第8話 ハワイとイルカ 4/6
ライン特佐の話を聞き終えたタクヤは、ラインが出ていくとすぐに
「はい、集合!」
と教会に声を響かせた。
「どこにいるの?」
と、ユリの声が響いた。
「聖堂にいる」
「わかりましたー」
「私も?」
とハワイの声。
「いや、ハワイさんはどっちでもいい」
「どっちでもいいってなんやねん」
「教会の聖堂でつっこみ入れると、めっちゃ響くね」
「あほか、そういう問題じゃなくて、私はどうするの?」
「忙しいならそっち優先で。旅の話だから、ハワイさんは来られないでしょ?」
「旅? なにのどかなことやってんねん」
「王のところに行けって」
「ああ、そういう。じゃあ私はすぐにはムリ。洗濯でもしてるわ」
スーサ教の祭壇の前に三人がそろうと、さっそくユリが質問した。
「王のところに行くのですか?」
「そうしろって。王宮はこんなだし、むこうには海上王宮の船が行ってるらしい」
「マンスフィールド号ですね」
「知ってるの?」
「この国で知らない者はいません」
ユリが断じる。
ゼンも付け足した。
「スーサリアの海上王宮のことは、世界でもたいがい知ってるな。有名なんだ」
「ちっ、知らないのは僕だけかよ。なに、その海上王宮って?」
「とても美しい大型の客船。スーサリア賞という世界的な賞の授与式で有名です。あとは、王が他国に長期滞在するときに利用されていますね」
「贅沢な感じ?」
「贅沢と言えば贅沢ですが、王宮そのものが移動できること、そしてベルベスの生産を船内で行えることが重要みたいですね」
「出張料理屋か?」
「案外、近いのかも……」
「で、どうやって行くんだ?」
ゼンのまっすぐな問い。
タクヤは首を傾げながら答えた。
「あの人が言うには、今は飛行機は控えて、船で行くべき、って。軍の高速船があるらしい」
「確かに、直近で紛争が始まっているからな。先週は民間機が撃ち落とされた」
「え、スーサリアって平和国家じゃなかったの?」
「うちじゃない。紛争が起きているのは東の砂漠地帯だが、空が危険ということは同意する」
「へー。で、可能なら今日の午後には出発したいらしい」
「おいおい、それは急だな」
「まあ、ゼンは他にやることなさそうだからついてくるとして、ユリはどうする?」
タクヤの問いに、ユリはキッパリと答えた。
「私は、あなたの症状に祈りを続けなくてはいけません。同行したいです。ただ、いちおう父に相談を」
「わかった。じゃあ、すぐに診療所に戻ろう。そこで改めて相談な」




