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転生したらモブだったので、主人公グループをヨイショしてたらいつの間にか主人公グループに入ってた件  作者: ソラ・ルナ
第一章・仲間編

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42話.モブの仲間達

書き終えると長くなってしまって、前編後編に分割した方が良いかな? とも思いましたが、分割し所がなかったのでそのままに。

文字数大体普段の二倍です(脱兎)

 水曜日。

 月曜日の次に憂鬱な日と言われている。

 週初めの月曜日はブルーマンデーとも呼ばれ、憂鬱な気分になる人が多いらしい。

 対して水曜日は、休日までの折り返し地点であり、疲れが蓄積しやすく気力、体力が低下しやすいようだ。


 まぁ、俺には全く関係が無いけどね!

 学校がある日はリーシャさんが迎えに来てくれる。

 学校に行けば推しの皆と出会える。

 休日よりも元気が出ると言っても過言ではないっ!


 というわけで、今日も今日とて早起きした俺は軽い運動をこなす。


「28……29……あの、マカロン」

「なんだ?」

「俺の上に、座らないで頂けると……なんなら、猫形態になるとか……」

「何を言う。筋肉をつける為の鍛錬をしているのだろう? 主の為に協力しているペットの気持ちを察せられんとは、主失格だぞ」


 そのペットって言うの、人型で言うの止めて頂けませんか……。

 他の人に聞かれたらあらぬ誤解を受けてしまうんですけど。

 いやまぁ防音の結界を張っているのは、"魔眼"で確認したけどね。

 なのでどれだけマカロンと会話しても、外に声が漏れる事は無い。


 だけど、だけどですよ。

 思春期の男子高校生の上に座るとか、もうちょっと考えて頂きたい。

 やわらかいお尻の感触がダイレクトに背中に煩悩退散煩悩退散んんんんっ!!


「ククッ……! ほれ、腕が止まっておるぞ玲央」

「くっ……! さ、30……31……」


 マカロンにちょっかいを出されつつ、日課の鍛錬を終えてから軽くシャワーを浴びる。

 そして昨日はアインの事を美樹也と西園寺さんに話しそびれたので、二人にライムでメッセージを送っておく。

 多分寝てるだろうから、後でまた確認しようと思ったら、すぐに返信がきた。

 二人とも早起きだな……。

 リーシャさんに少し早めに学校に行く事を同じくライムで連絡し、部屋を出る。


 先週の当番は、拓が気を使って台所にすでに居たからなぁ。

 よし、今日は誰も居ないな。

 そう思っていたら、トントントンと軽い足音が聞こえた。

 この足音は拓だな。


「おはよう拓。早いな」

「はよ兄貴。兄貴に言われたくねぇよ」

「水曜は俺の当番だろ? まだゆっくり寝てろって」

「んー、俺は中学のままだから生活変わんねーけど、兄貴は高校で大変じゃん? そろそろ当番表も俺を増やしたいんだよな」


 この拓は、素で泣かせてきおってからに。

 そんな事を言ってくる弟にはこうしてくれる。


「それじゃ、今日も一緒に作ろうか拓。拓と一緒に料理出来るなら、俺の疲れも吹っ飛ぶからな!」

「兄貴……はぁ、兄貴には敵わねぇなぁ。分かった、顔洗ってくるからちょっと待っててくれよな」

「ああ、材料冷蔵庫から取り出しておくよ」


 さて、今日の朝ごはんの献立はどうするかな!

 これも毎朝悩むけれど、朝食をとる事で集中力は向上するし、午前中に必要なエネルギーになる。

 朝抜く人も多いと聞くけれど、我が家ではそんな事はさせない(両親除く)


「んにゃ~」

「お、マカロンも起きてきたのか。姉貴と昨日も寝てたはずだけど、気付いたら居ないって姉貴がへこんでた」

「ははっ。まぁ猫だからなぁ」


 魔王だし。拓にそんな事言えないので、濁すしかない。

 二人とも飼ってる猫が実は魔王でしたなんて知ったら、気絶してしまうかもしれない。

 いや意外となんともないかな? 咲と拓だしなぁ。


「んにゃ!」

「おーよしよし、ちょっと待ってろよ。確かここに……あった。高級缶詰! 人間が食べても良いらしいんだよなこれ」

「にゃー」


 拓がお皿に缶詰の中身を盛って、マカロンの前に置く。

 そしてマカロンの頭をなでなで。


「にゃ?」

「ああ、食べて良いぞ。お前は賢いなマカロン」

「にゃん! ハグハグ……!」


 くっ……魔王だと知っているせいで、それで良いのか感が凄いっ……!

 誰かと共有したい、この想い……!


「何を悶えてんだ兄貴……」

「いや、その、気にするな拓……」

「……?」


 拓に怪訝な顔をされたけど、こればかりは仕方がないんだ。

 それから起きてきた咲の身支度を拓が手伝い、俺は朝食をテーブルに並べていく。

 今日は少し早めに出るので、俺の分はサンドイッチにしておいた。

 これならリーシャさんが多少早く来ても、食べながら行けるし。


「あら玲央、今日はサンドイッチなの?」

「おはよう母さん。うん、ちょっとだけ早く学校に行くから。母さんと父さんの分もそこに置いてるよ」

「いつもありがとう玲央。ほらアナタ、シャキッとしなさい!」

「うぅ、まだ寝ていたい……玲央、ごめんなぁ……」

「いやいや。毎日お疲れ様です父さん。俺達家族の為に、頑張ってくれてるんだから、俺達からもこれくらいはね」

「っ!! 俺は、俺はっ! よし、今日も頑張るぞ!」

「相変わらず単純なんだから。そこが良い所なんだけど……それじゃ玲央、ありがたく貰っていくわね。咲は、拓に介護受けてるか」

「介護て」


 言い得て妙だけども。


「「行ってきます!」」

「行ってらっしゃい」


 こうして一番に父さんと母さんはうちから出て行く。

 その後が俺だ。

 家の戸締りはいつも拓がしてくれている。

 頼りすぎな気もするけど、拓は頼られるのが嬉しいと言ってくれるので、つい甘えてしまう。

 兄としてしっかりしないとなぁといつも思うんだよね。

 咲と拓に、自慢の兄と思ってもらえるように頑張ろう。


 そうしていつも通りリーシャさんとヴァルハラの教室に着いたら、すでに美樹也と西園寺さんは待っていてくれた。


「おはよう二人とも。早くに呼び出すことになってごめんね」

「構わん。大切な話があるのだろう? 近頃の奴は大切な事すらもメッセージで済ます奴が増えている中、こうして対面で話そうとする玲央は評価に値する」

「そうですね。私も大切なお話は、こうして直接話をする方が良いです」

「二人ともやけに大切な話を強調するわね……」


 リーシャさんの言葉に苦笑する二人。

 まぁでも、言いたい事は分かる。

 前世の世界では、告白すらも口から伝えずにメッセージでしたりする人も増えていると聞いた覚えがある。

 この世界でも例にもれず、そういう所があるのだろうか。

 文も良いとは思うけど……記憶だけでなく、メッセージとして残るもんね。

 でも、直接口で言われたいという気持ちだって分かるので、結局のところ人次第、なのかな。


「実は、月曜日の事なんだけど……」


 それから、アインの事についての話を聞いて貰った。


「成程な。烈火に百目鬼はすでに知っているのなら、話は早いな」

「そうですね(おじいさま、知っていて黙っていましたね? ああいえ、役目はもう終えた、とはこの事でしたか)」

「それで、良ければ……二人にも力を……」

「当然だろう。そんな事を確認する必要はない。ただお前は、命じれば良い。手を貸せ、とな」

「ええ、そうですね。玲央さんは私達ロイヤルガードのキングなのです。ただ、命じてくだされば良いんですよ」

「二人とも……。うん、ありがとう。でも、俺は命じ命じられの関係って、なんか嫌なんだ。だから、これからも多分、意見を聞きながらになると思う。信頼していないとかじゃないよ?」

「フ……そんな事は分かっている」

「ええ、玲央さんを見ていれば、分かりますから」

「そ、そう……? とにかく、そういう事だから。二人とも、ありがとう」

「ふふ……。とりあえずこれで、ロイヤルガード全員の助力を得られたわね。後はどうするの榊君」

「そうだね。とりあえずこのメンバーで……」

「榊殿」

「「「!!」」」

「なっ……(おじいさま!?)」

「剛毅……?」

「話は、聞かせて、貰った。悪いとは、思った、けれど……。アイン殿の、事、だろう?」

「……うん。のけ者みたいな形になって、ごめんね剛毅」

「それは、構わ、ない。まだ、信頼関係を、築けていない、俺の、せい、だから。だけど、だから、こそ……俺も、力を、貸したい……!」

「剛毅……。良いのかい? これはヴァルハラの外の問題だ。モンスターは人工ダンジョンのように消えたりしないし、魔族は強い。最悪、命を落とす可能性だって……」

「みくび、るな」

「!!」

「皆、その覚悟なく、して、ヴァルハラに、きて、いない……!」

「……」


 そうだ。その通りだ。

 皆魔族との戦いの為に、このヴァルハラに来ているんだ。

 俺は、その覚悟を踏みにじるような事を……!


「ごめん、剛毅。なら、力を貸してもらえるかい? タンクとしての剛毅の腕前は見せてもらった。十分な腕前はあると思ってる」

「もち、ろん! ありが、とう、榊殿……!」

「礼を言うのはこちらだよ。ありがとう剛毅」

「……(玲央さんは気付いていないでしょうけれど……あのおじいさまを戦力として加えられるなんて、凄い事なのですよ。誠也おじさんにおじいさま、人類が誇る大英雄の二人が共に行くなんて、もはや遠足にいくようなものですね)」


 昨日も感じたけれど、西園寺さんの剛毅を見る目がなんというか……も、もしかして恋、とか!?

 そんな、烈火じゃなくてサブキャラクターですらない剛毅の事を!?

 確かに剛毅はいぶし銀なところがあるし、こうして自分の意思をしっかりと伝える度胸もある。

 人の好みは千差万別……野暮な事を言うつもりもない。

 烈火じゃないのは残念だけれど……ここはモブとして、西園寺さんの恋を応援しないと……!


「……(何故か背筋がゾクッとしたのですけれど……気のせいでしょうか?)」

「西園寺さん、ちょっと」

「リーシャさん……?」


 あれ、リーシャさんが西園寺さんを連れて少し離れてしまった。

 綺麗な女性が二人いると絵になるなぁ。

 ってあれ、西園寺さんが滅茶苦茶驚いた表情になった。

 え? こっちに走ってきた。


「玲央さん! ち、違いますからね!?」

「……何が?」

「それは、その……! 今玲央さんが考えた事が! ですっ!」


 俺が今考えた事って、ああ、二人が綺麗だって事か。


「ははは、そんなまさか。絶対間違っていないって断言できるよ(二人とも綺麗だし)」

「!? ち、違うんです~!!(私がおじいさまをす、好きとか! いえ祖父としての愛情は勿論ありますが!)」

「はぁ……」


 何故かリーシャさんにため息を吐かれてしまったけれど、俺は何かやってしまったのだろうか?

 段々とクラスメイト達が登校してきたので、一旦この話はここまでとなった。

 アインと藤堂先生の話も昨日で終わっただろうし、午後はその話になるだろうか?


「榊君! 昨日はありがとう! 端末に榊君から聞いた注意点を書き込んでおいたお蔭で、なんとかクリアできたよ!」

「それは良かった。おめでとう!」

「榊ー! 昨日はありがとな! お蔭で俺達の班も無事クリア出来たぜ! 今日は違うダンジョン行く予定だぜ!」


 等々、教室に入るなり皆の成功体験が聞けて嬉しくなる。

 美樹也に西園寺さん、それにリーシャさんが傍に居るからか、声掛けだけで離れて行くけれどね。


「フ……流石だな玲央」

「情報さえあれば、皆実力はあるんだから当たり前だよ美樹也」

「その当たり前の実力を発揮できるのは、玲央のような者がいるお陰だ。十全の実力を常に発揮できるわけではないからな」

「それでも、だよ。俺が出来るのは、皆の実力を十分に発揮できる環境を整えてあげる事だけ。後は皆の実力次第なんだから」

「その信頼が心地良くもあり、プレッシャーでもありますね。玲央さんに見限られたら、立ち直れる自信がありません」

「あ、それは分かるわ西園寺さん」

「ですよねリーシャさん」

「それには同意する」

「えぇぇ……」


 皆を俺が身限るなんて事は絶対にありえないけど、俺がそう思っただけで……?


「おーっす! おはようさん皆っ!」

「おっはよー! 皆今日は早いね!」


 話していたら、元気な声が聞こえてきた。

 烈火に美鈴さんだ。


「おはよう烈火、美鈴さん! 今日も元気だね」

「おうよ! ヴァルハラは毎日楽しいからよ!」

「私は空元気だけどねー。水曜日ってしんどくないー?」

「俺は烈火と同じかなー。何てったって、皆と会えるし!」

「「「「「「……」」」」」」


 あ、あれ? 皆急に黙ってしまった。

 失言してしまった!?


「玲央、お前、そういうとこだぞ……」

「フ……まったく、玲央の不意打ちは防げんからな」

「もう、完全に素なんだよねこれ……!」

「裏表のない言葉だと分かってしまう分、効きますね……」

「私も大分慣れたと思っていたのだけど……もう……」

「榊殿は、凄い、な……」


 剛毅までそう言う。

 烈火と同じ理由だって言っただけなのに。


「おーい、席につけー。ってなんだ、お前ら変な雰囲気だな? ほれほれ、自分のクラスへ散った散った!」


 藤堂先生の鶴の一声で、皆が席に戻る。

 ざわざわとしていたクラスの雰囲気が引き締まる感じがする。


「よーし、お前ら昨日は頑張ったみてぇだな。チラホラと攻略者が増えて、順位が更新されてるぞ。依然として榊チームの一位は変わらねぇが、それでも十位まで全て埋まってるじゃねぇか。よくやった!」

「「「「「!!」」」」」


 大英雄である藤堂先生に褒められて、嬉しくない生徒などいるはずもない。

 皆明るい顔である。


「その調子で今日も頑張れよ。後は特に伝える連絡事項はねぇな。あー、榊チームは午後、いつもんとこに来い。アインと剛……水無瀬は分からなければ榊に聞け。以上だ」


 藤堂先生、めっちゃ雑ですね!?

 まぁ十中八九、魔界の研究所関連だろうけど。

 とりあえず授業を受けてからだね。

お読み頂きありがとうございます。

一話あたりもう少し短い方が読みやすいですよねすみません。

いいね、ブックマーク、評価、感想どれも創作の力になりますので、よろしくお願い致しますー。

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― 新着の感想 ―
美女と称される外見の魔王様  調整もできそうだけど米袋くらいと想定しても背に乗せて腕立て伏せできるとは成長が凄い 攻略するための注意点を教わってもそれを実行できる実力がなければ クリアに結びつかなか…
マカロンちゃん、やめてあげて! レオ君のレオ君が戦闘形態になって内なる獣が目覚めてしまう前に!w
やっぱ情報は武器なんやなって 敵を知り己を知れば百戦危うからずってやつだね 先生、いつも思うけど生徒と知人関係なの毎回隠す気ないね
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