46話.クラス代表
「やっぱ上がって来たな玲央。そうだと思ったぜ!」
「フ……玲央ならば当然だろう」
「はぁ、まぁだろうとは思ってたけど。学年対抗戦メンバーに選ばれるには、このクラス対抗戦で上位三チームなのよね?」
「うん。上位三チームの合計12人による戦いになるらしいよ。二年生も三年生も数は同じだから、苦戦は必至だろうけど……」
「ふふ、玲央さんはすでに学年対抗戦に目を向けてらっしゃるんですね」
「あ、まぁ……その……」
他のクラスの成績にもよるけれど、俺の見立てではというか、烈火チームと美樹也チームが選ばれる確率は凄く高いと思う。
最後の一枠は、リーシャさんやアイン、剛毅のいる俺達が入るだろう。
A組B組を除いた、C組とD組、F組も強い人達は確かに居た。
けれど烈火達や美樹也達と比べてしまうと、明らかに落ちる。
これは仕方ないだろうとは思うけれどね。
ゲームの主人公達。抜きんでた実力を誇るからこそのロイヤルガードの証を任されているのだから。
まぁ、俺がキングなのは何かの間違いだと今でも思っているけれど。
俺自身に藤堂先生のような力があれば、また違ったんだろうか。
「ちなみに、A組は俺達に決まったぜ」
「当然だが、B組は俺達だ」
「流石だね烈火、美樹也! まぁ皆なら当然かもしれないけど、やっぱり凄いよ!」
「へへっ」
「フ……」
「子供みたいに喜んじゃってまぁ……気持ちは分かるけどさぁ」
「美鈴さんだって嬉しいくせに」
「んなっ……ま、まぁ? 否定はしないけどね」
「と言う事は、総当たり戦なのだから、このメンツで戦う事になるわけね」
リーシャさんの一言で、皆の眼が真剣になる。
「学年対抗戦に出るのは目標の一つだけどよ……俺達は玲央、お前のチームに勝つ事が最大の目標だと思ってんだぜ」
「!?」
「その通りだ玲央。お前の強さは認めている。そして、お前が俺達を認めてくれている事も知っている。だからこそ……俺達は、お前の率いるチームに勝ちたい」
「烈火、美樹也……」
皆の真剣な表情と目を見て、背筋がブルっと震えた。
これが武者震いというやつだろうか。
「うん、受けて立つよ。俺達はそう簡単に、負けないよ?」
「ふふ、リーダーにそう言われたら、仕方ないわね?」
「勿論! 僕達の強さ、皆に見せつけてあげるよ!」
「あ、あ!」
リーシャさん、アイン、剛毅、皆それぞれに強い瞳で皆を見返す。
学食だと言うのに、俺達の熱気に充てられたのか。
皆も熱くなっているようで、
「早速俺達も訓練に行くか!」
「ええ、全クラス対抗戦もあることだし!」
そんな声が所々から聞こえてくるのだった。
そうしてクラス対抗戦が始まるまでの間、俺達は『榊チーム』としての連携を高めつつ、個別に訓練も進める。
俺はローガン師匠から、リーシャさんは藤堂先生から指南を受ける。
以前と違い、俺は最低限の自衛が出来る力を身に着けたいという意思をローガン師匠に伝えた。
黒騎士の事もある。
俺自身、モブとか言っていられなくなってきたのだ。
ここはゲームの世界でありながら、ゲームでは無い。
死んだら終わりなんだ。
もしかしたら、死んでも俺ではない俺が居る世界が繰り返すのかもしれないけれど……それはもう、俺ではないわけで。
俺は俺として、やれる事をやらなければ。
皆のサポートは当然として、俺自身の力を上げなければならないと思っている。
「成程のぅ。よし、良く言った玲央。お主を最高の魔導士にしてやるでの!」
「お、お手柔らかにお願いします師匠……」
「ふぉふぉふぉ! なんのなんの、玲央ならばすぐじゃわい! まずは適性を調べていかねばな!」
というわけで、ローガン師匠から本格的に魔法の講義を受ける事になった。
そうして分かったのが、俺は支援魔法と結界魔法、そして無属性魔法のみ扱えるという結果だった。
「しょぼん(´・ω・`)」
「まさか属性魔法は全て扱えぬとは……これは意外じゃったが……しかし、案ずるな玲央。無属性にも攻撃魔法はあるし、『メテオレイン』が扱えたのであれば、空属性の魔法も操れるという事じゃぞ?」
「空、属性?」
「そうじゃ。『魔法のカバン』等、亜空間を内包した魔道具があるじゃろ? あれの基本原理は、空魔法にあるのじゃ。無属性との複合魔法で、何もない空間から、無数の衝撃波を飛ばしたりできるのじゃ」
「!!」
おお! それはカッコいい!! あれかな、ゲートオブバビロンとか出来ちゃうのかな!?
『魔法のカバン』の中身と繋げれば出来るよね!?
まぁ、俺の財宝で投げられるの、無数の鉄の剣とか槍ですけど……うわ、しょぼい。
「ふぉふぉ、少しはやる気が出たかの?」
「!!」
かなわないな、ローガン師匠には。
俺が属性魔法を使えない事で落ち込んだと思って、こうして励ましてくれたんだ。
弟子の俺が、そんな事でどうする!
「はいっ! めっちゃやる気出ました! 頑張りますローガン師匠!」
「ふぉふぉ……うむうむ。ビシバシいくでの、覚悟するのじゃぞ!」
「はいっ!」
「まずは、最初にした枷で魔力の限界値を上げるかのぉ」
「またあれですかぁ!?」
なんて事もありながら、俺は司令塔だけでなく、自身の戦える力を身に着けるべく奮闘した。
そうして時はあっという間に流れ、ついにクラス対抗戦の日がやってくるのだった。
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