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転生したらモブだったので、主人公グループをヨイショしてたらいつの間にか主人公グループに入ってた件  作者: ソラ・ルナ
第二章・学年対抗戦編

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51話.vs『烈火チーム』③

「みなを癒せ、『聖女の祝福』」


 烈火が先頭に立ち、聖女であるティナさんへの道筋を防いでいる。

 なら、やはりリーシャさんに烈火を倒してもらうしか道は無い。


「行くわよ皆、散ッ!」

「「おおっ!!」」


 リーシャさんが烈火へと走り、アインと剛毅は左右に分かれる。

 俺への道はリーシャさんが塞いでくれているから、これで良い!


「へへっ……やっぱそう来るよなっ! 行くぜぇリーシャさんっ!」

「はぁぁぁぁっ!!」

「おらぁぁぁぁっ!!」


 烈火の剣と、リーシャさんの剣が交わる。

 俺はその姿を見て、ゲームでの名シーンを思い出した。

 藤堂先生を救う時の、大悪魔を倒すときの共闘シーンだ。

 背中を合わせて苦境を乗り越える二人の姿を見て、熱くなった。

 その二人が今、敵としてぶつかり合っている……!


「お、おっ……!」

「くっ! おじ……ゴホゴホッ! 水無瀬君っ……!」

「邪魔は、させん、ぞ……!」

「それはこちらのセリフですっ……!」


 剛毅の槍が、紅葉さんをティナさんのいる後方へと押し出す。

 槍と剣では、槍の方が圧倒的に有利。

 どちらも相当な腕だから、その差が効いてくる。


「『暗黒剣閃』!」

「おっと! 確かに当たれば危ないけど、隙が大きいね! 直線的だし、避けれない技じゃないっ!」

「我が道はただ愚直にまっすぐに……! 何度でも放とう、我が身傷つこうとも……! 『暗黒剣閃』『暗黒剣閃』『暗黒剣閃』!」

「くっ……! 何発も何発もっ……!」


 ゼウスさんの放つ必殺技、『暗黒剣閃』は、文字通り必殺級の威力がある。

 ギリギリで避ければ周りの暗黒から継続ダメージまで受けるおまけ付きで、非常に厄介な技だ。

 放てば自分の身にもダメージを受けるという欠点があるが、それをティナさんの固有スキル、『聖女の祝福』によりデメリット無しで放てる驚異の技へと進化している。


 戦況は互角。だけどここから俺は支援を開始する。


「『ダブルキャスト』『パワーエンハンス』『スピード……」

「!! させ……」

「ぬ、のは、こちら、だっ!」

「くっ!?」

「エンハンス』! もう一つ! 『オールエンハンス』!」


 通常、エンハンスは一人に一つの効果をかけていくしかない。

 それを倍速にしてくれるのが、この『ダブルキャスト』の効果だ。

 消費も微増するけれど、時間短縮という点でこれ以上ない利点がある。


 そして最後にかけた『オールエンハンス』。

 これは全ての能力値を底上げしてくれる魔法だ。

 ただ、単体で掛ける効果よりも量は少ないという欠点はある。

 『パワーエンハンス』により上がる力が1,5倍だとしたら、『オールエンハンス』により上がる力は1,2倍といった具合である。

 避ける為にスピードが必要であろうアインには『スピードエンハンス』を、剛毅には『パワーエンハンス』をかけ、烈火と戦うリーシャさんには『オールエンハンス』で底上げをしておく。


 これで有利に戦えるはず……!


「榊様、流石です。ですが榊様の不肖の弟子であるこの私は、魔法を掻き消す事が出来ます! 『聖女の祈り』!」

「!!」


 しまった……! まさか、もう習得しているとは……!

 聖女専用スキル、『聖女の祈り』は、場の全ての魔法効果を打ち消す、ユーザー間では通称いてつくはどうと呼ばれていた。

 これは魔法効果に限る為、烈火のスキルの効果は消えない。

 これじゃ、バフを使っても意味がない……!

 あと、いつのまに弟子になったんでしょう……?


「隙アリだぜリーシャさんっ!」

「くっ……!」

「!!」


 バフを消された、ほんの少しの調子の狂い。

 そこを烈火に突かれたリーシャさんは、一撃を……


「『金剛不壊』!」

「うぉっ! 硬てぇ!?」


 受けたのに、弾いた!?


「いたぁっ……! 『金剛不壊』の上からこのダメージって、なんて馬鹿力なのよ……!?」


 いや、痛そうだ。

 そりゃ痛いよね、むしろよく痛いで済んでるよ。


「ハハッ! 流石だぜリーシャさん! なら、どこまで耐えられるかなっ! 『パワーブレイカー』!」

「そんな大振り、当たらないわっ!」

「だろうなっ! けど、受けれねぇだろっ! 『パワーブレイカー』!」

「チッ……!」


 烈火の連続攻撃は単純だがそれ故に強い。

 受ければ大ダメージ必至であり、避けるしかない。

 避ける為攻撃に転じる事が出来ない。

 あのレベルの戦いでは、下手に手を出せば邪魔になる。

 なら、俺に出来る事は一つ。


「おぉぉぉぉっ!!」

「「「「「!?」」」」」


 この場の誰もが意識していなかっただろう。

 後衛指揮官の俺が、前に出るなど。


「玲央!?」

「!! 行かせないわよ轟君!」

「チィッ!? まずい、玲央を止めろゼウス!」

「承知っ!」

「させる、ものかぁっ! おおおおおぉぉっ!!」

「何っ!? この力は、烈火殿と同じ!?」

「玲央さんっ!?」

「行かせは、せぬぞ!」

「くぅっ……!」


 烈火をリーシャさんが、ゼウスさんをアインが、そして紅葉さんを剛毅が抑えてくれている。

 『聖女の祝福』によりその場を動けないティナさんを、俺が倒す!


「チェックメイトだ、ティナさん。スキルを解いてもらおうか」

「!! ……流石です、榊様」


 祈りの姿から両手を上げて立ち上がるティナさん。

 倒しても良いのだけど、あまり手を上げたくなくて。

 それに、負けを認めたティナさんが、やっぱり負けてませんなんて後から動くことはないだろう。


「がはっ……! つよ、い……後は、頼みます烈火、ど……の……」

「はぁっ……はぁっ……ごめん、もう限界だ……後は、任せたよ皆……」


 ゼウスさんはアインによって倒され、恐らく"邪眼"を使ったアインは反動で動けなくなった。

 残りは烈火と紅葉さんだが……


「はぁぁぁっ!」

「あま、いっ……!」


 紅葉さんと剛毅は一進一退の攻防を続けている。

 そしてまた烈火とリーシャさんもそれは同じ。

 だけどここからは、聖女の邪魔は入らない。


「リーシャ、剛毅! 押し返せ! 『オールエンハンス』!」

「「!!」」

「!! 紅葉さん、いけっか!?」

「厳しいですが、やってみます……!」

「分かった! こっちも残り時間はわずかしかねぇ、一気にかたぁつけてやるっ!」


 烈火と紅葉さんの眼の色が変わる。

 本気だ。

 ここを凌げれば勝てる!


「『ダブルキャスト』『パワーロウダウン』『スピードロウダウン』!」

「おおっ! 効かねぇっ!!」

「はぁぁっ! 効きませんっ!」

「!!」


 やはり二人とも弾くか! これでもう俺に出来る事はない。

 いくらか戦えるようになったとはいえ、純戦闘職の二人に俺の小手先の技は通用しない。

 リーシャさん、剛毅! 頼んだよ……!



お読み頂きありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
1on1のせめぎ合い中に聖女の祝福の移動できないデメリットを上手いこと突きましたね! 想定外のことでワンテンポ対処が遅れた隙に意図を読み抑えに入ったナイスチームワーク 邪眼開放せざるを得ない状況まで…
更新お疲れ様です。累計100話到達おめでとうございます! 流石本来なら主人公である烈火のチーム…強い! 某ドラゴ○ボール映画のサブタイトルを借りるなら、まさに烈戦熱戦超激戦ですな! 確かに玲央くんは…
まあ微増ならMPが高速回復する(ゲーム的には毎ターン100回復とか?)玲央に取ってはどうでも良い話ですね 単に使い得なだけである 互いの要の指揮官と聖女の差は、指揮官は一応動けるし攻撃手段もなくはな…
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