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第8話 ハワイとイルカ 3/6

 タクヤが『関係者以外立ち入り禁止』の小部屋に入ると、そこに一人だけいた軍人は、さっとイスから立ち上がって敬礼した。


「おはようございます。タクヤ様、海軍一等特佐のラインであります」


 いっさい表情をくずさない鋼のような姿勢。

 だからこそ、その裏にさまざまな情が渦巻いているのが暗にタクヤに伝わってくる。 


「すでに暴徒は排除しました。お怪我などはございませんでしたか?」

「怪我か……」

「なにかございましたか?」

 

 タクヤは、ふと、この真面目ぶった軍人を困らせてみたくなった。

 はいていたズボンを下げた。

 そして右足の裏側に広がる異様な紋様を見せた。


「見てよ。これは怪我かな?」

「これは……」

「知っているんでしょ?」

「身体に異様な紋様が現れる症状については、この国では、おそらく知らない者はいないと思います、が、実際に見ることはまれです」

「これが出たら、死ぬって本当?」


 あまりにもストレートな質問に、ライン特佐の言葉が詰まった。


「いえ……」


 タクヤは苦笑した。


「かくさなくていいですよ。なにもかくさなくていい。僕は、あのときと同じなんだ。あなたと初めて会ったとき。あのときも、急がないといろんな人が死んでしまうってギリギリの状況だったけど、今は、僕自身がやばい。だから、僕のことをよけいにたてまつったり、めんどうな敬語とかつかったり、しないでほしいわけ。いわば、僕とあなたって、戦友でしょ? そういう信頼って、間違っているかな?」

「タクヤ様、もったいないお言葉でございます」

「だ・か・ら、そういうのやめてって言ってるの。わからないかな。僕はあなたのことを信頼する。あなたの真摯な行動は、ちゃんとこの目で見た」

「わかりました。でも、ひとことだけ。このたびの王子からの信頼、身に余るほどの光栄。厚い感謝と共に、命をかけて任務に邁進することを誓います」

「ありがとう。で、なんすか?」 

「タクヤ様、すぐに旅立ちのご用意を」

「……はあ?」

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