59話.学年対抗戦出場チーム(一年生)＋E組vs一年生連合チーム
「よし、距離は取ったな。そんじゃま、はじめだっ！」
「「「「「おおおおぉぉぉっ！！」」」」」
皆一斉に走ってくる！
そりゃそうか、この数をすぐにまとめ上げられる人なんていないだろうし、数の利を生かすに決まっている。
こちらは人数が圧倒的に少ない。
だけど……！
「烈火、『ガイアブレイカ―』を連発！ 美樹也は亀裂に近づいた人を順次片付けて！」
「分かったぜ玲央！ いっくぜぇ！ 『ガイアブレイカ―』！」
「「「「「おわぁぁぁぁっ！？」」」」」
「フ……こちらはサポートと行くか！ 抜かるなよ烈火……！ 『ステルス』など俺には無駄だっ！」
「うそ！？ はや、きゃぁぁっ！？」
烈火の攻撃線上に入れば容赦なく『ガイアブレイカ―』が飛んでくるから、一筋はこれで潰せる、一手。
アサシン等認識阻害で隙をついて近づく人も、美樹也の感知能力と速度ですぐに潰せる。これで二手。
「美鈴さん、ティナさん！ 結界を亀裂の前で見えるくらい強力に張って！ 守る為じゃなく、通さないように！」
「分かったわ！ 私は『ハイ・シールド』を！」
「心得ました！ 私は『ハイ・プロテクション』で強化致します！」
「よろしく！」
それで良い、その二つの魔法は最高の相性を誇る、合成魔法に進化する。
「「『イージス・フィールド』！」」
「なにこれ、言葉が勝手に……！？」
「これは、合成魔法、ですね！？ 百目鬼さん、知っておりましたか！？」
「知るわけないじゃない！？ あんの玲央、こんな凄い効果になるなら先に言えー！」
「！！ 流石は榊様……！」
ごめんて！ 今は言ってる暇ないの、分かるでしょ！？
でもこれで三手。
「リーシャさん、あの威圧の技は、威圧だけを使えたりする？」
「威圧の技？ ああ、『金翅鳥王剣』の事ね。可能よ」
「なら、それを前方広範囲にお願いできる？」
「また滅茶苦茶な事を玲央君は……でも良いわ、試した事がないから、範囲は約束できないわよ？」
「大丈夫。ゼウスさん、リーシャさんの隣について、あ、でも少し離れてね」
「榊殿、俺の事はどうぞゼウスと。そして、榊殿の伴侶の方に近づきは致しませんとも！」
「うん、ティナさんといい、違うからね。近づきすぎたら『暗黒』のダメージをリーシャさんが受けちゃうからね？」
「榊様！ 私の事もどうぞティナと！」
「あ、ああ、うん」
「成程、そういう事にしておくのですね！ 分かりました！」
「全然分かってないね？」
とりあえずこれで四手。
全員に事細かに指示を出すのは、無理だ。
ならば、最低限のやって貰えたら皆が助かる事を先に指示を出しておく。
後は……
「さぁ残りの皆は、前方の敵を全て打ち倒せ！ フレンドファイヤ……仲間の攻撃に当たらないようにだけ気を付けて！」
「「「「「了解！！」」」」」
さて、後は俺は戦況を見ながら手助けが必要な所を探していくか。
「甘いネ！ アサシンだからって弱いと思ったネ！？」
「がはっ！ ど、どれだけ暗器を……！」
「オラぁっ！ 『オーラナックル』ッ！」
「ぐほっ……！」
「あのゼウスの野郎には防がれたが、今の俺の攻撃を受けて吹き飛ばねぇ奴なんていねぇんだよ！」
旋風さんも竜も、しっかり『オーラ』の扱い方が上達している。
少ない量であっても、効率よく運用する事で効果を倍増出来るからね。
それを本来の量を増やしながら、効率を学んだ二人はメキメキと実力を上げている。
「な、なんだ！？ 前に、進めない！？」
「ばかっ！ シールドよ！」
「！！ よく見たら透明な壁が！？ こんな広範囲なシールドを！？」
お、チャンスかな。
流石に剣を飛ばすのは危ないので、盾を飛ばそう。
「ゲートオープン。飛べっ！」
「なっ！？ うぉぁぁぁっ！？」
「何もない所から、盾がっ！？ きゃぁぁぁっ！？」
「「「「「！？」」」」」
よし、上手くいった。
美鈴さんとティナさんの張っている結界の内側から穴を開け、俺の『魔法のカバン』の中にある鉄の盾をカタパルトから射出するように放出した。
結界は外からの衝撃は防ぎ、中からの力は素通りするので、万全の砲台である。
「皆、今ので分かったと思うけど、美鈴さんとティナさんの張ってくれてる結界は外からの攻撃に強く、内側からの力は通してくれる。バンバン魔法を放つんだ！」
「「「「「！！ 了解！！」」」」
「「「嘘だろっ！？」」」
「「「そんなんあり！？」」」
「皆、魔法準備！ ３，２，１，発射ー！」
「「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ！！」」」」
俺の合図で、待機してくれていた魔法組が魔法を一斉に放つ。
E組にはサブキャラクターのマーロンさんを始め、魔法砲台の人達が何人もいるのだ。
これを安全な盾に守られながら撃つのは正直言って楽しいのではなかろうか。
まぁフレンドファイアが危険だけど、少し当たったくらいなら……
「あっつぅ！？ 火が、火があたっ……」
「『ヒーリング』」
「っと、助かったよ鈴木さん！」
「いえいえ。前線の皆さんの治療は私達クレリック隊にお任せを！」
そう、うちのクラスの回復チームがなんとかしてくれる。
このお陰で大雑把な指揮が出来るとも言う。
「「「「「ぎゃぁぁぁぁぁっ！！」」」」」
「……藤堂先生、E組は強すぎやせんか」
「おう揚羽、A組やB組の主力がこっちに居るのもでけぇと思うぜ？」
「それは否定しない。だが……分かっているのだろう？ あの子の指揮力は異常だ。戦場でもよく届く声に、柔軟な対応。まるで指揮官になるべくして生まれてきたような存在だな」
「やらんぞ？」
「１,０００万」
「やらん、ぞ？」
「……５,０００万では？」
「くっ……一瞬揺らぎそうになったが、玲央はやらん！」
「ならば一億でどうだ！」
「売っ……いやいや、やらんと言っているだろうが！ そもそも、もし玲央を売ったらリーシャに殺されるだろうが！」
「ククッ！ 天下の藤堂先生も弟子には弱いか」
「どう言われようがやらねーよ。あいつは俺の後継者にするつもりだしな」
「ほぅ……ではやはり、今年のキングは彼か」
「その事を公表すんのに、こういう場は良い機会だと思ってな」
「成程、深謀遠慮の上の行動だったのだな。流石は藤堂先生」
「へっ、揚羽にそう言われるのは悪かねぇな」
なんて会話が聞こえてきてしまった。
これは俺が眼と耳と感覚を強化している状態だからこそで、他の人は聞こえてはいないだろう。
後継者とか、色々と言いたい事はあるけど……藤堂先生、一億で売ろうとしたの覚えておきますからね？
お読み頂きありがとうございます。
作者風邪をひいてしまい、体調不良の為次の投稿は少し日が開くかもしれません。
楽しみにお待ちして頂けてる方々には申し訳ありませんが、少しの間お待ちください。
