表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/226

第19話 里の泉 3/9

 ユリは言葉を失った。


「あなたが……」

「そうです、私がユリです」


 女王ユリは静かに頷いた。

 タクヤは何が起こったのか理解できず、ポル爺に問いかけるように振り返った。しかしポル爺も混乱しているらしく「ワシもしらんぞ」と首を振った。


 周囲の龍人たちは、静かにたたずみ、ことの成りゆきを見守っていた。


「まず、私たちだけで話し合った方がよさそうね。私とあなたで。ね、ユリさん」


 女王は、タクヤたちと共にいる女性が『ユリ』であることを知っていた。


「いゃぁ、そうかのう」とポル爺が話に割って入った。「ま、若いもんはともかく、ワシはいっしょに話しといた方がいいと思うぞ。知識も知恵もあるし。こいつらには、ワシからあとで話をするってことどうかな?」


 その提案に、こちらのユリは冷静に首を振った。


「ありがとう、ポルさん。でも、ごめんなさい。これは、たぶん、私たちの話だと思うの」


 女王ユリも頷いた。 


「そうです。みなさんはここでお待ちになっていてください。すぐにお茶が届くと思います。ユリさんは、どうぞ、こちらへ」

「はい……」


「まって」


 と、ミルシードが言った。


「二人でしっぽり話をするのもいいけど、この状況がどういうことなのか、ちゃんと説明してからにしていただきたいわね」


 女王ユリが小首を傾げた。


「あなたは?」

「ミルシード・エス・ラ・カリシア」

「ああ、カリシア家のお嬢さん」

「知ってるの?」

「それは、よく」

「悪いけど、私はあなたのことは知りません」

「そんなことはないはずよ。何度か王宮でお会いしています」


 ミルシードは、ありえない、と言いたげに首を振った。


「はあ? あなた、今、王宮って言った?」

「私は、祈り師です」


 それを聞いたタクヤは、女王をまじまじと見た。


「おい、何だよ、それ、どういうことだよ」


 うろたえるタクヤをよそに、ミルシードは仲間のユリをにらみつけた。


「あんた、知ってたわね?」

「はい。でも、会うのは、本当に初めてです」

「あとで全部教えなさいよ。隠しごとなんてしたら、私のこの銃が、黙っちゃいないわ」


 右手の人差し指と親指を立てたミルシードの子供っぽいしぐさに、ユリは笑みを浮かべてうなずいた。


「はい。ここはよい里のようです。先にくつろいでいてください。私も少し話をしたらすぐにもどります」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ