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第84話 北方騒乱編 ~えっ? 商人ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「で、武器を配っている奴は判明したのか?」

「いえ、この都市か近隣の集落に滞在しているかとも思い調べたのですが、それらしい人物は見つかっておりません」

「ふん」


 何故かあれから1週間も書類仕事をしてしまった幼女、ハイガンベイナ4歳です。


 いやね、気が付いたら書類仕事が片付いているのだから、あら不思議。


 多少は乗せられた感はあるのだが、思わず自分の有能ぶりを思い知った今日この頃。


 そして当初の予定通り、武器を配っている奴を探している最中なのだ。


 確かに移動が楽ではないこの世界では、滞在先を探すのは鉄則なのだろう。


 野営するのだって楽ではないし、危険性もそれなれにあるのだ。


 ゴブリンやコボルトがいなくなって野営はしやすくなったのかも知れないが、その分、盗賊が増えているのだ。


 ましてや無料で武器を配る裕福な者と認識されていれば、身の危険は増すだろう。


 例えば盗賊を蹂躙出来る護衛などがいるなら、野営よりもマシな盗賊の寝座ねぐらで過ごす選択肢もある。


 まあ、選択肢としての野宿の可能性は低いって話だ。


 ならば何処かで寝泊まりしているハズなのだが、場所が特定出来ない、それが現状だ。


 何か見落としがあるのかな? 場所だって多くないハズだし、手間取る事にも思えないんだよね。


 それとも人相書にんそうがきも無い状態では難しかったのか? そうか、人相書か。


 私に絵心は無いが、記憶に直接アクセスする方法ならある。 この場合は視覚野がベストなのだろうか?


 いや、人間の顔認証は確かパーツごとに行っていたハズだ。 ならば記憶野だな。


 私の記憶にある犯人の映像を直接ウォルターに転写すれば…って、認識はどうなるんだ? 知らない間に記憶が増えた所で、認識出来ない可能性があるな。


 ハードディスクに情報が追加された所で、何が追加されたか判らない場合は、探すのに苦労しそうだし。


 ならば、映像を視覚神経に直接送り込むのはどうだ?


 うん、インプット経路だもんね。 上手くいきそうな気がする。


「アイアンクロー&情報転送」

「うわっ、お嬢様、何をって、ジャック・クールではありませんか。 コイツが何か?」

「知り合いか?」

「知り合いも何も、我が領の豪商ですが?」

「へっ?」


 そう言えばジャック・クールって中世ヨーロッパの武器商人だっけか? コッチにもいたのか。 色々と悪事を働いて、投獄されたり脱走したりと悪い印象しかない奴だが、直接会った方が良い気がするな。


 ふっふっふっ、悪事の臭いがプンプンするぜ。 待っていろよ、ジャック・クール。 ケツの毛までむしってやるぞ。


 こんな領にいるんなら、王家御用達なんて事は無いだろうし、情報も全財産も没収してから、見せ物として処刑してやる。


「ふっふっふっ、はっはっはっはっ。 わーはっはっはっ!」

「お労しやお嬢様。 仕事のし過ぎで壊れてしまうとは。 しかし安心して下さいませお嬢様、急ぎの仕事も無い現状ですので、次の素材を見つけ出し、立派な次代を育て上げて見せましょうぞっ!」

「ちゃうわいっ! 勝手に廃人にすんなっ!」

「おおっ、それでこそお嬢様です。 これで暫くは、我が領は安泰ですな」

「ブレないね、お前。 しかも暫くなんだ」

「もう暫くは、壊れないかと」

「ホントにブレないなっ! そんな事より、ジャック・クールに会いに行くぞっ! そいつが武器を配って、集落を盗賊化させていた犯人だっ!」

「何とっ! それでは早速、馬車を用意致しましょう」

「殴り込みたいんだが?」

「なりませんぞ、お嬢様。 彼奴きゃつはあれでも権力者。 私兵も多く抱えておりますから、証拠も無い状態では、突入はお控え下さい」

「ちぇっ」


 面倒臭いな。 そんなの私とハトリで踏み込めば、簡単に蹂躙じゅうりん出来そうなのだが。


「判った。 私とハトリで強襲するから、お前は馬車でユックリ来るが良い」

「いや、ですから内戦にさせない為にも、ジックリと作戦をって」

「心配するな、ウォルター。 抵抗するいとまさえ与えるつもりはない。 短時間で蹂躙し尽くしてやるさ」

「でもですね、お嬢様はお強いかも知れませんが、逃げられる可能性もあるわけでして」

「それこそ不要な心配だ。 人間ごときを私やハトリが取り逃すなんて事は、ありえんよ」

「人間ごときって」

「ここだけの話なのだがな、私は神なのだ」

「ああっ、やっぱり仕事のし過ぎで…」

「嘘とちゃうわい、てか可愛そうな人を見る目を私に向けるんじゃないっ!」


 本当に失礼な奴だな。 これでも幼女神なんだぞ!


「とにかく私は行くからな。 邪魔はするなよ」

「私は衛兵を集めて、突入の準備を進めておきます」

「あっ、そうだ。 ジャック・クールってドコにいるんだ?」

「お嬢様、そんな事も判らないで、何処に突入するつもりだったのですか?」

「えっと、それっぽい所?」

「無計画過ぎませんか?」

「良いだろ別に、今確認しているんだからっ!」

「お嬢様は、チョロいだけでなく、うっかりさんなので、私も同行致します」

「いや、お前はいいよ。 それよりチョロいって何だよ」

「まさか自覚が無かったんですか?」

「だから何の事だよっ!」


 何だよコイツ、そんな目で見ていたのか? 私はこれでも、身持ちが固い幼女なんだぞ。


「そんな事より、さっさとジャック・クールの居場所を吐け」

「中央市場の一番目立つ屋敷ですよ」

「やっぱり、それっぽい場所じゃねーか」

「いや、屋敷なんて幾らでもあると思いますが?」

「『全ての道は、ローマへ通ず』だよ、ウォルター君」

「ダメだこりゃ」


 こんな才色兼備な幼女に向かって、何の不満があるんだか。



少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。


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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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