第21話 空爆 3/7
「やってくれたわね」
立ちつくしたミルシードは、ゼンにつぶやいた。
「攻撃が来ることは予想できたが、泉を壊されるとはさすがにショックだ」
「代わりってあるの?」
「ないだろうな。あれこそが、この里の存在意義だった」
「そうでもないさ」
と横からポル爺。
「地下水路がある。水さえあれば、生きていける」
「生きてはいけても、でも、この里の存在意義は?」
ミルシードの疑問に、龍人の一人が答えた。
「この里の存在意義は、女王ユリだ。あの方が健在である限り、我々は屈したりしない」
「屈する? そういう問題かしら」
「我々は、砂漠のある場所に、通信基地を作ってきた。世界に向けて情報発信できるように」
「あら、しっかりしてるのね」
「いずれこうなることは覚悟していた。重要なのは情報だ」
「情報が伝わることで、世界が変わるといいわね」
「むりじゃ、そんなのむりむり」
ポル爺があっさりと否定した。
「真実が伝わることは困る、と昔の人は考えたものだが、いまはもう、答えは出ているんじゃよ。たいがいの人は、真実なんて、興味ない。理解も、判断もできない。ただ、巨大マスコミが伝えてくれること、それが、人々にとっての真実なんじゃ」
老人らしい達観。
龍人は抗った。
「だとしても、真実を伝える穴が、この世界に存在することは、無意味ではないはずだ」
「おまえたちは、そんなことのために命をかけるというのか」
「そうだ」
ポル爺は、ふっと身構えると、龍人の胸を手でついた。
すると龍人の巨体が後ろに跳ばされた。
「いいか、おまえたちは、目的のために生きているんじゃない。今生きる喜びを感じるために、祈りを受けたのだろうが。誰かのせいにするのもたいがいにしろ。おまえが、生きろ。おまえ自身が生きろ」
跳ばされた龍人が立ち上がって聞いた。
「おまえ、名は?」
「ポル爺で通っておる」
「強いな」
「そんなことはない。あいたたたた、膝が、いつものやつがっ。どんなに強くても、歳には勝てん」
ミルシードは苦笑して、老人の頭を軽く叩いた。
「むちゃすんな」




