第72話 幼女神誕生 ~えっ? 生贄ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「放せーっ!」「アイリをどうするつもりなんだっ!」
「コイツは貰っていく」
「そんな事が許されると思っているのかっ!」「そうだそうだっ!」
「当然に許される。 何故なら私は領主だからな。 逆らう者は皆殺しだ」
一応に押し黙る一同。 まぁそりゃそうだわな。 どうすりゃ良いか判らないよな。
「うっ、嘘だ。 お前みたいな子供が領主のハズがないっ!」「良く見りゃコイツ忌み子じゃねぇかっ!」「やっちまうか?」
「ほぅ、面白い事を言う。 ならばお前たちは、領主を襲った盗賊として処刑する。 異議は無いな」
「横暴だっ!」「出来るワケがねぇっ!」
「ハトリ、見せしめに2~3人殺してやれ」
「了解だよー、じゃぁーんぷ」
「ぐぎゃっ!」「うわーっ、逃げろーっ!」
まあ当然の結果か。 彼らは既に盗賊なのだ。 生かしておく理由なんて無いのだから。
逃げようとした連中の内、2人がグルグル巻にされて転がされる。
「生で食べるのか? お腹を壊さないのか?」
「ゴブリンよりはマシなのー」
「そうか」
私達の会話を聞いた連中の顔色が蒼白になる。 まさか処刑の内容が生きたまま食われる事だとは思っていなかった様だ。
「たっ、助けてくれっ!」
「盗賊の末路なんて、処刑以外の選択肢があるとでも思っていたのか?」
「オレ達は食うに困っただけなんだっ!」
「盗賊になった理由は関係ない」
「嫌だーっ!」
拘束された盗賊にハトリの牙が突き刺さると、途端に大人しくなった。 神経毒かな?
そして前脚で抱え上げて口の方へ。 もちゃもちゃ。
何だかハトリのテンションが下がった気がする。
「美味しくないのか?」
「なんか肉が臭いのー」
「そうか」
勿論それでテンションが下がったのは私達だけではない様で、他の盗賊達のテンションも駄々下がりである。
「終わりだ…」「だからオレは反対だったんだよ」「嫌だぁ、死にたくないよぉ」
盗賊の未来は暗い。 例えそれが生活苦から盗賊への転職だとしても同じ事だ。 結局誰も得をしないのだ。
せめてもの慈悲として、一思いに火刑にでもしてやろう。
「ヘルファイヤ」
「うぎゃぁぁぁ~っ!」「熱い、熱いよーっ!」「助けてーっ!」
領主としては盗賊なんて許容出来ないし、するつもりもない。
同情の余地はあるかも知れないが、許容してしまえば犯罪者を増やすだけの結果になるだろう。 バレなきゃ良いとでも思ったのかね。
そんなに苦しいなら集落を捨てて何処へなりとも行けば良かったのだ。 まあ結果として野垂れ死ぬかも知れないが。
私はこの世界にご都合主義的な人権なんてモノを持ち込むつもりも無いし、メリットも感じない。
単に滅亡した集落を、記録として残すだけだ。
もしかしたら徴税人に、過酷な税の取り立てを行なわれていたのかも知れないが、ここの連中の最悪な部分は、その徴税人ではなく私を襲った事だ。 殺しやすいとでも考えたのだろうか?
その発想自体が盗賊のそれだし、その時点で生かしておく理由が感じられないな。
考えるのは止めよう。 それよりも最初に確保した異能持ちの方が重要だ。
「ハトリ、ソレは無理して食べなくても良いけど、問題は異能持ちだ」
「ママも食べるー?」
「いや、食べないけどこうする。 アナライズ」
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名前 : アイリ
年齢 : 10
種族 : 山犬
性別 : ♀
生命力: 90
魔力 : 600
攻撃力: 80
防御力: 20
特殊技能: 狩り 人化
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へっ? 山犬? 犬? 人化?
そうか、コイツをハトリが食べれば、人化出来るのか。 確かに有用だな。
でも人化なんて始めてみたぞ。 もしかしてかなりレアなんじゃないのか。 2度と出会えないんじゃないかな?
うーむ、こんな所で勿体ないなんて思うのは異常なのだろうか?
「おっ、オレをどうするつもりなんだっ!」
「何をするのだ」
おや? オレっ娘だと? 益々ㇾア度が上がってしまったな。
「お前、幼女みたいな外見をしていて、男だったのか?」
「コークスクリューパーンチ!」
「ぐへっ!」
私みたいな可憐な幼女が男の娘のワケないだろ、失礼な!
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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