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第19話 里の泉 8/9
静かな夕暮れの泉にたどり着いた。
丘から湧き出た水が、眺めのよい場所に溜まったものだった。
学校のグランドくらいの広さ。
多くの病んだ者たちが水辺に腰掛け、泉の水でぬらした布を傷に当てていた。
ほとんどの者は全身の肌に炎症が広がり、健康な肌は探しても見つからない状態だった。
まぶたさえも外皮がはげ、血とも汁とも涙ともつかない液体がにじみ続けている。
炎症が骨を冒し、手の指がなくなっている者もいる。
女王ユリはそんな人たちの一人一人に優しい言葉をかけ、炎症を起こしている肌に手を触れて、目をつぶり、呪文を唱えた。
見た目の症状は激烈な人が多かったが、女王に触れられた人々の表情は、みな、和やかだった。
やっとここにたどり着き、泉の水と女王ユリの心に触れて、安らぎを得ていた。
「もしよかったら……」
一通り言葉をかけ終えた女王ユリは、タクヤたちに微笑んで言った。
「泉につかってみてはどうかしら」




