4.修行開始
2本投稿します
「さあ皆さん朝ですよ!起きてください!」
清龍のやつがやかましく起こしてくる。前はもっと静かで冷静なはずだったが4人が来てはしゃいでいるのだろう。わしは眠気をとっぱらい起き上がり食堂へ向かった
「「「「おはようございます。老師様」」」」
「まったく師匠なんですからもっと老師様は4人のお手本となるように心がけて下さい」
「なんじゃ、皆もう起きておったのか。若いのに早いの」
最後になってしまった。この後の修行で挽回しないと。
「さて飯の前にまずは朝の修行じゃ。それぞれ衣装は清龍が用意した。それに着替えて皆家の前の広場に集合せい」
そう告げると清龍が皆に着替えを渡した。清龍が前からこさえてた衣装である。
「集まったか。皆サイズは大丈夫じゃな。よう似合っておるわい。」
集まった4人はそれぞれの職業にあった衣装を身にまとっていて様になっている。少しデザインが古い気もするがしかたないだろう。なんせたまに街に買い物に出てるとしても清龍もここからほとんど出ないし流行には疎い。しかしそんなこと気にしてないのか4人は嬉しそうである
「で、老師様修行とは何をするんですか?」
そう魔法剣士が聞いてきた。
「まぁ、慌てるでない。清龍から大体の実力は聞いておる。しかし自分の目でも確かめたい。なのでまずはワシと模擬戦闘をしてもらう」
そう言うと4人は緊張した面持ちで唾を飲み込んだ
「最初にやりたいものはおるか?」
そう聞いたが誰も手をあげない。まあ仕方ないだろう。
「なんじゃ誰もおらんのか。ならまずは盗賊、お主から始めよう」
「は、はい!よろしく、お願いします……」
そう弱々しげに言うと盗賊はわしの前に出てきた。
「早速始めるとするかの。魔法剣士よ開始の合図をたのむ」
「はい!では……はじめ!」
魔法剣士の合図があると盗賊は先程までからは考えられないような機敏な動きで距離を詰めてきた。
「はやいの。しかし攻撃が単調じゃ。それでは簡単に止められてしまうぞ」
盗賊のナイフを盾で受け止めた後、ワシは剣で攻撃をした。しかし、盗賊も負けじともう片手に持ったナイフで防ぎ後方へ下がった。
「攻撃の受け流しは見事じゃ。それから逃げ方も相手の力を利用した距離のとり方も素晴らしいの」
そう言うと嬉しそうに盗賊ははにかんだ
「しかし、馬鹿者。模擬とは言え戦闘中油断するものがあるか」
そう言うと同時にわしは一気に距離を詰めて剣で攻撃をした。慌ててナイフを構え剣を受け流される。
「ファイヤボール」
しかしそれで終わりではなかった。わしは最初から剣での攻撃ではなく魔法で攻撃をしようと思っていた。思い通りに行って盗賊はまともに魔法を食らっていた。
「終いじゃ」
すかさずわしは剣で盗賊の2本のナイフを払い盗賊の喉元へ剣の切っ先を突きつけた
「そこまで!」
そう魔法剣士が宣言し、盗賊との戦闘がおわる。
「なかなかの動きじゃったな。しかし隙が大きすぎる。模擬戦闘じゃったから良かったものの本当の戦闘じゃと3回は死んでおるぞ。そしてお主の職業はなんじゃ?」
「と、盗賊です……」
「盗賊の強みとなるのはその手数じゃ。お主は自分の速さとナイフに頼り切り。例えば間合いを取っておる時に罠魔法をかけたり先制でバインドを行ったりも出来るじゃろうて。」
「は、はい。すみません罠魔法は使えなくて…」
「なんじゃ使えんのか。今後の課題じゃな。しかし速さとナイフの扱いは盗賊王のやつにも引けを取らんよ」
「あ、ありがとうございます」
そう言うと盗賊はおずおずと戻って行った
「清龍や、回復魔法をかけてやれ」
「かしこまりました。ヒール」
清龍がヒールを唱えると盗賊の火傷や擦り傷がたちどころに治っていく。さて、次じゃの
「次は僧侶、やるかの」
「はい!お手柔らかにお願いしますね」
そう言うと少し不安そうに僧侶が出てくる
「はじめ!」
「サモンエンジェル。サモンセイントナイト」
始まると同時に僧侶は2人の天使を呼び出した。まさか神聖魔法の中でも召喚魔法が使えるとは。なかなかの実力らしい。神官を目指せばすぐにでも修道士長クラスにはなるだろう
「ふむ。2人の天使か。ダークネスショット」
天使に向けてワシは闇属性魔法を放った。しかしその攻撃は天使に届かなかった。結界に阻まれたのだ
「プロテクション」
「防御系の神聖魔法か。なかなかやりおるわい。ならば剣で行くとするかの。エンチャントディープダークネス」
闇属性のそれも上位の魔法を剣にこめ、エンジェルの方から片付けようと距離を詰めた。しかしそれはセイントナイトにより阻まれることとなる。しばらくセイントナイトとの剣の打ち合いをしていると僧侶の様子がおかしいことに気づいた
「この星々の神々の中で最も気高き我が主よ。我が求めに応えて下さい。滅すべきは悪。我が前に立ちはだかるは悪。聖なるその名と慈悲深き心において我が困難からお救いください。」
いかん。この詠唱は神聖魔法の中でも最上位攻撃魔法だ。
「我が名は聖剣老師!我が名によりこの剣を依代に今こそその力を示せ古の竜よ!クリムゾンフレイム!」
ワシも最上位魔法で対抗した。2人の天使を最上位魔法で倒しそのまま距離を詰めて僧侶にサイレントの魔法をかけ、杖を払った
「そこまで!」
「やれやれ、なかなかのもんじゃの。まさか最上位魔法を使うことになるとはの。召喚した天使もなかなかのものじゃったよ。しかし、最上位魔法の使い所は考えなさい。ここで使っては他にも被害が出る。そして、1体1の対決においては今のように対策されては何も出来ん。そこも上手くカバーする方法が必要じゃの」
「はい。まだまだ実力不足でした。もっと精進します」
「うむ。次は魔道士、準備はええか?」
魔道士は待ってましたと言わんばかりにあゆみでた。
「はじめ!」
「どこまで通用するか分かりませんが。それ!」
魔道士はルーン結晶をあちこちにばらまいた。乱雑なようできちんと規則的に配置しているようである。恐らく魔法陣であろう。
「ふむ。ルーン結晶を媒介にした魔法か。なかなかじゃの」
「お気づきになりませんか老師様。魔法陣がふたつできていることに」
そう言われてようやくわしは自分の周りにもルーン結晶が散らばっていることに気づいた。時すでに遅く魔法陣は起動してしまったようだ。
「バインドスワンプ」
「しまった!これでは動けん」
本来ならバインドスワンプごとき簡単にディスペルで抜け出せる。しかし魔法を固めたようなものであるルーン結晶を媒介に使われてはさすがにすぐには厳しい。
「降参ですか?老師様」
そう自信満々に魔道士は聞いてくる。
「ぬかせ。これくらい抜けずともなんとかなる。サモンゴーストナイト。」
バインドされて動けないなら召喚魔法と魔法で戦えば良い。
「さすがです老師様。では私も。地の精霊ノームよ我の周りに土壁を創れ。どんどん固め守っておくれ」
精霊魔法か。エルフの得意とする魔法だった。詠唱が必要だが通常の魔法より精霊の力が乗るため威力が上がるのが精霊魔法だ。そこに追加して魔法威力向上のルーン結晶による魔法陣。なかなか切り崩せない堅牢な壁ができている
「この世を統べた偉大な古龍よ。英霊となり永き時経ちこの時。今こそ再び地上に顕現せよ。サモンエンシェントドラゴン」
一体の小さな龍が姿を表す。最上位の召喚魔法である。
「よんだか聖剣老師よ。汝の求めに従い召喚に応じた。願いはなんだ」
「あの壁を破壊せい。代償はそこいらにちらばるルーン結晶じゃ」
「承知した」
「な、私のルーン結晶を…作るの大変なんですよ!」
「知るかそんなこと。模擬戦闘とは言え全力で戦わねば失礼というものじゃわい」
その後は一瞬だった。エンシェントドラゴンが壁を壊すと同時に魔法陣を創っていたルーン結晶が全てエンシェントドラゴンと共に消えた。そうなればあとは早い。ディスペルで抜け出し、杖を剣で払って魔法剣士の合図で終了。
「最初にバインドスワンプでワシを拘束したのはなかなかじゃったな。しかしわしは魔法剣士。魔法も使えることを忘れてはならぬぞ。サイレントも併用せんといかんな」
まぁ、サイレントを使われたところで耐性があるから効かないが……
「ありがとうございました。まさか私のルーン結晶を代償として召喚魔法を使うとは…そしてあの魔物かつて世界を統べて龍王国を作ってたと言われる龍の王、エンシェントドラゴンですね。まさかあんな強大な魔物まで契約していたとは」
「あやつとは昨日英霊界で少しな。契約してよかったわい。さて、最後に魔法剣士、やるか。清龍よ合図をたのむ」
「はじめてください!」
「いきます!エンチャントフレイム!エンチャントアイス!シールドエンチャントダークネス!」
いきなり3つのエンチャントかなかなかやるの
「シールドエンチャントホーリーシールド、エンチャントダークネス、エンチャントセイクリッドウォーター、パワープロテクション。プロテクション」
こっちは対抗して5つだ。せっかくの剣士同士の戦闘。たまには魔法無しで戦うとするか。
「さあどこからでもこい。魔法剣士よ」
「はぁぁぁぁ!」
間合いを詰め、お互いの剣が高い金属音を響かせる。
「なかなかの筋じゃ。しかしまだまだ剣筋がブレとるの。隙も大きい。」
一発魔法剣士の胴にはいった。苦痛に顔を歪めはしたがまだその攻撃は鎮まらない。中々のものだ。
「ほれどうした。当たらんではないか」
「くそ、全然攻撃が当たらねぇ…」
「ほれもう1発」
「くぅ…」
またもや剣を当てた。流石に効いたのか吹き飛ばされる。
「なんじゃもう終わりか。では…」
「いまだ!」
「グゥ……!ブラフか!なかなかじゃの。しかし、詰めが甘い!」
まさか1発貰うとは。しかしそれ以上の攻撃が来なかった。すかさず剣と盾を払い除け勝負あり。決まった
「そこまでです!」
「パワープロテクションをしたわしの攻撃を1度耐えるとはなかなかの根性じゃ。2回目も恐らく耐えておった思うがの。その後のブラフも騙されたわい。しかしその後どうするかまで考えんとダメじゃの」
「ありがとうございました。次こそは勝てるように精進します!」
「うむ。その意気じゃ。これで全員かの。さて飯にするか」
そう言って食堂に向かおうとすると清龍の奴がまたもや口を挟んだ
「待ってください。老師様。あちらは4人パーティですよ。パーティの連携を見なくてよろしいのですか?」
「見た方が良いじゃろな。しかし、今は先に飯じゃ。腹が減っては勝てる試合も勝てんわい。」
「かしこまりました。食事の用意はできております。」
わしらは食堂へと向かった。
「「「「「いただきます」」」」」
「召し上がれ」
「清龍、お主も食え」
「よろしいのですか?では、お言葉に甘えて」
団欒だ。飯を腹いっぱい食うのも修行のうち。皆がそのことをわかっているかは疑問だが、皆もりもりと食っている。健康な証拠だ。そうだ、みんなに伝えなければならないことがあった。
「食事時に言うのもなんじゃが、他の3人についてじゃが、皆死んだ。わしだけは生き残れた」
皆の箸が止まる。まあ無理もない。なんでもわしらは冒険者、それも同系統の職業からは尊敬の念で見られているからである。
「いや、老師様そもそも生きていないとみんな思っていました。神獣様に打ち勝てば神様が英霊界から呼び戻してくれるものだとばかり」
そう魔道士が言うとほかの3人もこくこくと頷く
「なんじゃそう思っとったのか?違うわい。わしらはこの500年それぞれの地で生きておった。しかしそれもつい先月までの事。ほかの3人は先に英霊界に行きおった。ワシを置いてな。」
「そうなのですね。やはり老衰でしょうか?」
「馬鹿をいえ、わしらは神様から永遠の平穏を与えられた身現状死ぬことは許されぬのじゃ。殺されたんじゃよ何者かには」
いや、恐らく犯人は解っている。しかし皆にいう事はできない。その事にとてももどかしく感じる
「殺されたって…まさか英雄様達を殺せる存在など邪神くらいしか…そういう事ですか。」
そう1人勝手に僧侶が納得する
「まあ待て、僧侶よそうなんでも邪神のせいにするでないわ。人間他人を疑ってばかりじゃとそのうち心が醜く歪んでしまうぞ。もしかしたら神獣と手合わせ中の事故かもしれんしな。ともかくそのことはいいからまずは自分の事じゃ。なに、復活させる方法ももう既に考えておるわい」
「その方法とは?」
「魔道士よ。考えるなと言ったじゃろ。とにかくもうこの話は無しじゃ。皆が強くなったその時また話そう。」
4人は納得しないながらも渋々といった様子で食事を再開した。
「「「「「「ご馳走様でした」」」」」」
今日も清龍の作る飯は美味かった。本人に伝えると調子に乗るから伝えないが。
昔伝えて1週間1日7食になった時は本当に辛かった……
「さて、この後少し休んでパーティでの模擬戦闘を行う。それぞれ準備とパーティとして作戦を考えておくように。わしは1度部屋に戻るぞ」
皆それぞれの準備を楽しそうに行っている。ワシもそれを見届けて自室へ戻った。この後起こる事など知らずにー
公開可能な設定資料8.英霊界
規定世界で生きる者全てが死後行く事になる世界。一応生者でも入れることは入れるが、入界の試練をクリアし無ければならない。英霊界では寿命は無く、英霊界で死んだ者は原則規定世界の前世とは別の種族、生物に生まれ変わる。英霊界を管理していると信じられている神は複数おり、邪神もそのうちの1柱。




