表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/226

第22話 交渉 4/4

 多数のヘリコプターの地響きのような音が聞こえてきた。

 みなが基地から砂漠に出ると、ツーコアは別れを告げた。


「オレは残る、外に戻れる身体じゃない」 


 それを聞いたポル爺は、ツーコアの胸を軽く叩き、握手した。


「一回、本気でやりあいたかったの」

「歳なんだ、ムチャするな」

「ワシだってムチャはしたくないが、させられるのならしかたがないの」

「また会おう。私も、カテナ村には興味がある」

「おまえたちも、もっといい泉が見つかるといいの」

「心配ない。女王ユリがいれば」

「女王だって若くないんだ。あまり無茶言うなよ」

「そうだな」


 

「ツーコア、ありがとう。なんか、たくましくてかっこよかった」


 タクヤが言うと、普段は笑うことのない戦士の顔が緩んだ。

 女子二人も別れの言葉を継げた。


「貴重な経験だった、あと、テゥーリによろしく」

「ねえ、ミルさんたら、テゥーリ・ラブなんですよ」

「そんなことあるかっ」


 二人の女子は、少しふざけつつも、ツーコアの左右からしっかりと抱きついた。

 たくましい腕が、その二人の肩をなでた。


「元気でね、ツーコア」

「いろいろありがとうございます、会えて嬉しかった」


 ツーコアは言葉を返すことはなく、女子と離れ、数歩下がると、ここで初めて軍隊式の敬礼をした。

 両足をバッと音をたててそろえ、片手を一瞬で顔の上に整える。

 無駄な動きのない敬礼。


 説明は不要だった。

 そこにツーコアの過去が表出していた。

 


  ◆ ◆ ◆



 軍のヘリ部隊が頭上にやってきた。

 砂の舞う砂漠で一斉着陸は無理だったので、砂塵の少なそうな丘を探して、大型の一機が先に着陸した。

 他機が空から見守る中、着陸したヘリから、将校や警備スタッフが降りてきた。


 タクヤはその将校の制服に、見覚えがあった。

 遠くから、しかも砂ぼこりで霞む中でも、すぐにわかった。


 海軍特佐ライン


 ラインさん……ここは海じゃないけど、やっぱり来るんだ……来るよね……

 王宮の惨劇のときは、本当に世話になった。

 でも、わるいけど、もう遅いよ。

 ユリの唇は、奪われている。

 しかも二人だけの通信装置まで手に入れた。

 もちろん祈り師という立場上、治療に差しつかえることは控えなくてはならないけれど、それさえクリアになったら……




「ほら、タクヤ、行こう!」


 希望に充ちた声でさしのべられた手。

 その手が、強く生きる自称婚約者からのものだったことは言うまでもない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ