53話.クラス対抗戦決着
クラス対抗戦二日目。
一日目の勝敗は、
A組が一勝一敗の☆×
B組が一勝一敗の×☆
C組が零勝二敗の××
D組が一勝一敗の☆×
E組が二勝零敗の☆☆
F組が一勝一敗の×☆
となっている。
まだまだどうなるか分からない。
俺が強敵と認識している『美樹也チーム』は、今日の午前で当たる。
ここが山場だと思う。
「皆、美樹也のチームは美鈴さんのみが支援役で、後は皆アタッカーだ。高速戦闘になると思うから、油断しないで」
「了解よ。ある意味戦いやすいわね」
「氷河君はリーシャさんが抑えるとして、僕はどっち抑えた方が良いかな?」
「アインは剛毅と一緒に、竜を素早く倒して欲しい。彼はアタッカー兼タンクだから、倒せば旋風さんはアサシンだし剛毅が簡単に抑え込めると思う」
「成程、了解!」
「承、知!」
簡単な作戦だけど、後は臨機応変にね。
「審判、俺達『氷河チーム』は棄権する」
「「「「!?」」」」」
「フ……どうして、という顔をしているな玲央。しかし、これはB組の総意であると予め伝えた上で、理由を話そう」
B組の、総意……!?
「俺達が昨日戦い敗れたA組。そのA組を下したE組。結果だけ見ても俺達が劣るのは明白だが……何より、今の俺達は『榊チーム』に勝てるビジョンが浮かばない。戦いで何か得られるのであれば、戦いもするが……現時点でのそれは、ただの無謀でしかない。故に、俺達は棄権する」
「美樹也……」
「フ……勘違いするな玲央。兜を脱いだわけではない。今はまだ、その時ではないというだけだ」
「B組棄権により、勝者、E組『榊チーム』!」
そうして美樹也達は舞台を後にした。
午後の第二試合も、美樹也達が棄権した事を知ったからか、相手チームも同じように棄権した。
今日は一度も戦わずに最終日を迎え、最終日も戦わずに全戦全勝の結果になってしまった。
予想外の結果だったけど、最終的に白板にはこう表記されている。
A組 ☆×☆☆☆
B組 ×☆×☆☆
C組 ×××××
D組 ☆×☆××
E組 ☆☆☆☆☆
F組 ×☆×××
一位、E組の五勝零敗
二位、A組の四勝一敗
三位、B組の三勝二敗
以下略。
って感じだ。
この結果から、学年対抗戦に選出されるメンバーは、E組、A組、B組の12人となった。
「ガッハッハッ! よくやった榊! E組がクラスナンバーワンだぞっ! ガッハッハッハッ!」
藤堂先生も滅茶苦茶嬉しそうだ。
きっと俺達の強さが証明されて、嬉……
「賭けは俺の勝ちだな揚羽! 啓介! 約束通り飯を奢ってもらうぜぇ!」
「くっ……私のA組が負けるなんて……!」
「今月厳しいんですけど……仕方ありませんね、負けは負けです……お手柔らかにお願いしますよ藤堂先生……ああ、ローンさえなければ……」
……見なかった事にしよう、うん。
俺は何も見なかった。
「なぁ玲央、どうせならこの後皆で飯でも食いに行かねぇか?」
「お昼だもんね。学食で良い?」
「ははっ! そこで外を選べないのが俺ら学生の辛いとこだよな! ま、それが妥当か!」
彰先輩とか、食料を『魔法のカバン』に貯めこんでる人だとピクニックみたいな形も取れるけど、まぁあの人を基準にするのもあれかな。
「なんのコントしてんのよ烈火、玲央」
「美鈴も良いか?」
「ああ、皆でご飯でしょ? 別に普段から皆で食べてるじゃない」
「そうじゃなくってよ。いつもの俺らだけじゃなくて、学年対抗戦に出る皆でよ!」
「あー、そういう。私は良いけど、皆がどう言うか……」
「「「「「食べる(ます)!!」」」」」
「……だそうよ烈火」
「ははっ! こりゃ玲央の人徳だな」
「なんで俺!?」
提案したの烈火だよね!?
俺は微塵もそんな事考えてなかったよ!?
主人公ならではの気遣いムーブだなぁって思ったくらいなのに!
「榊殿! 敗れはしましたが、俺の成長はどうだったでしょうか!?」
「榊様! 榊様の指導のお陰で、私は魔力不足で使えなかった多くの魔法を扱えるようになりました! 差し出がましいようで恐縮ですが、また次の指導を願えたらと……!」
「榊の旦那! 俺の『オーラ』量は確かに増えたんだが、強化が足りてねぇ気がしてよ! こう、攻撃力に転換する方法とかねぇかな!?」
「皆待つネ! アタシが先に教えて貰うネ! 火力、火力が欲しいネ!」
「ちょ、皆落ち着いて!?」
A組とB組の主力チーム達が一斉に詰め寄ってくる。
そんな一気に答えられないってぇ!?
「貴方達、落ち着きなさい? 玲央君が困ってるでしょ。斬るわよ」
「「「「はい!」」」」
リーシャさんの殺気を受けて、全員が背筋をピンと伸ばして敬礼した。
「ぶははははっ!」
「フ……!」
それを見て烈火と美樹也も笑う。
学年対抗戦のメンバーが全員顔見知りなのは助かるね。
最初に苦労するであろう協調性とか、そこら辺の問題がクリアされてる。
指揮官の命令に従わないとか、味方同士で仲間割れとか、そういうのが無いのは本当に助かる。
ほら、ポケモンもレベル差があるトレードしたポケモンだという事聞かなかったり。
指示通り動いてくれるっていうのは、それだけでありがたい事なのだ。
「まったく、人気者ねぇ玲央」
「美鈴さん」
「とりあえず、玲央さんの横を確保する難易度が高いので、先に陣取っておきますね」
「紅葉さん!?」
「榊殿、素晴らしい、勇気、だった」
「あ、剛毅。うん、ありがとう!」
「僕も予想外だったよ榊君。あそこで前に出るなんて。流石僕達のリーダーだね!」
「アイン」
俺の周りに、皆が近寄ってきて話しかけてくれる。
俺はなんて恵まれているんだろうか。
心が温かくなるのを感じる。
「おーい玲央! それじゃ学食行こうぜ! この人数だと席確保がきついしよ、早く行かねぇとな!」
「フ……席取りならば任せろ。俺の速さに付いてこれるか烈火!」
「おお、勝負だ美樹也っ!」
そうして我先にと走っていく烈火と美樹也。
うん、なんでも勝負したがるのは良いんだけど、席取りて。
「あいつらはホントなんでも勝負したがるわね……ガキか……」
「可愛らしいじゃないですか美鈴さん」
「紅葉さんは母なの……」
「あんなでっかい子供はいらないですね……」
「そこだけマジトーンで!?」
「ぶはっ」
聞き入っていたらつい吹き出してしまった。
だってこれは美鈴さんが悪いと思う。
そんな会話をしながら、食堂へ向かう俺達だった。
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