第89話 北方騒乱編 ~えっ? 北方遠征ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「北方へ遠征する!」
「遠征するのー」
「お嬢様方、イキナリ何事ですかな?」
ウォルター相手に、無い胸を逸らしている幼女、ハイガンベイナ4歳です。
をぃ、慎ましやかな胸を見て笑った奴はどいつだ? ケツ毛を毟ってやるから此方に来い。
「ついては、オイルサーディンのサンドイッチを要求する!」
「要求するのー」
「はぁ、どうしてサンドイッチと遠征が関係するのですかな?」
判らん奴だな。 お弁当に決まっているじゃないか。
「ついでにデザートも要求する!」
「要求するのー」
「料理長にブン投げても宜しゅう御座いますかな?」
何故か疲れた表情のウォルターに案内されて厨房へ。 良いじゃん別に。 遠征だろうが遠足だろうが、お弁当は無駄にはならないぞ。
「で、お嬢様方の弁当を作れば宜しいんで?」
「スマンが頼めるか? 料理長」
えっ、林檎の人は料理長だったの。 何だか有難い気がするから、拝んでおこう。 南無南無。
「えっ、拝まれる程にお弁当が欲しかったんですか? それじゃぁ気合を入れやすね」
拝んでみるもんだね。 こんな事でお弁当のグレードが上がるんなら。
「それでピクニックみたいなモノと考えても宜しいんで?」
「よきに計らえー」
「計らえーなのー」
あっ、何だか疲れた顔をされた。 なんで?
「どちらの方へお出掛けに?」
「北の方なのだ」
「北の方なのー」
「それなら少し、濃い目の味にしやしょうかね」
おおぅ、出掛ける方角によって、内容が変わるのか。 否応にも期待値が上がるね。
「出来やしたら使えをやりやすから、お部屋でお待ち下せぇ」
「うむ、判った」
「判ったのー」
ふふふっ、プロの作ったお弁当か。 思わず北方を更地に変えたくなってしまいそうだよ。
アレ? 邪魔だからさっさと部屋に帰れ? さーせん。
何故だろうな。 私は横暴な領主であって畏怖される存在だと思っていたんだけど、皆して「仕方が無いな」って顔をされるんだ。
何と言えば良いのかな。 言葉の後に「飴ちゃん食べる?」って続きそうなカンジって言えば判るかな?
まあ、嫌われているワケではないみたいなので、それほど気にはしていないんだケド、なんだか釈然としない気分なんだ。
威厳が足りてないのかな? 今度ポージングの練習でもしてみるかな。
何だかよく判らない内に部屋に連行されて、ハトリと2人で暇を潰す事に。
「騒々しい、静にせよ!」
「ママー、なにやってるのー」
「威厳の練習だよ」
「ハトリもやるのー。 騒々しいのー、静にするのー!」
ふむ。 ハトリは何をやっても可愛いな。 流石にハトリの外見では、威厳よりも可愛さが勝ってしまうのは致し方無い所か。
まあ、私みたいな大人なレディーには無縁の話だが。
「せよ? せよ。 せよぉ」
「なの? なの。 なのー」
二人してポージングの研究をしていると、お弁当箱が到着した。 結構な時間、熱中していたみたいだ。
えっ? お供はどうするのかだって? いらないよ。 足手纏いにしかならないし。
そんな事より、中身チェックだぁ! やるよね、普通。 えっ、やらないの? 到着してからのお楽しみ?
ふっ、私達は不良だからな。 答えがあればカンニングするのは常識なのだぁ。
てな事で、ご開帳。 おおぅ、凄い、凄いぞコレは!
「ハトリ、こういったお弁当はな、頑張った後に食べるのが美味しいんだ」
「頑張る?」
「そう、頑張るだ。 頑張って敵を殲滅した後に食べるのが美味しいのだ」
「頑張って敵を倒すのー」
そして、テンション爆上がりになった私達は、そのまま北へと進軍した。
途中で生き残りの盗賊なんかにも遭遇したが…。
「命が惜しければ、」
「とぉーなのー」
「【纏めて爆ぜろ】!」
と、この様に無人の荒野を行くが如く歩を進める。
「ここから先は、マウンテンリバー領だ。 誰であろうと、許可無く通ることは許され無い」
「とぉーなのー」
「【纏めて爆ぜろ】!」
マウンテンリバー領の領都へは後少し。
ふっ、ふっ、ふっ。 お弁当を美味しく頂くために、食前の運動になって貰うよ。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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