第4話 夕日 1/4
ヘリコプターでやってきた軍の医療チーム。
庭園の一角に着陸したヘリから、数名の白衣の男が飛び降りて、小型の医療用コンテナを次々に下ろした。
ヘリは荷をおろし終えると飛び立った。
続けざまに別のヘリが到着し、そこからは医療スタッフと共に、軍服を着た将校も下りてきた。
その男が、白衣姿で怪我人に向きあっていたタクヤにむかって、走り寄ってきた。
「タクヤ様ですね、このたびは、ご無事で何よりです」
「自分? まあ、おかげさまで」
「私は海軍特佐ラインです。さっそくですが、この庭園に、医療施設の仮設許可をいただきたく存じます」
「僕が許可を?」
「王子直々の許可があればすぐに設置可能です」
「なに言ってるの? 許可っていうか、逆にこちらからお願いしますよ。みんな本当に大変なんだから」
「承知いたしました。あわせて、この非常時に鑑み、緊急車両の立ち入りに支障のある城壁の一部破壊に関する特別許可も」
「もう、いいよ! 僕の許可が必要なことは、全部、許可したことにしていいから。細かいこと言っている場合じゃないんだって」
「申し訳ございません。突然なことに、法務の対応が遅れたこと、心からおわび申し上げます。只今から全力の対応をさせていただくことを誓わせていただきます」
タクヤはイラッとした。
「あんた話長い。そんな態度だから遅れたんじゃないの?」
「いえ……」
「説明はいい。とにかく、来てくれてありがとう。さっそくヘリで重傷者を搬送できないかな。運ぶのは僕も手伝うから」
「タクヤ王子がそのようなことをなさらなくても……」
「あのさぁ、そんなこと言ってる場合じゃないんだって。頼むから、みんなでベストをつくそうよ。もう祈りに頼ってる場合じゃないんだ」
「わかりました。怪我人は?」
「そこ。診療所の中」
「では、急ぎましょう」
複数のヘリにより、重症患者と医薬品の輸送が始まった。
まもなく海から軍の輸送船も到着し、庭園の中に仮説診療所や、食事を供するテントなどが設置された。
午後になると、瓦礫が撤去された道から、ようやく緊急車両や工事作業車が入城してきた。




