第85話 北方騒乱編 ~えっ? 武器商人ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「ふっふっふっ、今宵は血の雨が降る」
「お嬢様、雰囲気を出している所申し訳御座いませんが、通行の邪魔ですよ」
「ママに雰囲気は似合わないのー」
何故かジョジョ立ちが不評な幼女、ハイガンベイナ4歳です。
私たちは今、中央市場にあるジャック・クールの屋敷の前で、突入のタイミングを探っているのである。
まあタイミングと言っても、1、2、3程度のモノなのだが。
「ハトリ、一人も逃さない様に出来るか?」
「糸を張っておくのー」
「うむ、頼む」
やっぱり、ハトリは優秀だね。 人間相手に手間取るとか、想像出来ないもん。
「おおぅ、ハトリ殿は糸使いなのですな。 実は私も鋼線使いなのですよ」
「違うのー、ハトリは蜘蛛だから、糸は得意なだけなのー」
「はっ、はっ、はっ。 ハトリ殿は蜘蛛設定ですか。 お嬢様と気が合うのが判る気がします」
「ハトリはこう見えて、剣士なのだよ。 しかも剛剣使いだ」
「剣も得意なのー」
「はっ、はっ、はっ。 それは頼もしゅう御座いますな」
頼もしいなんてレベルじゃないのだけれどね。 これは披露するパターンかな。
「ハトリさんや、あそこに門があるわけだが、剣でパパッと切り開いては貰えまいか」
「判ったのー。 余裕なのー」
「いやいやハトリ殿、いくら何でも門を剣で門を切り開くなど出来るハズが…」
「とぉーなのー」
「なんちゅう脆い門じゃ」
「キャラが崩壊しているぞ、ウォルター」
まあね。 どうやったら剣で門を微塵切りに出来るのかは謎だけど、ハトリだからね。 こう言う事もあると思うよ。
「お嬢様、どうやら歳を取り過ぎたのか、常識を見失ってしまった様です」
「いやいや、ハトリには常識が通用しないだけだから…」
「曲者だーっ、者共、出合え、出合えーっ!」
「うるせぇよ、【爆ぜろ】」
「お嬢様、今、人間が爆発する夢を見ました。 歳は取りたくないものですな。 そろそろ引退を覚悟せねばならぬ様です」
「おぅ、ウォルター。 無理はするなよ」
私達には常識は通用しないからね。 強く生きるんだぞ、ウォルターよ。
「相手は少数だ。 囲んで攻めれば何とかなるハズだっ」
「とぉーなのー」
「うぎゃぁぁぁぁぁーっ!」
「くそっ、こんなガキに殺られてたまるかよっ!」
「うりゃーなのー」
「ぐぎゃぁぁぁぁーっ!」
そりゃそうなるよね。 確かに見た目は幼い少女かもしれないが、多分ドラゴン相手でも苦戦しない強さだからね。
それが今や、剣豪顔負けの技量と膂力でバスターソードをレイピアみたいに振り回しているんだもん。 しかも目下成長中。
控えめに言っても悪夢以外の何者でもないと思うよ。 反撃どころか碌に抵抗すら出来ないのだから。
まあ何だ、ドンマイ。
そして私はと言うと、近接戦闘は面倒臭いので、ポンポンと破裂させる始末。
幾らで雇われたのかは知らないが、それがお前たちの命の値段だったってだけの話だ。 ご愁傷様です。
えっ、ウォルターはその間何をしていたのかだって? ほら、後ろで悟りを開いたお釈迦様みたいな人がいるでしょ? その人物で間違いありません。
さて、お目当ては何処かな?
私達の挑んでくる命知らずは減ったのだけれども、私もハトリも駆除を続けていたからね。 数は減っているのだよ。
そんなこんなで、部屋に隠れている連中を、扉バーンからプチプチ殺っているのだけれども、何故か全く見つからない。
おかしいな。 出入り口はハトリの糸で固定しているのだから、逃げられるハズなんてないのだけれども。
そして少し飽きて来ていた8つ目の扉をバーンした時、中で震えていた。
どうやら扉や窓から逃亡を図ったみたいだけれど、それが不可能だと知ったときにヤバさに気が付いたみたい。
まあね、物取りなら逃亡対策なんて取らないし、殺し屋なら寝込みを襲うだろうからね。
出入り口を封鎖してからの虐殺なんて、どう考えてもマトモな連中には見えんよな。
「うぎゃぁぁぁ~っ! くっ、来るなぁぁぁぁ~っ!」
うるさい奴だな。 一応確認すると、ジャック・クール本人で間違い無いらしい。
となると、他の連中は邪魔だな。
「ハトリ、この太っちょ以外は任せても大丈夫?」
「よゆーなのー」
うん、良い返事だね。 要約するに「皆殺しは余裕」って事なんだろうけど、可愛いから許される事ってあるよね?
えっ、違う? 何が?
そう言えば付き添いも含めて、男ばかりを始末しているのだけれど、女性は何処にいるのだろうか?
屋敷って事は、コイツの家族だっている可能性もあるんだよな。 どうしてコイツは自分だけ助かろうとしているのだろうか?
まあ良いや。 調べてみれば判る事だからな。
「マジックスキャン」
ほぅ、「領主暗殺計画」ねぇ。 中々面白いことを考えているじゃないか。
少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




