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第18話 荒野 3/5
ひとしきり走って、渓谷の入り口まで来ると小休止となった。
30人ほどの男達が、馬をおりて、水筒から水を飲んだ。
御者はバックから古ぼけた水筒を取り出しタクヤに投げた。
「これからもっと気温が上がる、みんなで飲んどけ」
男子と女子で水筒をわける、というルールは彼らにはないらしい。
しかたなくミルシードから口をつける。
リーダーがやってきて、タクヤに声をかけた。
「おまえが王子か」
「そうだよ。もうかくしてもしかたがないんだろ」
「名前は?」
「タクヤ」
「そうか。タクヤ、これからの行程を簡単に伝えておく。あそこに見えるのはスプロス山だ。その左手にむかう、しばらくは峡谷を突っ切る。そのあと、高温の砂漠になるが、砂嵐がこなければ長い道のりじゃない。夕方には目的地に着くはずだ」
「目的地ってのは、何なんですか」
「自分で見ればわかる。ところで、ずっと馬車ではきついだろ。おまえら、馬には乗れるか?」
乗ったことないよ、と、タクヤが答える前に、ゼンがすぐさま答えた。
「乗れないわけないだろう。全員王室の関係者だぜ」
ウソを大声で。
「なら、次のポイントで馬を用意させる。それまではこのオンボロを楽しみな」




