7.英霊界
次回から修行編に入ります。
気が付くとそこは1面花畑が広がる楽園のようなところだった。
どうやら無事英霊界へついたようである。
瀕死の3人はもとより、清龍と魔法剣士のやつも気を失っているようだ
「こりゃ、魔法剣士、清龍起きんか。着いたぞ」
「うぅ…ここは?…」
「老師…様…やはり慣れませんね…世界転移は…」
2人ともフラフラとした足取りでやっとこ立っているようである。
「着いたぞ。魔法剣士よお主は三人を見守りながらここで待っておれ。清龍、ゆくぞ」
「あの…英霊界に着いたのですか?」
「かしこまりました老師様。私は先にゆきます」
「うむ。わしは魔法剣士に説明をしてから向かう。くれぐれも失礼のないようにな」
「かしこまりました。」
そう言うと清龍は龍の姿に戻り全速力である人の元へ向かっていった。
「さて、魔法剣士よ。ここが英霊界の入口、神々の花畑というところじゃ」
「御伽噺では聞いてましたがまさか本当にあったとは…」
「実在するぞ。他にも地獄釜や英霊樹なんかもな」
「そうなのですね。して、老師様、俺はどうすれば良いでしょうか」
「お主にはここに残ってもらう。このまま動いてもまず死ぬじゃろうし、何より三人はここから動かさん方が良い。魔法剣士よ剣は持ってきたか?」
「はい、きちんと持ってきました。」
「うむ。ならば良い。その剣に実は簡単なルーンを刻ませてもらった。今からわしのナイフとお主の剣で簡単な時空結界を張る。もう一度貸してもらえるか」
「もちろんです!」
魔法剣士から剣を渡され、ワシはそれを使い結界を張った。
「よいか、この結界は時空の流れを緩やかにする。それでなるべく3人の命を長く持たせようと言うわけじゃ。お主には万一何かあった時の為にここに残って3人と
結界を守って貰いたい。しかし相手は殺すな。よいか絶対殺すなよ」
「わかりました。しかし老師様、武器がありません」
「心配するな。これを使え」
ワシは魔法剣士に木製の剣を渡した。
「あの、これは?」
「英霊樹の枝を使って作った木刀じゃ。英霊界の者に対してだけ効果のある剣じゃ。基本は死なぬが魔法と併用すると死ぬ可能性がある。適度な力で敵を制圧することも時には重要じゃ。それを今学べ」
「わ、わかりました!頑張ります」
「うむ。さて、わしもゆくからくれぐれもここを守り通してくれ」
「はい!老師様どうぞよろしくお願いします!3人を救ってください」
「任された。では、頑張るのじゃぞ」
「はい!」
こうしてわしもある人の元へ向かい始めた。
「清龍よ、おったか?」
「それが老師様…いらっしゃいません。」
「うぅむ…あの方は気まぐれじゃからのう…しかしどこかにおるはずじゃ。てわけして探すぞ。一刻後見つからんようなら花畑に戻れ。ワシは川の方に向かって探す。お主は地獄釜の方をたのむ」
「かしこまりました。」
こうして二手に別れたワシ達はある人を探すのを続けた
「師よ聖女様とどちらへ行かれたのですか…」
ー神々の花畑ー
老師様はまだか。時間が過ぎるのがとても遅く感じる。昔面白半分で買った腕時計というものとにらめっこを始めてまだ半刻も過ぎてないが既に1日が経過したように思える。そういえば老師様が時間をゆっくりにする結界を張ったと言ってたな…
そんなことを考えていると2人の老人が歩いてきた。敵か?しかしいきなり斬りかかって万一老師様の言う人だったら困る。
「何者だ!戦うと言うなら受けて立つぞ!」
「まあまあ、そう声を荒らげるでない。別にお主達を取って食おうとは思っておらんよ」
「そうですよ。貴方随分仲間思いなのでしょうね。見たところ生者だと思いますがなぜここへ?」
そう好々爺然とした老人ふたりが話しかけてきた。1人は男で質素な服を身にまとっている。もう1人は女で前に魔道士が被ってたものよりももっと質素な、というより粗末な麻布のローブを来ていた。
「あなた方は?」
「ワシは魔剣老師というもの。こっちは女房の英霊教の初代聖女様じゃ死んでからは先に来てた女房と楽しくやっておる。」
「なるほど、して、何故ここに来られたのですか?」
「何、懐かしい気配を感じての。しかしワシらの家の方に向かっていってるの。まったくあのバカめがまだワシの気配を察知出来んとは…恥ずかしいわい」
「まあまあ、お爺さん。あの子は昔から焦ると周りが見えなくなってしまいましたから仕方ないですよ。所で貴方達はあの子のお友達?」
「あの子?」
「あの子と言ってもわからんじゃろう。魔法剣士、今は聖剣老師と言うなじゃったか。あやつじゃ」
「あぁ、老師様の事ですか。俺達はあの人の弟子です。と言っても昨日弟子入りしたばかりですが」
「ほぉ、あやつが弟子とな。立派になりおったのぉ」
「あの、お2人は老師様を知ってるのですか?」
「まぁ、知ってるというかなんというか…まあ良い。ところでそヤツやそろそろ死にそうじゃがどうかしたか?」
「あの…その事なんですが、実は…」
俺は今朝から今にかけてあった出来事を話した。何故かこの人達には話さなければ行けないと思ったのだ。
「まぁ、そんなことが…確かに魔王の気配をここ数日感じないとは思ってましたが…」
「それよりも、婆さんや傷を癒してあげなさい。」
「あらヤダ、私としたことが…エンシェントヒール」
老婆が魔法をかけると3人の傷がみるみるふさがっていき、何とかしていたような呼吸も眠っているかのような安らかな音へと変わった。
「あの、ありがとうございます!仲間が楽そうになりました。なんとお礼を言っていいのか…ありがとうございます!」
「別に良いのですよ。これが私の務めですから。」
「さあ、これで大丈夫じゃろ。さて、あヤツらが帰ってくるまで少し話しをしようかの。お主、何故あやつに弟子入りした?正直あやつとはやりずらいじゃろ」
「お爺さん、あまりそういうことは言うもんじゃありません。ほら、この子も困っているでしょう。」
「これは失礼したの。」
「いえ、構いません。なぜ老師様に弟子入りしたかですか…実は最初はどんな人かという興味半分でした。しかし、やはり英雄伝説で語られるような人。あまりに覇気から凄すぎました。俺は街で1番の冒険者でした。しかし、老師様を見た時ハッキリわかりました。この人を超えなければ一番にはなれないと。」
「なるほどのぉ…して、越えられそうかの?」
「正直、今だと厳しいと思います…しかし、絶対に超えます!」
「おぉ、若いもんは元気があってええのぉ…さて、ワシらはそろそろ行こうかの」
「あら、あの子にあっていかなくていいのですか?」
「何、あやつの事じゃまたすぐ来るじゃろう。今度は自分の仲間を助けになぁ」
「それもそうですね…さて、それじゃあご武運を」
「は、はい!本当にありがとうございました!」
「何、気にするな。それよりあやつが戻ってきたら伝えておくれ」
「なんでしょうか。」
「時期に更なる混乱がおこるじゃろう。弟子達を清龍に任せられるその時になったらワシの元へ来いと」
「かしこまりました。それではお元気で」
「あらまぁ、私達はもう死んでますよ。」
「そうじゃのお、元気でというのは変じゃな」
そう2人は笑いながら転移魔法で消えていった。
「おーい魔法剣士や、大変じゃあの人達が見つからん…おや、皆の怪我が治っとる…魔法剣士、ここに仲良さそうな爺さんと婆さんがこんかったか?」
「ええ、来ました。あの方達は?魔剣老師と初代聖女様と名乗ってましたが…」
「なんと、会ったのか!?」
「えぇ、なんでも老師様の気配を感じたとかで…」
「ふむ。昨日来た時は会わずに帰ってしもうたからの…所であの二人は何かワシのこと言っておったか?」
「いえ、あぁ、老師様の弟子となるのはやりずらいだろと仰ってましたね。」
「まったく…あの二人には敵わんわい…」
「あの二人とはどんなご関係で?」
「あの二人はな、ワシら4人の師匠なのじゃ。魔剣老師様はワシと盗賊王が聖女様は大賢者と最英霊がそれぞれ師事しておった。」
「なるほど…あのお2人はそんなにスゴイ方なのですね…」
「魔剣老師様と聖女様を知らんのかお主!?御伽噺等でも聞かんかったか?」
「はい。すみません。そんな伝説も何も残ってませんよ?」
「なんと…しかし妙じゃの…ワシらの頃から語り継がれとるおとぎ話のヒーローとヒロインなのじゃが…」
「そんなスゴイ方なのですね。」
「もうそれはすごいのなんのって」
それから清龍が戻ってくるまでワシは魔剣老師様と聖女様の伝説と修行していた頃の話を魔法剣士にしていた。
「すみません!老師様!お2人を見つけられず…」
「もうよい。わしらに会わずに帰っていかれたそうじゃ。さて、わしらも家に戻るとするかの」
「「はい!」」
ー転移門ー
「戻られましたか。」
「おぉ、福老よ待たせてすまんかった。」
「いえいえ、目的は果たせましたかな?」
「はい!お陰様で…ですが3人はまだ目を覚ましません…」
「仕方がない。魂にまでダメージを負ったのじゃ。目を覚ますまでしばらくかかるじゃろう。ひとまずうちに帰るぞ。福老、わしらを家まで送ってくれるか?」
「どうせ誰も来ない門です。そのくらいお易い御用ですよ。」
「なぜ私を使ってくれないのです!?」
そう清龍が騒いでいるが無視だ。あやつの飛び方はその…荒い。眠っておる3人を落としたらまた行かねばならなくなる。
「さて、では…ジャイアント!」
ジャイアントの魔法を使った福老がどんどん巨大化していく。門よりも大きくなったところで止まった。
「さて、お乗り下さい。」
「うむ。」
「は、はい!」
「福老さんの背に乗るのは不本意ですが仕方ありません…私以上の安全航行お願いしますね。」
「お主に比べれば誰でも安全じゃろう…」
「老師様、なんて?」
清龍に睨まれたわしは急いで乗り込み、知らん顔をした。
「では行きますよ?」
「うむ。」
ーその夜ー
うちに帰ってきて、3人と床に寝かせ、夕食をとったら魔法剣士はすやすやと寝てしまった。まぁ、仕方ないだろう今日は激動の1日だった。せめて3人が起きるまではゆっくりしてもらいたい。
わしは自室に帰り1人考え事をしていた。するとそこに清龍が入ってきた
「老師様、どうかされました?」
「いやのぉ、ちと今日のことを考えておってな」
「と言うと?」
「まず魔王じゃ。なぜ復活したばかりのあやつがあそこまでの力を持っていたのか…500年前にわしらは確かに魔王を打ち破った。それから今まで復活していなかったのはあやつの発言で確かなのじゃが、それにしては全盛期…いや、それ以上の力を持っておった。英霊界から復活して、力を増すものが居るのは事実なのじゃが、500年も経っておると通常死体は骨だけになり、そこに肉を再び着けるのに1年はかかる。その上、肉がないため魔法なぞほぼ使えない。しかしあやつは肉体すらも再生しておった…あるとすれば、誰かが復活の為に再び肉体を創り出したとしか思えんのじゃ」
「なるほど…しかし、魔王が復活したのはもっと前だと言うこともありませんか?」
「いや、昨日英霊界に行った時確かに盗賊王のやつは魔王が英霊界から消えたと言っておった。あやつはこっそり1度魔王が地獄釜の中に居るのを確認しに行っておるらしい。あやつの事じゃ復活したかもとなれば地獄釜の確認はしたじゃろう。」
「そうですね…そうなるとやはり?」
「うむ。そうなるな。魔法剣士が師匠から託された伝言も含めて考えるとそうとしか思えん。」
「しかし、信じたくはないですね。」
ワシの考えが正しいとするとやはりあの夜、天空城での話は合っておるのじゃろう。
「まぁ、考えても仕方ないわい。ひとまずわしは3人が目を覚ましたら、英霊界にもう一度行く。清龍、3人を頼んだぞ」
「かしこまりました。石集めもさせた方が?」
「そうじゃの。石を集めておいてくれ。時間が無い。最悪一組、大賢者だけでも生き返らせられる準備を」
「かしこまりました。」
「さて、わしらも寝るとするかの。」
「良い夢を」
さて、また忙しくなるぞ。嫌な気持ちもあるが500年振りの闘いにうずうずしている自分もいる。これからの世はどうなっていくのかー
公開可能な情報12.復活
英霊界から規定世界に戻る特例の一つで、神獣の石一組事に一人を復活させる事ができる。しかし復活も万能ではなく、肉体にある魔力や神力が落ちきっていると骨だけの状態で復活し、完全に力等が復活1年を要する




