHRが終わってから、鞄を持って黒髪の女の子にお礼を言いに行った。
よく見れば見るほど、美人さんや。
可愛いっていうよりかは、カッコいいタイプ。女の子にもモテそう。
「ううん。すんなり決まって良かったね」
相変わらずの素敵な笑顔で話しかけてくれる。
うちはそれだけで良い人だ、って決めつけてしまう。悪い人には見えへんもん。
「そうだ。この後予定ある? なかったらマック寄っていこーよ」
誘われた事にも驚いたけど、マックって言ってるのが新鮮で面白かった。
やっぱり関東はマクドじゃなくてマックなんかぁ、って変なとこで感心したり。
「行く!」
うちは勢い良く返事して、二人で教室を出た。