13.法国
おそくなりました!更新です。
「よし、まずは法国じゃな。」
わしらは法国と帝国の国境を越えたところに転移をした。秘境の転移門は四神獣がわしの家にいるため使えない。国の内部に入るにしても許可を得ていないわしらの魔法では入ることはできないのだ。
「おう!最英霊の彼女と会うのも久々だな!楽しみか?最英霊」
「ですから!はぁ……もういいですよ。早く行きましょう恐らく私の名を出せばすぐ教皇の元まで行けるでしょうし」
「いや、そうかのぉ……あれを見てそう思えるかのぉ」
そう大賢者が言い指さした先には少し前まではなかった仰々しい門と壁。前には以前はいなかった門番の姿もある。異世界人への対抗策だろうか。わしらは門番の元へと行った
「ちといいかの。」
「なんだ爺さんたち。通行手形はあるか?」
「通行手形?はてそんなもの元々あったかの?」
「なんだ知らねえところを見ると相当な田舎モンのようだな!今は異世界人達を首都に入れないために各国の首都に入るには通行手形が必要なんだよ!ないなら帰りな!」
「はて、ちと困るの……わしらは教皇に用があるのじゃが……」
「はぁ!?教皇!?あの臆病者にか!?」
そう言うと門番たちは大きく笑っていた。
「待ってください。教皇が臆病者?詳しく聞かせてくれませんか。」
「なんだ爺さん、見たところ聖職者のようだが知らないのか?異世界人が怖くて英霊山にひきこもっちまいやがったって話だよ。枢機卿猊下からお達しがあったぞ?」
「なんですって?あの子が?ちょっと信じられませんね。」
「あの子って爺さん教皇を知ってるのか?」
「あぁ、すみません私こういうものです。」
そう言うと最英霊は自分の冒険手帳を見せた。
「はぁ!?!?!?最英霊!?つまり爺さん……いや、あなた方は……!」
「いかにも。わしらは4英雄じゃ。さて、通してくれるな?」
「いや待て、信じられん。4英雄は既に英霊界へと入った身……さては偽物……いや、冒険手帳を改ざんするなどそれこそ英雄級のものしか……」
「わしらの手帳も見るか?」
それぞれの冒険手帳を見た門番2人は目を白黒させている。顔も青くなっていた。
「こ、これは……大変失礼いたしました!今すぐ大司教クラスの神官……いや、枢機卿猊下をお呼びします!」
「いえ、結構です。それより英霊山まで案内してくれますね?私の愛すべき人であり、我らが英霊教の教皇猊下を愚弄した罪。今なら年寄りの空耳と受け取りますが?」
そう最英霊が笑いかけた。最英霊、目が笑っていない。あれはガチギレである。全くいい歳した爺さんが……
「は、はい!ただいま!おいお前!代わりの門番をすぐ用意しろ!それと枢機卿猊下へ至急伝達を!おれは今からこの方々をお送りしてくる!速くしろ!」
「おやおや、神に仕える身として部下にそのような言葉遣いはいただけませんね……まあ、いいでしょう。なるべく早くお願いしますね。それと枢機卿には教皇猊下をないがしろにした罪の断罪があることをお伝えくださいね」
「か、かしこまりました!では、こちらです!」
そう言うと門番は慌ただしく馬車の準備をしだした。ほぉ、3頭立ての馬車か。しかも引いているのはユニコーンだ。まさかこの非常時にも国賓をもてなす用意はしているということか。わしらは国賓かは怪しいが。
「着きました。ここが教皇猊下がおられる英霊山の山頂。安息の庵でございます……と言いましても最英霊様の住まわれる御霊廟でございましたね。では、私はこれで……」
「何言ってるのです。貴方も来るのですよ」
「いえ、なんといいますか……私は……」
「貴様は枢機卿派の!何しに来た!馬車できたところを見ると枢機卿も一緒か!」
「なんじゃ、騒々しいの」
馬車に揺られて30分。ようやく止まったかと思えば外で最英霊と門番のやつが何やら揉めている。
「いや、今回はもっと大変な方々を載せている。お前たちが思いもしないお方だ!この方を誰と心得る!英霊教の聖人にして我ら英霊教の進むべき道の最前線におられるお方、この菴の主最英霊様とその御一行であらせられるぞ!」
「本当ですか!モンクが……モンクが帰ってきたのですね!あぁ、そのお姿間違えなくモンクですね!」
「教皇猊下!出てこられては困ります!」
「まあまあ、良いでは無いですか。いかにも私は戻りましたよ僧侶……いえ、教皇。これより私の事もモンクではなく最英霊と呼んでください。あぁ、様は要りませんよ。」
「モンクいきなりどうしたのですか……いえ、わかりました。最英霊。よくぞ無事蘇ってくださいました。まずはコチラに」
「はい。貴方達もいい加減降りてきてはどうですか。」
「おお。これはすまんな。教皇。久しぶりじゃの。彼氏をしばらく借りてて悪かったの。返すぞ」
「お久しぶりです聖剣老師様。もう。からかうのはやめてください」
「たく、俺みたいのが、からかう分にはいいがおめえみたいなのがからかっても冗談か分かりずらいぜ老師。」
「む、そうかの……まあ良い早速本題じゃな。」
「分かってますよ。世界会談の件ですね。」
「うむ。その事なんじゃが。帝国ではなくわしの島でやるというのでまおうと話が着いた。来てくれるな?」
「もちろんですとも。さて、供の者は……」
「その前に枢機卿の件聞いてもいいですか?」
「お恥ずかしい限りです。私とここに知る信徒達は皆最英霊からの言葉の通りにこの英霊山へ避難してきました。しかし私が教皇になった事に不満を持つ方々……枢機卿派のもの達は私たちを臆病者と揶揄しそれを神託と称し全英霊教の教会へ発布いたしました。いま、英霊教は2つに割れている状態です。」
「なるほど……しかしそれももう終わるでしょう……ほら、来ましたよ」
そう最英霊が指さした先にはわしらが乗ってきたものより遥かに豪華絢爛な馬車があった。
「すみません最英霊様!復活なされたとは露知らず…… どうかご挨拶が遅れましたことお許しを……」
「はて、本当に謝ることはそれだけですか?どうやら我らが主がお認めになった教皇猊下を臆病者などと揶揄する不届き者がいると聞いてやってきたのですが……」
「そ、それは……誤解です!私共はそのような事……魔族の、魔族の流した策謀です!」
「ほぉ、魔族のせいにするとはのぉ。ビデオコール……源釜、聞こえるかのぉ」
「はい、なんでしょう大賢者様!」
「ちと、魔王を出してくれんかのぉ」
「はい、魔王様ですね……少々お待ちを」
「それで……ここに向かって話せば良いのか……?我輩だが何か用か?仇よ。おぉ!この魔法は凄い、そちらの景色も見えるのか!」
「おぉ、魔王すまぬのぉ。こやつらが魔族の策謀で英霊教の教皇猊下を陥れたと言っておるのじゃがなぁ」
大賢者の魔法によりわしの家が映し出される。どうやら英霊界のお師匠様の作った魔道具から着想を得て便利なように改良したようだ。
「な!……魔王……様」
「ふむ……わしらがそのような愚策行うと思うか。わしらが信仰していないとはいえ他教の神の一番の代弁者。言うなれば我輩と同等のちいのものだぞ。そのような者につまらん策で陥れるとそれこそ英霊教の神から滅ぼされるわ!」
「じゃろうなぁ。……と、言うことじゃが何かあるかのぉ?枢機卿や」
「す、すみませんでした!この私め、つい出世欲に駆られてしまい……死んでお詫び申します。」
「はて、あなたにあるのは出世欲ではなく物欲なのではありませんか?ともかく、今回の件主より恩恵を受けし私の名のもとに断罪せねばなりませんね。」
「どうか、どうかご慈悲を……!」
「死んでお詫びするのではなかったのですか?では、英霊界にも行けず直接の死、即転生の秘法リィンカーネーションでしょうかね……」
「待ってください!最英霊。確かにこの者たちは神の教えに背くことをしました。しかしこの者たちにより法国の人々が心の安らぎを得ていたのも事実です。ここはひとつ穏便にすみませんか」
「なんと、こりゃ教皇猊下は懐が深いの。わしなら消して許せんじゃろうな。して、最英霊、どうするのじゃ?まさかお主の愛すべき人がここまで頭を下げておるのじゃ。無げにする訳には行かんのでは無いのか?」
「そうですね。私も大人気ありませんでしたね。いいですか、貴方達。あなたたちは自らを貶められようと貶めた人を許す。そんな人に対して言葉という刃を向けたのですよ。それが誇り高い英霊教の信徒がすべきことでしょうか。私達の力は自らの名誉のためでは無い。弱き者たちを救うことにこそ使うべきではないでしょうか。今回の件撤回するなら私も目をつぶりましょう。どうしますか?」
「すみませんでした教皇猊下。私、本当に間違ったことをしておりました。考えてみますと先代が私でなく貴女様を教皇に指名した理由が今わかりました。今後は心を改め再び英霊教のために粉骨砕身この身朽ち果てるまでやらせて頂きます。どうかお許しください。」
「いいのですよ。それに今件、恐らくは裏で手を引いていたものがいるでしょう。大賢者様。お願いします」
「うむ。さすがは教皇猊下じゃのぉ。オラが言わずともわかったかや。だけどそれをやるのはわしでは無い。最英霊よ。破邪の光を使ってやれぃ。」
「なるほど。私も修行がたりませんでしたね……主よ、我らが主よ。この者に取り憑いた悪しき魂を剥がす光をお与えください。破邪の光!」
「おぉ!出たぞ!盗賊王逃がすな!」
「おぅ!任された!プリズン!」
出てきたのは小さな魔族だった。どうやら魔族の策略というのもあながち間違ってはなかったらしい。
「魔王やぁ、お主の部下かや?」
「違うぞ!おいお主、どこのやつだ?返答次第では貴様のつかえる主諸共消すことになるぞ!」
「へ、この世界の、魔王というのは飛んだ爺さんのようだな!おれは死んでも元の世界で生き返れる!今回は失敗したが次こそは!あばよ!この世界の勇者様!デス!」
そう言って小さな魔族は爆発四散した。話しぶりから異世界の住民なのだろう。まさかここまで侵攻していたとは……急がなければならないようだ
「どうやら、あなたの持っていた小さな欲に目をつけそれを大きくしていたようですね……修行が足りませんでしたね。私も貴方も。」
「すみません……そのようですね。私はもう一度故郷の教会でやり直そうと思います。」
「まて!お主らの中で解決しようと我輩と可愛い我輩の子供たちに罪を擦り付けようとしたことは消えてはおらんぞ!我輩直々に葬り去ってくれるわ!」
「魔王、落ち着け。あの誓約書忘れたとは言わせんぞ?」
「それがどうかしたのか」
「なるほど……聖剣老師。あなた中々にずるいことを考えますね。ここに枢機卿並びに枢機卿派の全ての神官を私の弟子といたします!異論は認めます。認めますがこれは英霊教の聖人にして神からの恩恵を受けたこの私、最英霊の決定に異を唱えるということ。よく考えて言うようにしてください!」
「と、言うことじゃ。確かあの誓約書にはわしらの弟子たちへの手出しは……」
「わかったわかった!我輩の負けだ!今回の件我輩も水に流すとしよう。ここで手を出しては我輩の仇達より心が未熟だと言うようなもの……たかだか500年しか生きておらぬのに侮れぬ奴らだ……」
魔王も不承不承ながら頷いた。これでとりあえず法国の件は片付いたか。さて、ゆくとしよう。
「ならば教皇猊下。あとはいいですかな?」
「はい。これで胸を張って行けるというもの……そういえば何故最英霊は何か国が滅びかねない事態となったら英霊山に来いと?」
「あぁ、その事ですか……実はですね、私と統雀でこの山全体を使った大規模な結界術式を組み込んでいました。そのおかげで普段は居た強大な魔獣達も英霊山から姿を消しているでしょう?その結界を発動をするためにはかなり高位の神職者が必要でした。恐らくあなた方の結界では既に破られていたでしょうね。」
「そういう事ですか……そうしましたら私が移動してしまってはまずいのでは?」
「問題ありません。高位の神職者ならそこにいるでしょう?ねえ、枢機卿」
「私ですか?」
「そうです。我が弟子として初の試練をあなたに与えます。私の作った結界を維持し、何としてもこの法国を守り抜いてください。」
「かしこまりました!この枢機卿、命にかえても最英霊様の言いつけ守る所存です!」
「なるほど……では、任せました枢機卿。さて、時間はありませんよね。早速行くとしましょうか。供には大司教2人を連れていきます。さぁ、大賢者様お願いします。」
「うむ。任された。さぁ、ゆくぞぉビッグテレポート!」
その後すぐさま枢機卿から全英霊教信者達へ教皇猊下が山へと入った真意と4英雄の復活に関する書面が発布され、教皇の地位は揺るぎないものへとなった。
ー聖剣老師の家ー
「全くあ奴らは……我輩は魔王であるぞ!それを都合よく使いおって!機嫌が悪い!おいトカゲ!何か甘い菓子はないか!」
「トカゲとは私のことですか……私は清龍です!……言っても仕方ありませんね……ケーキでよろしいですか?」
「うむ!すぐ持ってまいれ!」
「ちょっと待てよ!それ、あたしのじゃねぇか?」
「柏虎また作りますから今回は我慢してください。」
「……たくっ、次は2つ作るってことで手を打ってやる。全くみんな早く帰ってきてくれねぇとあたしたちは大変だぜ……」
こうして魔王の機嫌も戻ったのだった。
公開可能な設定資料集15.冒険手帳
冒険者を初めてから今に至るまでの全てが書かれた手帳。冒険者カードよりも正確で今までに集めた冒険の心得なども記されているまさに冒険者にとって命の次に大事な手帳。神獣王が作った物で神獣王以外が改ざんすることはできない。




