11.英霊たちの帰還
第2章です。
「よし!こんなもんだろ!老師、お前わかってるよな?」
「ん?なんの事じゃ?」
「たく、神獣王のとこに行って生き返らせる順番だよ。最初に大賢者だろ、次に俺、最後は最英霊。最初は絶対大賢者だぞ!間違えんなよ!」
「お主と違って間違えんよ。して、あとの2人は?」
「全く。お前も相変わらずひでぇよな...あいつらなら師匠のとこだ。どうせお前とはすぐ会えるからってしばしの別れの挨拶だとよ。」
「そうか。お師匠様のところか。また会えると良いのぉ」
「なーに、また会えるさ。俺たちが復活するんだ。次は師匠達だ」
「そうかそうか。それならお互い頑張らんとの」
あれからお師匠と聖女様は剣の中で今も眠っている。ワシたちはせめて安らかにいて欲しく2人の暮らしていた英霊界での家に剣立てをつくりそこに安置した。家までに盗賊王の作った罠、家にはわしの作ったゴーレムたち。部屋の扉には大賢者のやつの空間魔法で間にダンジョンを挟ませ。最後には最英霊の結界により守った。これを突破できるものと言ったら神か魔王くらいのものだろう。あの剣は何人も触れられぬようにしておいた。
「おっと、迎えが来たようだぜ?」
「老師様〜!お会いしたかったです!」
「おぉ、清龍。迎えに来てくれありがたい。それで、あやつらは?」
「それがですね...」
「なんじゃ、はっきりせんやつじゃ。何があった?」
「あの、それが...実は、向こうの世界が大変な状況なんです!」
「異世界のもの達、じゃな?」
「はい...て、ええ!?何故それを...!」
「驚くのも無理はねぇよな。実はな、師匠と聖女様が家にひとつの魔道具を置いていてな。それがなんと人間界と魔界を見られるって代物だったんだよ!」
「これは盗賊王様。ご無沙汰しております。なるほどそれでこちらの様子がわかったのですね!」
「うむ。しかしお主らの事は見とらんでの。どうせなら2年ぶりにどう成長したか楽しんでやろうと思っての。それで、4人は?」
「はい、4人共秘境の防衛に出ております。今、他の3体の神獣に伝えて老師様の所へ神獣と共に戻ってくるかと。」
「そうか。ならばついでに盗賊王達の死体も持ってきて貰って良いかの?」
「ということは...」
「あぁ、俺たち四英雄の復活だぜ!」
「全く...盗賊王。いいとこ持っていきおったな」
「たまにはいいじゃねぇか!さて、老師!気をつけて帰れよ!」
「うむ。さて、清龍。ゆくぞ」
「はい。老師様!では、しっかり掴まってて下さい!少し飛ばしていきますよ!」
「いや、ちょっとそれは...」
そこでわしの意識は途切れた。
気づくとそこは慣れ親しんだ自宅の寝室であった。どうやら無事死なずに戻ってこれたようだ。危うく清龍に殺されるところだった。
「老師様。おめざめですね。皆様広場に集まっていますよ。」
「おぉ、そうか。ゆくとするかの」
「はい!」
「久しぶりジャの皆。修行はどうじゃった?」
みんなの態度が暗い。さて、どうしたものか。もしかしたらあまり上達しなかったのかもしれない
「はて、お主たちどうかしたかの?」
「...んで...なんで...」
「ん?魔法剣士どうした?」
「なんで貴方は!世界がこんな時に!のんびりと!英霊界で修行なんてしてたんですか!」
「ぐぅっっ!」
「魔法剣士!何をしているのです!」
魔法剣士のやつがワシに殴りかかってきた。
「清龍!止めるな。他の者も手は出すなよ。」
「貴方がこの世界を留守にしている内に!王国は滅んだのですよ!他にも帝国だって!共和国だって!法国だって!このままでは滅びゆく運命です!みんな沢山の人が死んで!もうこの世界は破滅の寸前です!それなのに!貴方は!かつての仲間たちと!2年も!向こうは楽しかったですか!?」
「...」
「なんとか言ったらどうですか!...ぐふっっっ!」
わしはお返しに拳をひとつ返した。
「少しは頭が冷えたか魔法剣士よ。ワシとて黙って見ていた訳では無い。助けにだって本当は行きたかった。じゃがな...」
「なら来ればよかったでは無いですか!なぜ!なぜ放置していたのです!」
「ワシが来たところで救えたのか?王国は聞いたところ侵略があった日に滅んだそうではないか。お主は本当にワシが来たら勝てると思ったのか?どうなんじゃ?」
「それは...」
「こたえよ!魔法剣士!」
「すいません...」
そう。不甲斐ないがワシが来たところでどうしようもなかった。ならばせめて少しでもこの世界が助かるための手を打てるだけは打ったつもりだった。しかし魔法剣士...いや、この4人には受け止めきれなかったのだろう。
「皆、すまぬの。苦労をかけた。じゃが、わしら4人とて何も考えていなかった訳では無い。お師匠様と聖女様亡き後わしら4人でお二人の遺した者を受け継いで来た。思ったよりも時間がかかってしもうたがの。」
「ということは...」
清龍が静かに問う
「うむ!これからはわしら基底世界のものたちの反撃じゃ!魔法剣士...いや、お主ら4人も理解してくれるか」
「...はい...すみませんでした老師様...」
「さて、そしたらまずは飯じゃの。清龍全員分の飯を作れるかの?」
「材料はありますが...9人分作るには時間がかかってしまいます」
「清龍。私達も手伝うわよ」
「そうですよ!私達だって仲間じゃないですか!一緒にやりましょ!ほら、柏虎も!」
「おい、源釜!引っ張るなよ...わかったわかった!私もやるから」
「皆さん。ありがとうございます。では、老師様、皆様食堂へ」
「相変わらず仲が良いの。食事は12人前たのむ。わしらはこれから神獣王のところへ行ってくるとするかの。さて、お主らゆくぞ」
「そうですか。そうですよね。老師様も皆様と食事を取りたいですものね」
「うむ、ではゆくぞ。」
「待ってください。神獣王の所へ行くには遠いでしょうから。サモンドッペル」
「なんと、統雀。お主、ドッペルと契約ができたのじゃな」
「はい。そこにいる魔道士ちゃんも協力してれて使えるようになりましたわ。さぁ、皆様お気をつけて。では、ご武運を」
「うむ。3人の亡骸はワシが持っていくかの」
「待ってください老師様!アイテムポーチ!」
「おぉ、盗賊。お主空間魔法が使えるようになったか」
「はい。と言ってもまだ中級までですが...老師様の魔導書のおかげです。他にもみんなそれぞれ強くなってますよ」
「そうかそうか。皆、努力したようじゃの。よくやった!それでこそわしの...いや、わしらの弟子じゃ!しかしこれで満足せずにさらに研鑽を積むのじゃ。これから3人も戻ってくる。それぞれの道を極めたものたちじゃ。きっとお主らにいい影響を与えてくれるぞ」
「「「「はい!」」」」
「じゃあ、頼んだぞお主たち。では、ゆくぞ!目指すは神獣王のいる神獣の樹じゃ!」
「行ってらっしゃいませ。」
こうしてワシたちはかつての仲間の復活へ向かったのだった
人間界の外れ。何も無い海上にひとつの樹がある。そここそが神獣王、不死蝶の住まう神獣の樹である。
「ここがあの、神獣王様のいらっしゃる神獣の樹...」
「そうじゃ。おーい。神獣王様。」
「その声は...お久しぶりですね聖剣老師。本日はどう言ったご要件で?」
そこに現れたのは1匹の巨大な蝶だった。この蝶こそ神獣達の王にして神獣の力を使い死人を甦らせることを許された神獣不死蝶である。
「実は、仲間たち3人を生き返らせたいのですじゃ」
「なるほど。貴石と生き返らせたい者の死体の用意は出来てますか?」
「このとおり。お主ら石を出してもらえるかの」
「はい!」
「ふむふむ。確かに。それではこれより不死の儀式を開始します。
我は神獣の王にして不死なる蝶。始まりの神獣にして神王様より頂きしこの力において志半ばで散ったこの者の命甦らさん事を。代償は4神獣の貴石。人より生まれながらに我ら神獣の仲間となった者たちの力借りて今こそ蘇らんとす。甦れ大賢者。」
「「「「おぉ...」」」」
大賢者の身体が光り輝き、その肌には再び赤みが戻る。4人はもちろん復活の儀式は初めてだったようで驚きと感動が混じった表情を浮かべていた
「お主ら呆けておるな。ここからが本番じゃぞ」
「え?」
「ほら来たぞ!この世に未練を残し英霊界に行けぬもの達の魂じゃ。油断しとると大賢者の身体を乗っ取ってしまう。何としても守り抜くのじゃ」
「は、はい!」
そう。この儀式には1つ欠点がある。それこそがこれだ。本来死んだ肉体に再び魂が宿ることはない。しかしそれを可能にするために無理やり身体に生命力を宿すのだ。するとどうなるかと言うと、肉体は死んだが何かこの世に未練を遺した魂達が生命力があるが魂のない身体に入り込もうとする。それを阻止しなければ儀式は一応は成功するが、その中身は全くの別人。下手したら人以外の者が入ってしまう可能性すらある。
「よいか、赤い魂は神獣王様が呼び出した大賢者の魂じゃ。決して攻撃するでないぞ」
「分かりました!」
ー20分後ー
「はぁはぁ...」
「ぜぇぜぇ...」
「お主らよくやった。大賢者は無事いきかえったぞ。おい、大賢者。どうじゃ調子は」
「おぉ、聖剣老師かや。おらはこの通り。ピンピンしとるぞぉ」
「それなら良かった。さぁ、大賢者。2人に魔力と神力を分けてやってくれ」
「わかった。ルーン結晶の用意はあるかのぉ」
「しまった!忘れてしもうた」
「何をやっておるのじゃ。おらでもこの2人に分けるには流石に魔力がたらんぞぉ。源釜のやつがいてくれればよかったのじゃがなぁ」
「あの、はじめまして大賢者様。私魔道士といいます。よろしければこれを」
「うむ...なんと、これはルーン結晶じゃないかぇ。持っておったのかや?しかもこれは...なんという純度じゃ。源釜のルーン結晶には劣るがなかなかの代物じゃわい。」
「はい。源釜様に2年間しっかり教えていただいたおかげでここまでのものを作れました。ぜひ使ってください」
「魔道士!でかした!さぁ、大賢者。たのむぞ」
「任されよう。クローン。」
「その手を使うか。どれ、わしも...クローン」
「「「「マジックシェア」」」」
「え、まさかドッペル?」
「「違うぞ魔法剣士。わしらが向こうで修行した最初の技。クローンじゃ。そのうちお主らにも教えてやろう。」」
「さて、こんなもんじゃろ。神獣王様。お願いします。」
「分かりました。では早速...」
「さあお主たち準備じゃ。次もよろしく頼むぞ」
ー40分後ー
「今度はみなが死んでしまいそうじゃの」
「老師様...2連続は流石にきついですよ...」
「しかし、聖剣老師。お主の弟子たちはなかなかやるのぉ。オラ達もこれでは負けてしまうぞぉ。」
「抜かせ。わしらも前よりも強くなった。まだまだ若いもんには負けんわい」
「おぉ!2人とも!無事成功したようだな!おっと、この若いの4人がそうか?」
「盗賊王。そうじゃ。みんな良い子達じゃぞ」
「よろしくな!俺は盗賊王!聖剣老師の兄貴分だ!」
「嘘を教えるでないわい。」
「相変わらずお2人は仲良いですね」
「お、最英霊。お前も無事生き返ったようだな」
「お陰様で。神獣王様。ありがとうございました。」
「さて、要件は済みましたね。あぁ、そうそう。魔王が生き返った件ですが、私とは関係ないところで蘇りました。なので神獣の貴石はまだ貴方たち以外は使ってませんよ。」
「やはりそうでしたか。」
「なんだ。知っていたのですね。では皆様。この世界をお願いします。帰りは私の魔法で...転移魔法陣蝶の舞」
不死蝶のまう蝶の舞はそれは綺麗で降り注ぐ鱗粉はそれは粉雪のように美しかった。
「おかえりなさいませ。」
「うむ。清龍用意はできたかの?」
「バッチリです」
「盗賊王!久しぶり...!良かった...ほんとに良かった...!」
「おう!柏虎!心配かけたな!泣くな泣くな。俺はもう死んだりしねぇよ」
「全くだぜ!だけど、おかえり!」
「おかえりなさいませ!大賢者様!あの子のルーン結晶は役に立ちましたか?」
「おぉ、源釜や。お陰様で無事皆に力を与えられたぞえ。オラの死体が土に還らんようにお主の釜の中に入れて置いてくれたのじゃろう?助かったぞぉ」
「はい!これからもどうか共にあゆみましょうね!」
「最英霊様、あちらでの修行お疲れ様でしたわ。教皇も今日こちらに来ようと教会から抜け出そうとしてましたわよ。私ももちろん貴方の蘇りを心待ちにしておりましたが。」
「貴女と教皇には心配をかけましたね。それで法国の方々は」
「安心してくださいませ。みんな英霊山に逃げてほとんど無事ですわ。」
「それならば良かった。私の作った結界は無事のようですね。」
「さて、積もる話もあるじゃろう。飯にするぞ」
こうしてワシたちは再び現世で集まったのだった。




