第76話 幼女神誕生 ~えっ? バイタルラインですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「ハトリ、感じるか」
「あっちの方から臭いがするのー」
ふむ、ハトリも感じ取っているみたいだな。
私達は今、空から盗賊を探索している。 勿論、アイリは吊り下げたままだ。
まだ盗賊だと確定したわけではないけど、近づいて見るかな。
「ハトリ、一応確認に行こう」
「了解だよー」
近づいてみると、汚い格好をした連中が百人くらい屯っている。 アタリじゃないかな。
「降りるよ」
「OKー」
ゆっくりと相手からも見えるような位置に移動してから、着地してみる。
「お前ら、金を出しな。 その捕まえている女も一緒だ」
「ハトリさんや、殺ってしまいなさい」
「とりゃー」
ハトリが飛び出し、異次元収納からバスターソードを引き抜く。 ってかそんな異能も持ち合わせていたの?
そんな関心も余所に、最初のゴミが切り捨てられる。 地を這うバスターソードが風すらも切り裂く早さで凪がれたのだ。
「ぐきゃぁっ!」
おぅ、痛そー。 ありゃ腰斬だっけか? 確か中国で行なわれていた処刑方法で、即死しないで10分くらいは悶え苦しむんだっけか?
別にハトリはそんな事は考えていないんだろうけど、身長差の関係でね、まあ腰斬刑になってしまっているワケだ。
しかし早いな、もう3人も切り捨てたぞ。 圧倒的なスピードと驚異的な膂力から繰り出される斬撃は、抵抗すら許されない。
うん、私も鴨射ちでも始めるかな。 試してみたい方法があるし。
「アイリ、お前は巻き込まれない様に、逃げ惑っていろ」
「ちょっ、放置かよっ!」
「三連レールガトリングガン展開」
レールガンを展開し、上空へ舞い上がる。 試したいのは、空を移動しながらの銃撃だ。 何だか今なら出来る気がするんだよね。
ハトリは近場の賊ばかり屠っているので、私は逃げ腰になっている連中の掃討だ。 見逃すなんて、あり得ないからね。
「ファイヤー」
使用するのは通常の鋼鉄の弾だが、人間相手にはオーバーキルだったようだ。 まあ30ミリもあるからね。 数発ぶち込むだけで肉塊になる。
バイタルライン? 狙う必要があるの?
「ひゃっはぁ! 死にさらせーっ!」
「まっ、待て! 降伏する」
「残念、慈悲は売り切れているんだ」
まるでストパンが行なうシープドッグの様に、逃げ道に先回りし、1つずつ肉塊に変えていく。 爽快だね。 反動に負けない飛行で、照準も安定している。
それに何故か、殺す度に力が増す感覚もある。 経験知的なアレだろうか? まるでゲームみたいだな。
とか思っている内に残り僅か。 いや、予想以上にハトリの殲滅速度が早いな。 一刀毎に動きが洗練されていく。 天才か?
あっ、最後の奴なんて微塵切りじゃん。 どうやったの?
「お疲れー。 何か掴めた?」
「うん、何となくだけど、判ってきた気がするのー」
「凄いな」
やっぱハトリってば天才じゃね? ほんの数時間前に初めて剣を握ったなんて思えないよ。
「なぁ、お前らっていつも、こんな事をしているのか?」
「ん? いや、今のはハトリや私の練習も兼ねて、軽めのヤツだよ。 いつもは殲滅するカンジだ」
「アレで肩慣らしかよ。 初めてペットになって良かったって思ったよ」
失礼だな。 それじゃぁまるで、私達が殺人鬼みたいじゃないか。 単なる処刑執行人だぞ。
「混ざりたいのか?」
「んなワケねぇだろっ! オレはサイコパスじゃねぇよっ!」
「そんな事より、食事の時間だぞ。 ほれ、あそこのなんて活造りだぞ」
「あんなの流石に食えねぇよ。 まだ生きて呻き声を挙げてるじゃねぇか」
「新鮮なのが好きかと思ったんだがなぁ」
「新鮮過ぎるだろっ!」
本当に文句の多い奴だ。 ハトリなんて、相手の持っていた武器を吟味しながら格納していると言うのに。 お前も掃除を手伝えよ。
何とか原型を止めている死体を中心にアイテムボックスにしまい込み、まだ生きが有るゴミは暫く放置だ。 折角ハトリが腰斬刑にしたのだから、楽にする必要も無いからね。
一通り作業を終えてみると、ハトリが剣を振って悩み始めた。 何だろう、納得がいかない事でもあったのかな?
「どうしたの?」
「何かね、ズバッとやると、遠くの物でも切れる気がするのー」
「それって、列空斬的なヤツ?」
「何ソレー?」
「こう、真空や魔力の刃を飛ばして、離れた敵を切り捨てるみたいな?」
「魔力を飛ばす…こうかな?」
「ふふぇっ?」
今何か飛んで行ったきがしたよ? 何なのこの娘。 ガチの剣士なの?
その後暫く、ハトリの列空斬の修行が続くのだった。
少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




