52話.vs『烈火チーム』④
「おおおおっ! 『ラグナブレイカー』!」
「っ……! 分かってきたわよ轟君。振り下ろし型の『パワーブレイカー』に、横なぎの『ラグナブレイカー』、そして『パワーブレイカー』を地面に叩きつけて衝撃を飛ばすのが『ガイアブレイカ―』ね」
「!! 流石はリーシャさんだぜ。伊達に玲央とずっと一緒に居るわけじゃねぇな!」
「あれ、これ玲央君関係あるかしら……?」
ないです。
リーシャさんの慧眼なだけです。
「読めた以上、私にはもう通じないわ!」
「そうかよっ! 『パワー……」
「こっちよ轟君」
「っ!!」
「縦は横に、横は一歩下がれば良いわ。剣術の基本である一眼二足三胆四力、第一の相手を視る力。我流の轟君はソコが欠落しているわ」
「!!」
「身体能力は私よりその力の状態時は上でしょう。けれど、その力を使いこなすには、まだ圧倒的に、轟君の実力不足! 『天魔聖竜斬』!」
「がはぁぁぁぁぁっ!!」
リーシャさんの必殺技を受け、烈火は倒れそうになる。
だけど!
「リーシャ! 烈火は倒れない!!」
「!?」
「おおおおおおっ!! くらいやがれぇぇぇぇっ!!『オメガ・ブレイカー』!!」
「くっ!! 『金剛不壊』!」
烈火専用のパッシブスキルにより、リーシャさんの必殺の一撃を耐えた烈火。
そして『ブレイブモード』により身体能力が凄まじく上がっている状態での、烈火の返し奥義。
いくらリーシャさんでも、あの状態の一撃を受ければただではすまない……!
「リーシャさんっ……!」
「……ふふっ、なんて声を出してるの玲央君」
凄まじい衝撃により、煙が舞い見えなかった姿が、風によって煙が流れ、映し出される。
「っ……!」
片腕から凄まじい量の血を流し、烈火と対峙するリーシャさんの姿があった。
「やるわね轟君。致命傷は避けたけれど、かなりのダメージを受けたわ」
「へっ……俺の本気の一撃を受けても倒れねぇとか、マジで強いなリーシャさん……くっ……」
フラついた烈火は、体の周りを覆っていた熱量が消えた。
恐らく魔力が尽きたのだろう。
「私は玲央君のように甘くはないわよ?」
「へへっ、知ってるよ。あー、悔しいなっ! すまねぇ紅葉さん! 俺は負けたっ!」
「『天魔連斬』」
「がはっ……!」
そうしてリーシャさんの一撃により、烈火も倒れる。
容赦ないなリーシャさん……。
残すは紅葉さんただ一人。
「烈火君も敗れましたか……まぁ、あのリーシャが相手では致し方ありませんね……」
「どう、する。降参、するか?」
「……いいえ。私も最後まで、足掻きます。そうでなければ、全力を尽くしてくれたティナさんやゼウスさん、そして烈火君に申し訳が立ちません」
「そう、か……それで、こそ、武士、だ。俺も、本気で、行こう!」
「「はぁぁぁっ!!」」
紅葉さんと剛毅が互角の戦いを繰り広げるが、もう勝負はついた。
何故なら……
「後ろが隙だらけね紅葉」
「リーシャ!?」
「油断、だ! 『無双三段突き』!」
「っ!? きゃぁぁぁっ!!」
リーシャさんは紅葉さんの後ろを取っただけ。
だけどそれに動揺した紅葉さんは、一瞬気を取られる。
その隙を逃す剛毅じゃない。
にしてもあの技、どこかで見たような気がするんだけど、どこでだったか……。
「そこまで! 勝者E組、『榊チーム』!」
「「「「「ワァァァァァァっ!!」」」」」
「流石ですわ榊様!」
「すっげぇ! やっぱ強いぜ俺達の代表はっ!」
「榊君のチームが強いのは当然ですが、A組代表も凄まじい強さでしたね」
「ええ。仮に私達のチームが当たった場合、絶対に負けてた」
「まさか轟君達が負けるなんて……」
「E組は剣聖のリーシャ様だけじゃなかったんだな……」
等々聞こえてくる。俺も言う側だったはずなのに、遠い所に居る気がする。
「皆、お疲れ様。リーシャさんはすぐに医療班に……」
「榊様、ご安心を。『エクス・ヒール』」
「!! 傷が、一瞬で……ありがとうティナさん」
「いいえ。榊様の伴侶の方に礼を尽くすのは、当然の事ですから」
「「伴侶ぉ!?」」
「あれ、違いました……?」
「違うわよ!?」
「そうですか、まだなのですね! 榊様の不肖の弟子として、応援致します!」
「~っ!?」
リーシャさんの顔が真っ赤である。
そこまで必死に断られるとなんかこう、来るものがあるけど……モブだから仕方ないよね。
俺は気を取り直して、烈火の方へと歩く。
「大丈夫烈火?」
「お、おお、玲央……リーシャさんはマジで容赦ねぇな……いくら治療班がいるっても、ここまでやるか?」
「あはは。それだけ烈火の事を戦士と認めたんだよ」
「!! そっか、成程な。そう言われると悪い気はしねぇな。でも……あー! くっそー! これでも負けるかぁぁぁー!」
大の字に寝転がりながら、悔しそうというよりは、嬉しそうに笑ってそう言う烈火。
「顔は笑ってるよ烈火?」
「ははっ! まぁ嬉しいからな! 超えるべき相手が居る……嬉しいじゃねぇか! そこには玲央、当然お前も入ってるけどな!」
「俺ぇ!?」
俺なんかが烈火の超えるべき相手って、嘘でしょ!?
「待ってろよ玲央。その高みへ、俺や美樹也だって追いついてみせる」
「烈火……」
その炎のように熱い真摯な眼を向けられて、熱くならない男が居るだろうか。
俺も烈火達に見限られないように、もっと精進していこう。
「烈火ー! 玲央ー!」
「フ……勝負所は見れたぞ。ざまぁないな烈火?」
「美鈴! それに美樹也ぁっ……!」
「あははっ……!」
応援に来てくれていた美樹也チームもこちらに来て会話に加わる。
以降の試合は無い為、自由時間なのだ。
興奮冷めやらないまま、一日目の試合が終わるのだった。
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