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第9話 出立 2/3


 ライン特佐が改めて皆に説明した。


「これから小型船で沖にむかい、沖に停泊している我が軍の高速船に乗り換えます。マーサ連邦の港湾都市まで、およそ2日の旅となります。連邦に入ったのちは空路になるでしょう。もちろん我が国から直接空路でいければ早いのですが、今、空港は閉鎖中です。和が国の問題とはべつに、砂漠地帯で紛争が再発、民間機が撃ち落とされる事件が起きています。やはり現状の国際情勢を考慮すると、高速船での移動が安全と考えられます」


 タクヤは聞きながら”また話長い”と思った。

 まあ、それはしかたがない、軍とか役所の人って、たぶんみんなそんな感じだろう。


「そして今回は、私、ラインが、みなさんと同行させていただきます」


 タクヤは、いちおう王子らしくうなずきを返した。

 最初に会ったときから、タクヤは、この真面目な男に対して、違和感を感じていた。悪い人ではないのはわかる。怪我した人たちへの対応も真剣だった。しかし、同行して親しくなれるタイプではない……


 全員が小型船に乗り込むと、ロープが外され、エンジンが唸った。

 滑るように水路を進む。

 水路は「滑るように」快適だった。

 しかし水路から海に出ると、いきなり波を受け始めた。

 

 まもなくユリが「ごめんなさい、もう無理、ゆっくりお願いします!」と悲痛な声で懇願した。

 船はスピードを半分ほどに緩めたが、それで揺れがおさまるというものでもない。

 ユリは床にうずくまった。


 そんなユリを気づかいつつ、タクヤは、ふと近くの海中に黒い固まりがあることに気がついた。

 イルカだった。

 そのイルカは、近づいてくると顔を出して、早口で言った。


《何してんだ? は?》


 タクヤが応える前に、やつは水に沈んだ。


 そのとき、ユリが走ってきた。一瞬、タクヤは、シロに気づいたユリが喜んで出てきたのか、と思った。

 イルカもそうだった。

 ちらっと視界に入ったユリの姿に喜んだシロが上体をもたげた。

 ちょうどそのとき、海に向けて吐き出したユリの嘔吐物が、つるつるの顔を直撃した。


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