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ZEROミッシングリンクⅧ【8】ZERO MISSING LINK 8  作者: タイニ
第六十五章 シリウスは臨む、空と地に

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37 河漢でも勘付く


ZEROミッシングリンクに関わる、地図や世界観の設定集をアップしました。


内容は図や表だけでおもしろくないかもしれませんが、表紙は緑の花子さんです!


まだ、キャラクターも地図もイメージ段階。文章で読むだけでは複雑な物語の世界観を助ける資料ですので、よろしかったら見に行ってみて下さいね。イラストデイズさんに載せています。

アンタレス市の配置イメージ、VEGAの組織図や響のDPサイコスターの世界観なども解説しています。

なろうさんは『みてみん』という他サイトに一旦載せないといけなくて、後で把握できない場所に画像を残すのも困るので考え中です。



お手数おかけしますが、イラストデイズさんに飛んでください。

イラストデイズ (講談社×未来創造)

▼ZEROミッシングリンク設定集1

https://illust.daysneo.com/works/58e24d1b02f33c9223b34f9771ddf1f4.htm


イラストデイズの「#ZEROミッシングリンク」に、キャラクターイメージなど多数載っています。中の人の動きが鈍くて、他のキャラなど更新があまりなくすみません。




「何事もなく終わりそうだな……」

午前中の一番大きなイベントが終わり、河漢中央事務所もほっと一息ついていた。


「西地15区の方はサジたちが入ったって。」

河漢のリーダー、イユーニが全体を確認する。そこにファクトも到着した。

「兄さん、おはようございます!」

「あ、ファクト。おはよ。昼メシ食ったか?」

「はい。先、音伽(おととぎ)西の方も見てきました。」

音伽はワラビー事件艾葉(がいよう)の横で、西は安定しているので再整備された住宅があり、マートのフォーチュンファイブの倉庫もある。


クラシックワラビーの倉庫、『前村工機』から出てきた物はほぼ国に没収されたが、書物や雑貨など個人の私物のような物は、内容を確認してからかつての持ち主の遺族であるカーティンおじさんに返されていた。

「フォーチュンズの河漢の社宅に、仕事が終わったムギやロディアさんも来てて、親戚やジェイとリーブラと一緒に整理してました。」

雑貨といってもかなりの量。資産になりそうな宝石や金、プラチナ、様々な銃や刀などは未納分の税や罰金などでほぼ没収された。その他捜索する間にも後から色々出てきたのだ。なにせ巨大ロボが多数収納察れていたような場所。書斎もあり住居スペースも広かったのである。

元の持ち主であるロディア曽祖母の思い入れのありそうな美しい細工の宝石箱や衣装は、カーティンさんの個人資産で納付する金額を払ったため手元に戻されていた。


たくさん親戚が来ていたので、ほとんどはベガス構築の見学に行っていたが、叔母さんと数人は一部の物をおじさんの家にに移して遺産整理に来ていたのだ。ジェイはたくさん来た積極的な(ロン)家に埋もれて、端で半分石になっていたらしい。


「お前、遊びに行ってただけだろ………」

イオニアに言われるも、ファクトもジェイの様子を見に行ったら、既にみんないたのだから仕方ない。

「兄さんたちも、昼食まだの人は取って下さい。」




イユーニがデバイスを閉じた。

「イオニア、昼入る?」

「あ、ここで適当に食べるわ。」

「なら俺も。」

河漢の食堂は現在コンビニ形式になっていて、温めて食べられる冷凍ランチボックスやレトルトなど好きに食べられる。ベガス構築や河漢事業職員、関係者は全て無料だ。


アーツ河漢第1弾のシドーもいる。彼は『傾国防止マニュアル』という恐怖信仰を植え付けられるあの試用期間中に、女を買いに行って指を切られたという経歴がある。けれど、そんなことがあっても現在までアーツに残ってしまった。同じく切られた、片割れヒムも今は別地区担当のメンバーで残っている。アーツベガスの方でそんなことをしたら、ナンパ大房ですら顔も上げられないほど恥ずかしい履歴になるが、河漢とは何なのか。何食わぬ顔で生きている。強い。


そんなシドーが疑問を呈す。

「…VEGAワールドの職員って、ユラスの元軍役(ぐんえき)者も多いんだろ?あれだけ集まって、何で警備がいつもより少なくてこんなに分散させられてるんだ?」

鋭い。

「すっげー広い範囲に監視置いてるかららしいけど。ニュースになんかあったか?」

アーツ説明会でサダルと対峙したマルシクもサイダーを飲みながら答えた。

VEGA所属だけでなく、今回臨時で東アジアも含めかなりの軍関係者が動いている。立ち入り禁止区域、河漢艾葉付近も元の予定より見学者が縮小され、直接インフラ事業に関わる者以外はスケジュールが見送りになった。


「別に彼らは警備に来たわけじゃないだろうからな。会議とかの方が多いんじゃねえ?」

平和構築組織の共有に来たのだ。

「でも、普通にユラスからもかなり軍が入ってるだろ。」

「………」

二人して、何か考えていそうなイオニアを見るがイオニアは答えない。「普通にユラス軍」と言うが、そんなにユラス軍が入ったらまた侵略だとか言われそうなのに、東アジアは何を考えているのか。

「チコさんたちもいないし。あの人ならこんな大型行事の前後、絶対河漢に来そうだろ。」

河漢大好きチコなのに河漢にも来ない。ユラス軍が来たら真っ先に河漢に逃げてくる人なのに。



ただ、シドーでもなんとなく分かることはある。

「定員のユラス軍人員(じんいん)越してそうだよな。いいのか?この状況。」

他国の軍人は、有事を除き各都市において入国人数が規制されているのだ。

「有事ということか?」

「……」

実は、アーツの中でも中核のリーダーや艾葉に関わる人間は、まさに今、有事ということは一応聞いていた。

シドーやまだ試用期間のマルシクはそこから外されているので、ベガス行事でアンタレス中が強化されていることしか聞かされていない。ただし実際の有事は、東アジアでなくアジアラインで、こちらは警戒地域拡大ではあるが。


「おい、お前知ってんだろ?」

尋ねられても、イオニアもセイガ大陸の情勢がこれから大きく変わるとだけしか聞かされていない。予想はしているが察したというだけだ。

「……いや、何も知らん。」

「ホントか?」

シドーとマルシクで今度はイユーニを見る。

「…俺も知らない……。でも、艾葉(がいよう)の残りの河漢民を早急に移動するよう言われているからな。」

「ファクト、てめーは?」

「まあ、なんかあるんでしょうね。」

と、言っておく。ここまで来て、平常でしょうと言う方がおかしい。




実は河漢には、思った以上にベージン社の根が張っていることが分かってきた。


表向きはベージン社製品やその派生会社、ベージン社ジャンク市場拡大。その後ろはもちろんギュグニーだ。


ベージン社は河漢に関しては、まがい品を扱う店やジャンク屋が無法地帯を広げたと難を逃れる気であろう。もちろんベージン役員含む一般社員は河漢のことなど知らないし、会社としてはいくらでも逃れられるようにいくつかの隠れ蓑の会社や店を作ってある。

しっぽ切りがたくさんできるだけでなく、実際に半分はベージン社そのものが利用されている状態だ。経営陣の欲が招いた結果ではあるが、もしかしたらCEOもこの状況を知らないのかもしれない。




「どんなにいろいろあっても、移動だけはどうにかしないとな……」


河漢の旧市街は地下、その吹き抜け、数段階に渡ったスラムの崩壊や発展など、思った以上に複雑に込み入っている。残骸になった排水システムや旧商業地、人が住みついた昔の団地。

もうほぼダンジョンだ。


このイベントが終わり次第河漢の掘り下げをしていくため、住民にとにかく移動を促しているが、まだ残りの数割どうしても嫌がる者たちがいる。

ほとんど闇市の商店街を含め、社会に適合できないまま居ついて親族を形成した者たちや、長年ここにい付いてしまいこだわりのある者だ。もともと住んでいた者も、自分の土地と主張している。全ての土地データがデジタル化する前にスラムができたため、既にアンタレス市の土地になっても譲らない者や高額な対価を望むものも多い。

80年ほど前の土地改革時に30年ほどかけてほぼ整理はできているし、所有者不明や子孫が追えない土地などは猶予期間を置いて市に組み込まれたはずだ。


そして何と言っても、出て行かない者や自分の土地と主張する者の中には、全くもってその土地に関係ないものも多い。


正直、ワラビー事件があっても移動しないし、アンタレス市の勧告も督促も警告も聞かない者たちなので、もう好きにしてくれと言いたいが、おそらく艾葉は大掛かりな調査、工事、取り壊しになる。小さい規模のことは現行で進めているが、どうしてもできないこともある。



崩れる危険もあるし、既に一部崩壊しているのだ。

仮設住宅もあるので強制退去させてもいいのだが、いかせん人数が多くこれだけ移動してもまだ街規模の場所もあり、分散して逃げるし、仮設住宅からも逃げていく。自分たちごと艾葉を埋め立てればいいと叫んでいる者もいるのだ。

でも実際に「していいんすか?」とか言ったら、怒り狂ってまた反対勢力も紛れて叫びまくるだろう。いくつもよく分からない団体が声を上げ、関係ない団体まで加わり、住民の声なのかも謎な現象も起きている。そもそも移動しない住民の半数は、交渉や結託すら嫌がり逃げているだけだ。



「………はあ。」

みんなため息しかない。追いかけっこのループだ。


ユラスのサダル派はユラスが連合国に加盟する前に、徹底的に法改正前の法で重犯罪者を重刑にしたらしい。目には目を、骨折には骨折をの時代である。何でも強制退去させられ、何でも埋めるファシズムな国や政権は嫌だが、ちょっとそうしてほしいと思ってしまうのであった。



人が一人でもいることが分かっていたら、作業を進められない。

面倒でもそれが連合国だ。




***




食事の後、仕事が終わったロディアを河漢まで送って行ったムギは、おじさんの家に集まってあれこれ整理し賑わっている龍家で、見てもいいと言われた発掘された本の山から好きな物を眺めていた。

西アジアの歴史書や地図などありおもしろい。アジアラインに関わることもありそうだ。


家系図や帳簿、歴史的価値のある土木事業録、伝統衣装や織物など重要なものは西アジアの龍家の本家に保管し、細かいものは女性たちの好きにしてよいと言われている。東アジア、とくに河漢に関する企画書配線配管図、設計図などは公共事業に関わるため全で没収となっている。



「あれ?この宝石箱………」

そこで、少し離れたところで作業をしていた龍家の叔母があることに気が付いた。


「この青いマーク。おばあさまの忘備録にあったマークじゃない?」

「青いマーク?」

ロディアが覗くと、アンタレス市から引き取った遺産の中に青い龍のマークがあった。



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