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転生したらモブだったので、主人公グループをヨイショしてたらいつの間にか主人公グループに入ってた件  作者: ソラ・ルナ
第二章・学年対抗戦編

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3話.ヴァルハラ学園長アリス・フローレンス

「おう、やっと来たかお前ら」

「こんにちは。入学式の挨拶以来でしょうか」

「「「「!!」」」」


 グレンさん達との確執も収まり、藤堂先生の待つ『表彰部屋』に入ると、予想外の人に出迎えられた。

 ヴァルハラの現学園長であり、元西の大陸の覇者、前統治者であり、王であった方。

 ゲーム上では烈火とはほとんど接点がなく、地文でこういう事があった、と出るくらいの方だった。

 ヴァルハラに居る事もほとんどない、レア中のレアキャラである。


「リーシャ、個人的に挨拶をする時間が取れなくてごめんなさい。元気でしたか?」

「アリス様、ご無沙汰しております。リーシャ・エーデルハイト、つつがなく過ごしております」


 リーシャさんが、まるで国王陛下に謁見するような形で膝をつく。


「あらあら、堅苦しい真似は寂しいわ。リーシャ、私は貴女を自分の娘のように思っているのですよ?」

「アリス様……」

「ブハハハッ! 二百歳を超えたババァが何を言あばばばばばばばっ!?」

「お黙りなさい誠也」

「……ごふ……調子に乗りましたすんません……」

「よろしい」


 ……あの藤堂先生が、倒れる程の威力の魔法、だと!?

 いや驚くところはそこじゃない。


「凄い。詠唱無しの魔法は威力が数段落ちるのが常なのに、今のは詠唱を破棄した効果じゃなく、短縮での破棄同等の速度、同等以上の効果を出しているのか……」

「!! ふふっ……榊 玲央さん。やはり貴方の智謀、見識は凄いですね。誠也やローガンの言うように、ただ者ではないと感じます」

「!? あ、すいません! つい凄いなと思って……」

「その凄さを分かるのも、実力者故ですよ。普通の者は、何が凄いかすら分かりませんから」


 やばいなアリスさん。褒めたら褒め返してくる。強敵である。いや敵ではないんだけども。


「おいアリス、良いから話を進めろよ。お前は時間が押してるだろうが」

「おっと、そうですね。すみません皆さん、この後他国へ行かなければならなくて……。けれど、今回の"邪眼"研究所の件、そしてホムンクルスの件、直接お話ししないわけにはいかないと思いまして、こうして皆さんに時間を取ってもらって、ごめんなさいね」

「!!」


 俺は、なんていう事を。

 アリスさんは、世界中を飛び回る大変に忙しい方だ。

 そんな方の貴重な時間を、俺の事なんかで待たせて使わせてしまったんだ。

 本当に申し訳ない……。……そうだ。藤堂先生だって、いつもならあんな風に聞いてこなかったはずだ。

 アリスさんが関わっていたから、聞いてきたんだ。


「ふふ、何があったかは聞きません。けれど、そんな申し訳なさそうな顔をしないでください。生徒達の自主性を重んじ、教師は成長を促す。私はその筆頭なのです。自分の事を甘くみるような輩には、一発食らわせてやれば良いのですよ!」

「!!」

「アリス様……」

「ブハッ! まぁアリスはこういう奴だ。それに、許可したのは俺だ。気にすんな玲央」


 アリスさんは、事情を把握していたのか。

 もはや流石を通り越して畏敬の念すら覚える。


「アイン・クトゥルフ」

「は、はいっ……」

「貴方は作られし人間ですが……命に変わりはありません。貴方は、人間に害を成すつもりはありますか?」

「とんでもありません。この命は、榊君や皆に救われました。だから……この命、人間の為に……とは言えませんけど、榊君達の為に使うのなら、惜しくありません」

「アイン……」

「……そう。嘘偽りのない、心からの言葉であると、このアリス・フローレンスが聞き届けました。ではこれが国籍と住民票になります。一つ、私から家をプレゼントしますから、学園に通う間はそこを利用してくださいね」

「!? い、良いんですか?」

「はい、勿論です。貴方はれっきとした、人間です。私達の仲間ですから」

「っ……。ありがとう、ございますっ……!」


 アイン……。

 これまで、人造人間として人の世に溶け込む為、どれだけの苦労をしてきたのだろう。

 俺みたいな平凡な人生を送ってきた人間には、とても口を出せる事じゃないと思う。

 だけど、だからこそ……これからの人生を、俺達と一緒に生きてくれたら嬉しく思う。


「そして、アインの中に居る、というのですか? ツヴァイとドライについてですが……研究資料を読んでみた所、その融合は不完全なものであるようです。ドライが目を覚ましていないのが、その証拠ですね」

「「「「!!」」」」

「完全な融合であれば、無理だったと思いますが……術式の甘い、偶々上手くいっただけの産物のようですから、分離は可能と私は考えます」

「ほ、本当ですか!?」

「やったねアイン!」

「うん! 榊君! ツヴァイやドライに、また会えるかもしれないんだ……!」

「私の都合もあり、少しお待たせてしてしまうかもしれませんが……」

「とんでもありません! いつまでだって待ちます! 本当に、ありがとうございますっ……!」

「ふふ。それでは、私はこの辺で失礼しますね。本当はもっとお話をしたかったのですが、次の予定が煩い爺共でして……」

「おいアリス、繕ってるのが早速破れかかってんぞ」

「あらやだ失礼オホホ。では皆さん、良い学園生活を。リーシャ、戦場にいる貴女より、今の貴女の方が私は好きですよ」

「!!」

「アイン、家には誠也に案内させますから、この後聞いてくださいね」

「はい!」

「剛毅、皆さんをお願いします。そして玲央さん、皆を導いてあげてくださいね。貴方ならきっとできます」

「!?」


 そう言って、アリスさんは姿を消した。

 高位転送魔法『テレポート』を使ったのだろう。

 生身で使えるのは本当に一握りの魔導士だけなんだけど、流石だ。

 にしても、剛毅をアリスさんは知っている感じだったけど……流石にモブであろう剛毅の詳しい内情までは分からないし、まぁ色んな付き合いがあるよね!


「さて、お前らは人工ダンジョンクリアしまくってるし、リーシャの個人鍛錬も進めたいところだが……今日はアインへの案内も頼まれてっからな。ローガンも今日はいねぇし、午後は好きにしてこい。アインは終わり次第職員室に来な。いなけりゃここだ」

「「「「分かりました」」」」

「あっと、水無瀬は少し残ってくれるか」

「分かり、まし、た」

「それでは、俺達はこれで失礼します藤堂先生」

「おう」


 そうして剛毅を残し、俺達は部屋を出る。

 残りの時間はどうしようかな?





「よう剛毅、調子はどうだ?」

「この、舌足らずの、我が身が、辛、い」

「ははははっ! 若返りの秘宝はその時の状況をダイレクトに再現するからな。どうしようもねぇよ」

「う、む。それ、に、精神、も……ひっぱら、れる……」

「あー、そういう点もあんのか。特に長時間使ってるしな、俺んとこに来る時は戻っとくか?」

「いや、慣れ、る為に……このままで、居る……」

「そうか。それで、今日残ってもらったのはだな……」



 なんて会話が行われている事など知らず、クラスに戻った俺達は、


「榊! リーシャさん! アイン! どうだった!?」

「吠え面かかせてきたよな!?」

「皆疑ってもないからね!」


 と、クラスメイト達に囲まれてしまった。

 君達、訓練やダンジョン攻略せずに待ってたの!?

お読み頂きありがとうございますー。

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