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第13話 薬の記憶 4/5

 タクヤは、あの状況を、自分の外から俯瞰ふかんしていたような気がした。

 自分の身体がどうされるのか。

 

 そして、あの部屋の、明るく乾いた気配をはっきりと記憶していた。

 残酷な場だった。

 祈祷を受けるものか、祈祷をするもの、どちらかが必ず死ぬ。

 しかし、誰もがその行為を”受け入れて”いた。


 自分も、受け入れなくちゃいけないのかな。

 もし、誰かがやらなければならないことならば、自分がやるのはかまわない。

 しかし、そんなことを僕にして、何がうれしいのか。

 なんでこんなことになってしまうのか。


 もっと、笑顔で王子になりたい。

 自由で、自然に。

 もし、ならなきゃいけないなら、そうありたいのに。



  ◆ ◆ ◆



 どれだけ時間がたったのだろう。

 微かに空調が響くだけのシンとした部屋。

 冷たく白いベッド。

 無臭の乾いた空気。


 身体に刻まれた事実を思いだしたからだろうか、タクヤの聖印が刻まれた足が裏側からうずき始めていた。

 身体に刻まれてしまった事実からは逃げられない。

 ユリの祈りを何回か受けたが、事態の深刻さを思い知らされるばかり。


 ふと、タクヤは昔読んだ小説を思い出した。

 生まれ変わって王子になって、なんでもできてしまうやつ。

 戦っても最強、女子に注目されまくって、仲間からも完璧に信頼される。

 嘘っぽさたっぷりの設定だったけれど、なんだか楽しかった。


 タクヤは、心と身体の痛みをかかえて寝返りを打った。

 現実の王子って……なんて無力なんだ……

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