47話.クラス対抗戦開幕
クラス内順位争奪戦が各クラス終了し、クラス対抗戦が開幕する事となった。
クラス対抗戦は総当たり戦となり、A組からF組までの合計6クラスがそれぞれ計5回戦う事になる。
「この白板に勝敗を記入していく。勝ちは☆、負けは×でな。☆が多い上位三クラスが、学年対抗戦の代表となる。気張れよお前ら!」
「「「「「はいっ!!」」」」」
各クラスの代表チームが集まっている各闘技場の中央地。
ヴァルハラの医療チームも集まっており、対応は万全だ。
いくら死なないとはいえ、怪我はするし四肢が欠損する事だって普通にあるからね。
3つの闘技場にそれぞれ、A組とB組、C組とD組、E組とF組とで別れる。
烈火と紅葉さん、ゼウスさんとティナさんのA組と、美樹也と美鈴さん、竜に旋風さんのB組がいきなりの戦いである。
5戦中の結果で学年対抗戦のメンバーが決まる。
午前で一戦、午後で一戦を水、木、金の三日間かけて行う。
そしてここは競技場でなく闘技場なので、観客席がある。
クラスの皆はそれぞれの戦いの闘技場へ応援に行くのだ。
俺達E組は午前にF組、午後にA組と戦う事になる。
F組には悪いけれど、午後が本番だ。
「それでは、はじめっ!」
審判の声と共に、一回戦目が始まる。
「『ダブルキャスト』『パワーエンハンス』『スピードエンハンス』、アイン、剛毅! 前衛二人を抑えろ!」
「「了解っ!」」
「「なっ!?」」
対応が遅い、ノロノロしていたらリーシャさんを防げないよ!
「そこっ! 『エア・ブレイド』」
「うそっ!? この距離を!? かはっ……!!」
「きゃぁぁぁっ!!」
後衛の二人はリーシャさんによって一撃で倒れる。
うちのクラスのメンバーなら、もうこんな簡単にはいかないけどね。
「リーシャ、囲え」
「了解」
「「!?」」
「隙ありだ。『ダブルキャスト』『パワーロウダウン』『スピードロウダウン』」
「ぐぁっ……からだが、おも、い……!?」
「なんだ、これ……デバフ、の効果量じゃ、ねぇ……!?」
「前後に挟まれて不安になったね? それじゃ防げない。降参するなら、ここで止めるけど」
「「っ!?」」
「「「……」」」
「「……まいり、ました」」
「勝者E組、『榊チーム』!」
「「「「「ワァァァァァァっ!!」」」」」
「流石ですわ榊様ーーー!!」
「うおぉぉっ! やっぱすげぇよ! 流石俺達の代表だぜっ!」
「鮮やかな手並み。水無瀬君やアイン君、リーシャ様も当然凄いけど……」
「榊のバフデバフのタイミング、それから指示の上手さ……光ってるぜ……!」
おー、クラス対抗戦、始まったばかりだけど凄い盛り上がりだな。
「お疲れ様皆。言ったらあれだけど、余裕だったわね」
「まだクラスメイトのチームの方が厄介だったかな? まぁ何回も戦ってるからだと思うけど」
「そう、だな」
「あはは。皆はこの後すぐでも大丈夫そうだね」
「「「勿論」」」
凄く良い笑顔でそう言う皆に、俺も笑ってしまう。
頼もしい仲間達だ。
「「「「「ワァァァァァッ!!」」」」」
「「「「!!」」」」
あの歓声の聞こえる方向は、第一闘技場……烈火達と美樹也達の戦いか!
「見に行こう皆!」
「ええ!」
「うん!」
「あ、あ!」
急いで闘技場から降りて、第一闘技場へと走る。
そこで見たのは、全身から血を流している烈火と、無傷の美樹也が対峙している姿だった。
「へっ……やるなぁ美樹也。攻撃が全然当たる気がしねぇぜ」
「フ……お前こそ。今のお前の攻撃は文字通り必殺、当たれば俺は一撃で敗れるだろう。だからこそ、この状況はイーブンでしかない。以前よりはるかに耐久力が上がっているな烈火」
お互いにニヤリと笑う。
かーーーーこっいいいいいいいい!!
これだよこれ! これが見たかったんだよ!
「頑張れ烈火ー! 美樹也ー!」
「ちょ、玲央君!?」
リーシャさんや皆に驚かれたけど、構うものか!
俺の推し達が、本気で戦ってるんだ!
「ったく、玲央の奴。こりゃ負けられねぇじゃねぇか……!」
「フ……それはこちらも同じだ烈火!」
「玲央さん……。ティナさん、ゼウスさん、玲央さんが見ています。負けられませんよ」
「はい、西園寺さん! 敬愛する榊様がご覧になっているのですから、無様な姿など見せられません……!」
「ああ、俺の進むべき道を示して頂けた榊殿に……勝利を!」
「玲央らしいわね、どっちも応援すんだから。……っし、こっちも漲ってきたわ! アンタ達、玲央に情けない姿見せんじゃないわよ!」
「ああ、当然だぜ百目鬼! 榊の旦那に、成長したところを見てもらうぜ!!」
「お前と同じ意見なのは腹立たしいけど……アタシもやる気でたネ……!」
皆やる気が凄い! これは見ごたえのある勝負になりそうだ……!
「はぁ……目をキラキラさせちゃって……あのやる気いっぱいにさせた原因が自分だって、気付いてないのよねこれ……」
「あはは……榊君だからね……」
「はは、榊殿、らしい、な」
何故かリーシャさんがため息をついていたけれど、今はそれどころじゃなかったので見る余裕は無かった、許してほしい。
この戦いを、一瞬たりとも見逃したくなかったから!
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