10.老師死す
お久しぶりです。体調悪くてしんでました。すみません。今回死にます
ー2日目ー
今日も昨日に引き続き修行だ。2人に分裂するのは慣れた。しかしなかなか能力の移動が難しい。ほかの皆も苦戦しているようだ。
「おう、魔剣老師。ここはひとつ試合でもしねぇか?」
そう盗賊王のやつが話しかけてきた。
「なんじゃ、もう修行に飽きたのか?お主の飽きっぽい性格も変わっとらんの」
「ちげーよ。俺たちと言えば実戦だろ?やっぱり実戦で使えなきゃ意味がねぇからよ。せっかく4人集まったしそれぞれでやればわかると思ったんだがな」
「うむ。それがいいじゃろ。良し、盗賊王と魔剣老師、大賢者と最英霊で試合をせい。判定はワシとばあさんがやるぞ」
「ほら、師匠もそう言ってる事だし、やるか」
「うむ、お師匠様から言われてはやらねばな。さて、久々にお主とやるの。腕の方は鈍っておらんじゃろうな」
「そっくりそのまま返すよ。」
「2人ともやる気満々じゃな。よし、試合初め!」
「「クローン!」」
2人同時に唱え、ワシと盗賊王は2人になった。遠くに大賢者と最英霊の姿も見える。奴らも試合が始まったらしい。
「さて、エンチャントファイア」
「エンチャントフリーズ」
ワシはそれぞれ火と氷のエンチャントを剣に行った。
「おいおい、最初からそれかよ...スワンプバインド!」
「ワイヤーバインド!」
負けじと盗賊王もバインドを繰り出した。スワンプバインドは何とか避けたが、ワイヤーには捕まってしまった。
「ふむ。能力移動、クローン」
「な、そんなのありかよ」
「おぉ、早速そのような使い方をするとはの。いい手じゃぞ」
「ありがとうございます。お師匠様」
「俺も久々に全力を出さなきゃなんねえようだな...スモーク!」
きた、やつの得意技スモークだ。一見するとただタバコを吸ってるだけだが、あのタバコ自体が魔草で作ったタバコ。それを煙管型の魔道具で動かしている...かなり厄介だ
「お主禁煙せんといい加減からだにわるいぞ」
「心配ありがとよ。だけど俺の相棒であり、唯一の楽しみなんだ。辞めるわけにゃ行かねぇよ」
「そうか。ならばこちらも...」
「「ウインド!」」
「ほぉ、2方向から風魔法で飛ばしてきたか。だけどこっちも2人いることを忘れんなよ!スモークアロー」
「グッッッッ!いやぁ、今の一撃は効いたわい」
「ファイアボール!ファイアボール!」
「「あち!にゃろ、やったな!スモークドーピング」」
「ほぉ、その技は初めて見るの。かなり修行をつんだな?」
「誰かさんには負けられないんでね」
「ならばわしも全力で行かんとな。もう1人のワシ、少し休んどれ」
「わかったよ。お主、絶対勝てよ?」
「言われずとも。」
「おぉ、やっぱりおめぇ半分でもすごい力だな。だけど俺たち2人を相手にどうかな?」
「ファイア!」
「おっと...きかねーなぁ」
「じゃろうな」
「...我が身を捧げん!ノア」
「んな!?どういうことだ?神淵魔法じゃねぇか。半分の魔力でできるのか?」
「お主なにか勘違いしておらぬか?わしの方には魔力も神力もほとんどないわ。力と速さだけは回収して、魔力と神力はファイアを使えるくらい残して向こうに全部渡してしもうた。さて、このままじゃとわしもやられるの。分裂解除!」
「ちくしょう...分裂解除!プロテクト!」
天から落ちてきた水がワシと盗賊王を覆い尽くす一瞬前、わしは間に合った。どうやら盗賊王もかろうじてプロテクトが間に合ったようだ。お互い満身創痍。次が最後になるだろう...
「そこまで!!まさかお主この試合でクローンを使いこなすとは...おや、向こうは最英霊が勝ったようじゃの」
「おやおや、聖剣老師が先につかいこなせるようになりましたか。最英霊もクローンの使い方覚えましたよ。」
「そうか。ならば次は盗賊王と大賢者じゃの。」
「ちくしょう。俺の負けだ。老師!次は負けねぇぞ!」
「望むところじゃわい。手を貸すか?」
「は!そこまで老いぼれちゃいねぇよ。」
「そうか。」
久々の試合はやはり楽しかった。思えばずっとわしらはこうして覚えてきた。いつもは盗賊王が1歩先に行っていたが今回はわしの方が上手くできたようじゃ。これで4人にも顔向けできる。
「さて、少し休憩にするかの。ばあさん、癒しの力を」
「はいはい。慈悲深き主よ。この者たちの傷を癒し力をお戻し下さい。エクストラヒール」
「おぉ。相変わらず聖女様の神聖魔法は素晴らしい。私もますます精進せねばな。」
「よし、昼にするかの」
こうして2日目の午前は終わった。
「午後は残りのふたりも無事習得出来れば良いの。さて、始めるとするか午後は聖剣老師と最英霊、盗賊王と大賢者で試合じゃ...」
「ータナトス」
「ぐふぁ!」
「何奴!」
何が起こった?お師匠様が何者かの攻撃を受けたようだ。やばい防御力なら右に出るものの居ないお師匠様に深手を負わせる敵。わしらが束になっても勝てるか怪しい。
「なにものじゃ!姿を見せぬか!」
「おやおや、わたくしはここにはおりませんよ。自分たちの師匠を殺されて憎いですか?悔しいですか?500年振りに昔のような穏やかな修行ができている中でしたものね。でもあなた達は師匠の敵を討てない。さぞお辛いでしょうねぇ。」
「うるせぇ!スモークアロー!」
「防魔結界絶!」
「エンチャントホーリー!」
「爆炎旭日」
「あなた達!無駄です!やめなさい!」
「そうは言っても聖女様!仇討ちしねぇと...」
「ふっふっふっ。その通りですよ。それよりも大好きなお師匠様の最期看取らなくて良いのですか?そのじいさん、死にますよ...では。」
「逃がすか!おい最英霊!結界はどうなってる!?」
「無駄ですよ。どうやら念話で魔法を発動させたようです。おじいさん、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫に、見える、か?」
「お師匠様!」
「おぬしら、無事か?」
「オラたちは大丈夫です。それよりも魔剣老師様、傷が...最英霊、治癒魔法はどうじゃ?」
「さっきからかけてます。しかし全然塞がらない...」
「無理もありません。あれは神の魔法です。私たちではどうしようもありません。神淵魔法以上の攻撃ですので。」
「しかし、そうは言っても聖女様。何とかならんもんですか?」
「聖剣老師。この世にはどうしようもないことがあります。しかしまだ全ての希望が途絶えた訳ではありません。もうおじいさんが何かあった時の為にとこれをあなたたちに...」
そういうと聖女様は一通の便箋を取り出した。
「これは私とお爺さんからのあなた達への最初で最後の手紙です。私はこの人を何とか生かす為に時空結界を貼ります。助ける手段が出来た時また封印を解いてください。どうかこの先のことをたのみましたよ。時空結界終」
「な、聖女様!待たれよ!」
わしの静止も虚しく聖女様はお師匠様と結界の中に封印されていった。その後には1つの剣が落ちていた。
「これは、師匠の剣ー覇者の魔剣じゃねぇか...ということは2人は...」
「うむ。そうじゃのぉ。おふたりには大層世話になった。オラ達が出来ることをやるしかないかのぉ」
「おい!大賢者!おめぇは悲しくないのか...悔しくないのか!」
「おらだって悲しいし悔しいぞ。しかしここで何もせんでは、おふたりそれこそ顔向け出来ん。したらまずはワシらが出来ることをやるしかないでは無いか」
「そうじゃぞ盗賊王。とりあえず手紙を読もう。最英霊、読んでくれるかの?」
「はい。おや、この手紙術式がかかってますね。」
ー親愛なる我が弟子達へー
この手紙を読んどると言うことはワシはもう輪廻の輪に入ったということじゃろう。まずは嘘をついていた事を謝らせて欲しい。実はワシ達もその昔神からの恩寵を受けかれこれ1500年ほど生きておる。お主らに会った時既にワシらは1000年は生きておった。しかしお主らにあったこの500年は何よりも楽しく充実したものじゃったぞ。わしは正直死ねぬこの身を恨んで絶望しておった。そんな時ひよっこのお主らがわしの元を尋ねて来おった。これまでも訪れる者は数多くいたがお主らほど強さに貪欲なものたちはおらんかった。
しかしまさかお主らが英雄になるとは思わなんだ。そしてわしと同じ運命を辿ることになるとはの。誰よりも死を望んだワシ達が死ねぬ者を増やすとはなんとも皮肉なもんじゃわい。
しかしの、お主らはまだ自分の運命を変えられる。わしらが英霊界で500年過ごしたのはの。お主らの運命を変えたくてのこと。しかし運命というのは自分で変える気にならねば変わらぬものじゃ。おそらくお主らが死んでも、誰か生き残った者が1人でもいれば神獣の力で復活するじゃろう。基底世界にわしの協力者がおる。ワシが残した技を見事会得したら会いにゆくと良い。もちろん会いにゆかんでもよいがの。別の紙に技に関しては全て記しておく。
聖剣老師。誰よりも強靭で誰よりも繊細なお主はこれかも皆のまとめ役として頑張るのじゃぞ。そしてお主が潰れそうな時は清龍ちゃんでも盗賊王でも誰でもいい。頼れると思った仲間を頼るように
大賢者。誰よりも賢く誰よりも頑固なあなたは誰かが間違えそうになった時それを正すのを怠らないように。しかし、己が間違えておることもあります。そんな時は素直に周りのものの話を聞くことも大切ですよ。
最英霊。誰よりも正しく、誰よりも不器用なあなたはおあなたが正しいと思う物を信じなさい。しかし不器用さ故に信じたものを信じられなくなる時があるでしょう。そんな時あなたの周りには仲間がいます。。その者達のことを信じなさい。
最後に盗賊王。誰よりも荒々しく誰よりも優しいお主は仲間の大切さを知っておるはずじゃ。素直になれんのはわしもそうだったから分かるがお主はワシと違い優しい子なのじゃからもっと素直に仲間を想い助けるのじゃぞ。
お主らはそれぞれ1人では無い。もうワシらの教えることは無くなった。今こそそれぞれ自分の道を進むのじゃ。そしてわしらの悲願をどうか達成してくれ。次の輪廻でもお主らと会えることを心より願っておる。愛してるぞお主たち。
魔剣老師 初代聖女
その手紙とクローンやそれに付随する技が書かれた紙がいくつか入っていた。それからこれは...地図だ。どうやら協力者のいる場所のようだ。
まったく。あの方たちと来たら...仕方ない。お師匠様の最期頼みだ。これに報いなくて何が英雄だ。やるしかない。
「お主ら、やることは決まったの。」
「おう!師匠達の遺志受け継いでやるとするか!」
「まだ死んでおらぬがな」
「そうですね大賢者。おそらく師は助かるでしょうね。さて、まずは遺して行かれた技を会得しなければなりませんね。やりますか」
「「「おう!」」」




