第22話 交渉 4/4
多数のヘリコプターの地響きのような音が聞こえてきた。
みなが基地から砂漠に出ると、ツーコアは別れを告げた。
「オレは残る、外に戻れる身体じゃない」
それを聞いたポル爺は、ツーコアの胸を軽く叩き、握手した。
「一回、本気でやりあいたかったの」
「歳なんだ、ムチャするな」
「ワシだってムチャはしたくないが、させられるのならしかたがないの」
「また会おう。私も、カテナ村には興味がある」
「おまえたちも、もっといい泉が見つかるといいの」
「心配ない。女王ユリがいれば」
「女王だって若くないんだ。あまり無茶言うなよ」
「そうだな」
「ツーコア、ありがとう。なんか、たくましくてかっこよかった」
タクヤが言うと、普段は笑うことのない戦士の顔が緩んだ。
女子二人も別れの言葉を継げた。
「貴重な経験だった、あと、テゥーリによろしく」
「ねえ、ミルさんたら、テゥーリ・ラブなんですよ」
「そんなことあるかっ」
二人の女子は、少しふざけつつも、ツーコアの左右からしっかりと抱きついた。
たくましい腕が、その二人の肩をなでた。
「元気でね、ツーコア」
「いろいろありがとうございます、会えて嬉しかった」
ツーコアは言葉を返すことはなく、女子と離れ、数歩下がると、ここで初めて軍隊式の敬礼をした。
両足をバッと音をたててそろえ、片手を一瞬で顔の上に整える。
無駄な動きのない敬礼。
説明は不要だった。
そこにツーコアの過去が表出していた。
◆ ◆ ◆
軍のヘリ部隊が頭上にやってきた。
砂の舞う砂漠で一斉着陸は無理だったので、砂塵の少なそうな丘を探して、大型の一機が先に着陸した。
他機が空から見守る中、着陸したヘリから、将校や警備スタッフが降りてきた。
タクヤはその将校の制服に、見覚えがあった。
遠くから、しかも砂ぼこりで霞む中でも、すぐにわかった。
海軍特佐ライン
ラインさん……ここは海じゃないけど、やっぱり来るんだ……来るよね……
王宮の惨劇のときは、本当に世話になった。
でも、わるいけど、もう遅いよ。
ユリの唇は、奪われている。
しかも二人だけの通信装置まで手に入れた。
もちろん祈り師という立場上、治療に差しつかえることは控えなくてはならないけれど、それさえクリアになったら……
「ほら、タクヤ、行こう!」
希望に充ちた声でさしのべられた手。
その手が、強く生きる自称婚約者からのものだったことは言うまでもない。




