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第24話 デルフィーニ王 2/4
黒いリムジン車が、桜色の照明を受けた巨大な船体の横に来る。
所定の位置で停車した。
そして浮き上がった。
あらかじめマシーンから説明があったので不思議に思うことはなかったが、タクヤたちにとっては初めてのベルベスの浮遊体験だった。
リムジン車は音もなく上昇を続けて、船の艦橋のあたりに引きこまれた。
車が着地したところは、すでに王の間に近いベランダだった。
背の高いスラリとしたドレスの女性たちがやってきて、タクヤたちを車から室内にみちびいた。
王の側近たる美女たち。
ハワイさんもその一人だったんだよな、とタクヤは思い出す。
かすかに空調の音が聞こえるだけの、間接照明の広い部屋、ベージュの豪華なソファ。
タクヤは、洗面所を見つけて、顔を洗った。
歯もみがきたいと思ったが、歯磨きセットはなく、気がきかないな、とグチを口にした。
王に会うんだから歯磨きくらいさせろよ、って、べつにいいか。
キスするわけじゃないんだから。
いや、もしかして、するか?
わが国の公式なあいさつって、どういうんだっけ?
足の運びとか、頭を下げるタイミングとか、いろいろきまってるやつ?
んなもん、しるか!




