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第13話 薬の記憶 1/5
19時すぎに小型船が港にたどり着いた。
北の地の夏は、まだ空が明るい。
白夜ではなかったが、完全に暗くなるまではまだ数時間ありそうだった。
桟橋に男達がいた。
30人ほど。
そのほとんどは小さな漁港には不釣り合いなスーツ姿。
タクヤは苦笑した。
「あれ、うちの国の人たちっぽいね。迎えに来てくれたのかな。なんか、恥ずかしい。ほかに行かない?」
するとポルプーレが断じた。
「逃げるな、船をあそこに着けろ。どうせ逃げられやせん、今はつかまってやる。しかし、いずれスキを見て脱走するぞ、いいな、タクヤ」
「はあ?」
タクヤは、なにいきがってんのこのじいさん、と言いたげな眼差しでポルプーレをにらんだ。
ユリは言った。
「ここから護送していただけるなら、その方がいいと私は思いますが」
「甘い。甘すぎる。あんなのに護送されて、それでワシらの旅が成立するとでも? 冗談じゃない」
「あのさぁ、僕たちはじいさんのお楽しみのために旅しているわけではないんだけど」
不満をのべるタクヤ。
しかしプレポールは、腕を組んで、タクヤをにらみつけた。
「まずは美味い飯を食いに行く。それだけはゆずれん。お高くとまったのじゃなくて、この街のワイルドな肉料理をな。直火で外はカリカリ、中は肉汁したたるピンク色。たまらん。おい、タクヤ、耳をかせ」




