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高校生活  作者: 黒猫
18/23


「これって失恋?」


 翔太くんが帰ってから放心状態やったうちは、何回もこの疑問を口にしていた。

 失恋って言うんかな?

 別に好きじゃないし、多分。勢いで変なこと口走って、断られて。

 あぁ、これが失恋と言うものか……。


「アホぉ」


 一言呟いて、うちは気持ちを切り替えることにした。

 いつまでもウダウダ言ってんのは、うちには似合わへん。

 あんなアホな男忘れて、青春を謳歌しよう!

 固い決意をして、その日は残りのお粥を食べて寝た。




 夢を見た。

 翔太くんと、誰か知らない女の人が喋ってる。

 多分、彩さんって人やと直ぐに分かった。女の人の顔は靄がかかって見えへん。

 泣きそうな翔太くんが、彩さんを見つめてる。


「ボケ、アホ。大バカヤロー」


 デジャヴってこういう事を言うんかな?

 ついさっき聞いた事、そのまま翔太くんは言う。

 きっとこの後はあの台詞を、さっき言った通りに言うんやろう。


「ごめん、好きだよ。大好きだった。だから……帰ってこいよぉ」


 ほら、やっぱり。デジャヴ。

 翔太くんは泣いてるけど、彩さんは何にも言わない。

 何も言わないまま、背を向けてどこかに帰っていく。

 それを見てるんが悲しくて、うちは思わず声をかけるけど、全然届かへん。


「うわぁぁん。うっ…・うっ、うぁぁ」


 子供みたいな泣き声にビックリして翔太くんを見ると、いつの間にか小さくなっていた。

 見た目が幼稚園児になってる。服装はさっきのままやから、ブカブカや。


「ごめんなさいー。あやまるから、あやまるがら……がえっでぎでよぉ」


 幼稚園児の翔太くんが、大声で泣いて謝ってる。

 何があったのかは分からないけど、こういうのを見てると、悲しくなる。

 でも、うちの声は届かんくて、体に触れることも出来んくて、何も出来ひん。


「ごっめぇんなっさ、い」


 しゃくりをあげて泣いてる姿は、本当に見てられなくて、うちは目を閉じて耳を塞いだ。

 早く夢が終わりますように、って祈りながら。


「……誰か、助けて」


 いきなり耳元で呟かれたところで、夢がやっと終わった。


「最後の声って、うちに助け求めてた?」


 自問自答するけど、ハッキリした答えがでやんくて、モヤモヤしたまま時計を見る。

 目覚ましがなる五分前やけど、もう起きとこか。


「変な夢やったなぁ」


 食パンを焼いてる間に、制服に着替える。

 昨日バタバタして寝たから、ちょっと部屋が散らかってる。

 ご飯食べたら、時間あるし掃除して行こ。

 それにしても、昨日の事が全部夢やったような気がする。


「全部夢やったら良かったのに」


 救急箱が出してあるのを見ると、昨日のことは全部ホンマやったんやって感じる。

 あれは夢じゃなくて、さっきの夢で。頭がこんがらがってくる。

 良いや、忘れよ。うちには関係のない事やし。

 そう自分に言い聞かせて、鞄を持って学校に行く。


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