第83話 北方騒乱編 ~えっ? 治療魔法ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「リカバリー」
「おおぅ、白いワニが消えていなくなったぞっ!」
「成功の様だな」
「流石で御座います、お嬢様」
「いや~っ、それ程でも?」
麻薬中毒患者をサクッと治療して、ちょっと得意気な幼女、ハイガンベイナ4歳です。
さて、私の代わりの生贄が出来た事だし、私は武器を配っている奴をとっちめるとするかな。
「じゃぁそろそろ私は、武器を配っている奴を…」
「素晴らしく有能なお嬢様、次はこの書類をパパッと片付けている美技を、是非我々にお見せ下さい」
「ちっ、ちょっとだけだぞ。 ブレインブースト、フルパワー!」
「おおぅ、素晴らしいですぞ、お嬢様っ!」
山と積み上がっている書類に着手し、次々と消化していく私。 うん、この調子だと今日中には何とかなりそうかなって、えっ、おかわり?
やってもやっても、ちっとも減らない。 おかしいな。 こんな予定じゃぁなかったハズなのに。
「なあウォルター。 さっきから、ちっとも減った気がしないのだが?」
「おやっ、お疲れですかな? ではここらで少し休憩に致しましょう。 オヤツはハチミツはっぷりのワッフルで御座いますよ」
「わーい、ワッフルだー!」
もぐもぐ、うむ、美味である。 やっぱり頭を使った後は、甘いものじゃないとね。
さっき見た時には、いつの間にか「幼女神(亜神)」の(亜神)が無くなって、幼女化してしまうんじゃないかって心配したケド、肉体に精神が引っ張られる事もなくて安心している。
わお、このワッフルは、生クリームが一杯だぁ♡
まあそんな無駄な心配なんてしなくっても、私は私で変わりが無かったので、杞憂だったのだけれどもね。 あっ、それは私のワッフルだぞ、やんないぞーっと。
「それでお嬢様、これらの書類は片付きそうですかな?」
「明日までには何とかなると思うー」
「その調子で、将来は立派なレディーになって下さいませ」
「レディになるー」
小さな握り拳を振り上げ、ガッツポーズを決める私。 ふふっ、カッコいい? そーでしょ、そーでしょ。
おや、こんな事ではしゃぐなんて、ちょっと幼いって? 人間、偶には童心に帰るくらいの余裕が無くちゃぁね。
さぁ、頑張って仕事を片付けるぞー。 ガンバレ私。
「次の書類を持ってくるのだ」
「ははっ、ココに。 さぁ、お嬢様の美技で我らを魅了して下さいませっ!」
「ふふふっ、当然である。 うりゃーっ!」
「このウォルター、今までここまで優秀な主にお仕えした事は御座いません」
「泣くなウォルターよ。 この程度の事、造作もない。 今後も何度も目にする事になるだろうさ」
「おおぅ、私はその言葉を、一生忘れることは無いと誓いましょうぞっ!」
「わはははははっ、もっと褒めても良いのだぞ」
「よっ、大統領っ! 私はお嬢様にお仕え出来て、幸せで御座います」
いやーっ、こうやって有能ムーブをするのも、偶には良い物だな。
「ママはチョロいのー」
「しっ、折角良い気分でお仕事をなされているのですから、ハトリ殿もそれくらいで、遠慮して下さいませ」
何を言っているんだ? 私はチョロい幼女などではないし、単なる有能ムーブだぞ。
あっ、この世界にはムーブをかます連中なんていないから判らないのか。 仕方が無いな。
「ハトリよ、私は私の有能さを証明しているだけであって、決して乗らされて舞い上がっているのではないのだよ。 なぁ、ウォルター」
「そっ、そうで御座いますな」
「あれ? どうして目を逸らすんだ?」
「気のせいで御座います」
「おっ、今度は睨めっこか? 負けないぞ」
「そうで御座います。 何も疚しい事など、ありませんとも」
「なぁ、ウォルター。 どうして汗なんてかいているんだ? 体調不良か? 若くないのだから無理は禁物だぞ」
「これは先ほど走った影響で御座います」
「そうか、ならば仕方が無いな。 運動不足に注意しているとは、見事であるな。 はははははー」
「全くで御座いますな。 はははははーっ」
いやー、今日は働いたなー。 書類仕事ばかりだったけれど、偶にはこんな疲れも心地良いものだな。
この調子で頑張れば、明日には書類は片付くだろうし、そうなれば、やっと武器の調査に出掛けられるだろう。
その為にも、事前調査を命じておくのも良いかも知れないか。
「ウォルター、悪いんだが、この都市周辺で武器を配っている者の調査を頼めるか?」
「了解いたしましたぞ、お嬢様」
「武力には自信があるのだがな。 地道な調査などは苦手なのだ」
「そう言う事なら私にお任せ下さいませ、お嬢様。 では調査が済むまでは、屋敷に滞在で、問題御座いませんね」
「ああ、その予定だが、何か問題でもあるのか?」
「何、こちらの都合で御座いますれば、お気にする必要はありませんよ、お嬢様」
「なぁ、何で悪い顔をしているのだ?」
「気のせいで御座います。 ただお嬢様に毎日お仕え出来る事に、少し緊張していただけで御座いますれば」
「大袈裟だなぁ、ウォルターは」
「はははっ、全くで御座いますな」
ウォルターって、こんなに繊細な奴だったっけ? 気のせいかな?
まぁ良いや。
そうとなれば、暫くは内政なんかにも時間が持てそうだし、ジックリと待つのが最適なのかも知れないな。
「果報は寝て待て」とか「せいては事を仕損じる」とか、「待てば海路の日和あり」って言うもんな。
勿論、武器をバラ撒いている主犯が判明した場合には、容赦はしない。
蹂躙し、殲滅し、根絶する。
私は仏ではないのだから、1度で充分だ。 何処の誰だか知らないが、私の怒りを買った事を、死ぬほど後悔させてやるよ。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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