第71話 幼女神誕生 ~えっ? 盗賊狩りですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「嫌だぁーっ、盗賊狩りに行くんだぁーっ!」
「お嬢様、せめてこの書類だけでもっ!」
「そう言って、ズルズル引き伸ばすつもりなんだぁーっ!」
「そっ、そんな事はありませんぞ」
「おい、目を逸らすんじゃぁない!」
ウォルターの引き延ばし作戦にハマり、ズルズルと延長する事2日、やっと出発の日が来た。
『行くよ、ハトリ』
『はいなのー』
2人して街の外に出て、人目が無くなった所でハトリに騎乗した。
これは私の足が遅い事と、ハトリが運搬の異能を取得していた事により決定した事だ。
尤も、目撃されても騒ぎにならない様にするために、ハトリには透明化と気配遮断をしてもらっているにだが、結果としては幼女が馬乗りの恰好で地上1メートルを滑空する様に見えるのだから摩訶不思議である。
そして街道をある程度進んだ先で、男に声を掛けられた。
「おい、待て!」
「ん? 何か喋った?」
「喋ってないよー」
「うん、なら先を急ごう」
「了解だよー」
「だから待てって! おい!」
五月蝿いな、こちとら路傍の石になんて用は無いんだよ。
「待てーっ!」
「おい、弓を出して射掛けろ!」
「へい、お頭」
ん? 何だか騒がしいぞ。 後ろを振り返って見ると、そこには武器を持った10人近い男達が追跡していた。 あっ、息切れしているじゃん。 運動不足?
「おぅ、やっと止まりやがったな。 こっちを見ろ。 動けば射掛けるぞ」
「サンダー」
「うぎゃぁっ!」
「くそう、よくもやりやがったなっ!」
いや、やりやがったも何も、弓を向けている奴がいたら、普通は攻撃するだろ。 面倒なんだし。 まあ、弓程度じゃぁ掠り傷さえ負わないケドな。
「で、何の用なの?」
「身ぐるみを全て置いていけ。 着ている物も全てだ」
「変態!」
「違う、盗賊だっ!」
あ、コイツらが盗賊だったのか。 あまりのしょぼさに、変態の集団かと思ってしまったよ。
「断る」
「てめえは断れる立場じゃねぇんだよっ!」
そう言って、腰の剣を抜いて威嚇してくる。 でもね、オークやオーガがいなくなってから始めた盗賊だろ? ゴブリンと大差が無いと感じてしまうんだが。
「バカ?」
「ちゃうわいっ! てか、余裕あり過ぎだろっ!」
「ヘルファイヤー」
「うぎゃぁぁぁ~っ!」「熱い、熱いよぉ!」「消えない、消えないぞ、この炎!」
まるでしょぼいキャンプファイヤーだな。 結局、戦闘と呼べるモノは無かったし。 まあ、次に期待だな。
炭になった男達を、遊んでいなかった証拠として確保し、アイテムボックスにぶち込んでおく。
「しょぼかったな」
「異能持ちもいなかったのー」
「判るのか?」
「直感の異能があるのー」
そうか、直感か。 てか現在はどのくらいの異能を所有しているんだ?
「それ以外にも取得した異能にはどんなモノがあるんだ?」
「んーとね、計算とか志気高揚とか、身体教化に魔力強化とか、横薙とか唐断ち割りとかもあるよー」
「おうふっ、大漁だね」
「うん、たくさん食べたのー」
計算って商人からかな? じゃあ志気高揚って指揮官?
異能狩りをしていたのは傭兵だけじゃあ無かったんだね。 そう言えば運搬もあるんだっけか。
「次に行くぞ、次」
「らじゃー」
その後、戦闘とは呼べないキャンプファイヤーを数回繰り返した後に、とある集落に辿り着いた。 勿論ハトリは透明化している。
「いるよー、この集落に異能持ちがいるよー」
「えっ、荒びれている印象しか無いんだが?」
「多分ねー、ハトリの役に立つ異能持ちがいると思うのー」
だが門を潜ると、途端に刃物を持った集団に、周囲を取り囲まれる。
「おい、金を出せっ!」「食料もだっ!」
「ここは盗賊の集落なのか?」
「ドコを見ている」「どう見ても普通の集落だぞ」
「いや、入ってすぐに強盗とか、盗賊の根城と同じだろ」
「ただ単に、食糧危機なだけだっ!」「盗賊の所為で、物資が入ってこないだけだっ!」「我々は被害者だっ!」
「殺して良いかな?」
「見つけたのー」
そんな事を言って姿を表したハトリに、全員が押し黙る。
そして視線は、ぐるぐる巻にされた少女に集中していた。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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