其の六。
しばらく経つと夫の方の親族が控え室に来ました。
男性陣です。ご婦人方は式場でヘアセット中とか。
夫がホテルで拾って送って来たそうです。
「本当に助かった。雪が降ってたから。」
と感謝されました。
夫は会場に横付けして皆さんを下ろしたあと、ホテルに車を置きに戻ったそうですよ。
ピストン輸送ですか。
結婚式では飲んだりしますからね。車を置いてはおけません。
…路線バスで来ました。ご苦労様です。
そのまま着替えに行きました。
ご婦人方もヘアセットが終わってやって来られましたよ。
そこでカミングアウト。
「実は足を怪我してまして。こんな靴なんです。」
最初に言っておくに限ります。これならゆっくり牛歩のように動いても、ご案内ができなくても、ドレスの下から不恰好な幅広の紐靴が覗いていても、免罪符になるってものです。
皆さん洋装で、おしゃれなパンプスをお召しです。
いいなあ。
「え、怪我?今?そうなの?」
はい、今ライブナウな状態でございますよ。
そんな四方山話をしているとスマホにLINEが来ます。
ん?私の親族も一組はホテルについたと連絡が。
もう一組…飛行機が遅れた方は??
おやおや。LINEがきましたよ。
『羽田に着きましたが駐機場への案内がありません。
中で待機です。
飛行機から降りられません。』
…なんですって?恐るべき雪め!
羽田をアタックしやがって!
その後、
『やっと飛行機から降りられました。』
『今電車です。』
『乗り換えの電車を待っています。』
と連絡がパラパラと来ます。
こちらに近づいて来たのはわかりました。
しかし親族紹介の時間は刻々と近づいて参ります。
私の心はキリキリ舞いでございますよ。
雪の馬鹿たれ。
そしてとうとう。
『途中で電車を降りた!タクシーで向かってます!』
嗚呼。何ということでしょう!色々無理をさせてしまったね!
コンコン。ドアを叩く音がします。
着いたか?
…いいえ。式場のスタッフでした。
「こちらの控え室へどうぞ。」
今までいたのは本当に椅子と真四角の小さなテーブルがある場所でした。
案内されていくと、広々とした空間にソファが幾つもありました。
そしてドリンクやらお菓子が用意されています。
とりあえず喉を潤します。
ふうっ。
…さて受付をしてくださる娘のお友達にご挨拶をして、お礼を渡します。
新婦は渡す暇がないですからね。
そうこうしているうちに、
「ご両親はこちらに。式のリハーサルがありますから。」
スタッフに導かれてチャペルへと参ります。
おお!ウェディングドレス姿のわが娘と対面!
感無量です。
衣装選びにも何度か付き合いました。
(その時のは採用されてなかった)
アクセもリクエストされていくつか作りました。
一緒に浅草橋のパーツ屋までいったんです。
そこでこんなのも、いいね、あんなのもいいねと2人で選んだのも楽しかった。
それで素人の手作りで挑んだわけです。アクセ作りは趣味なんですよ。
(長さのお直しをしたり、ダメだしもされたけど。)
貸衣装屋での高額なアクセのレンタルは
『母が作ります。』
『あら、まあ、素晴らしい。』とやり取りで断りました。
色んな想いが込み上げて来ます。
綺麗な花嫁姿です。ジーンとします。
ただ、本当に良かった。無事この日を迎えられて。
これだけしかありません。
このヘアアクセは採用されました。
プロが綺麗にフィッティングしてくれたみたいですね。美しくライトに煌めきます。
見ると雪は小降りになっています。うれしい!
だか、一瞬チャペルの外に出ることに。
ここで親族が入ってきてからの入場があるわけです。
寒いよう。
スタッフの人の指示があります。
「ドアが開きましたら一礼してください。その時の並びはドレスの分だけ新婦様は下がってくださいね。
ご両親はこのタイルを目安にお願いします。」
はあ。覚えてられるかな。
「また本番でもお伝えしますから。」
お願いします!
「ここで新婦様が中腰になって。お母様がベールダウンをお願いします。
新婦様の体制はおツライので、ベールを下ろしたら、直ぐお母様が新婦様のお手をとって引き上げてください。」
は、はい。
持ち上げるとき足に負担がかかるな…と思ったら、娘が自分ですっとスクワットのように戻ってくれました。
(本番の時も。)
…ありがとう。助かったよ。
リハーサルは続きます。




