第7話 魔女賢者~えっ? 役作りですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
そう言えば、脳って自前の思考加速能力を持っていたんですよね。
例えば、ゾーンと呼ばれる状態に至ったプロ野球選手は、ボールの縫い目を認識出来たり、走馬灯は死中に活を見出すために脳内で高速処理を行っているんだとか。
もっとも、脳内化学物質をドバドバ出し続ければ、廃人になる可能性もある諸刃の剣っぽいけど。
それに通常は脳の潜在能力の5~7%程度しか使われいないとか。
何が言いたいかと言うと、
もしかして残りの部分を分割して使用すると、マルチコア的な事が出来るんじゃね?
しかもTSSでマルチスレッド、脳内化学物質でターボブーストっぽく出来るんじゃね?
それってもう、マルチコア、マルチスレッド、ターボブーストのハイエンドCPUじゃね?
そんなバカな発想を元に、あれこれ試してみた結果、実現の目処が立ってしまった。
いや怖いね、異世界。 いや、もうコチラの住人なワケだから、元ファンタジーと言うべきか。
ときどきテストしてたりするんだけど、視界がスーパースローになったりするんだよ。
まあ、面白がってやり過ぎて、少し死にかけたけどな。
でもまあ、以前言っていた賢者設定、実現しそうだわ。
肉体のスペックは、未成長って事で何とかなりそうだし、話す内容はバックグラウンドでアカシック先生に聞けば、解決しそうだしね。
問題は、女賢者の存在をアカシック先生ですら知らないって事だ。
相手は『魔の森の魔女』。 普段はバカっぽいけど、実年齢は千歳を越えてるっぽいし、本当の意味で『魔の森』を支配してきた魔女だ。
知略も戦闘能力も、ダース単位のドラゴンが尻尾を巻いて逃げ出すレベル。
『魔の森』って、魔物の森じゃなくて、魔女の森なんじゃないかな。
現に周辺国家にとって、禁断の地って感じだし。
そんな『魔の森の魔女』に対して、「私は山奥に隠れ住んでいた賢者です」って言って、バレないのかって話だよ。
アカシック先生曰く、『魔の森の魔女』は、ガチヤバって事だからね。 命はまだ惜しいし。
そもそも、あのロリババアが、どうして私を助けたのかってのが不明なんだよ。
まさか、0才児が胃痛で悩む事になるとは思わなかったよ。
「おーっ、どいちたんでちゅか? そんなに難しい顔をして」
「ばぶっ」愛想笑い
「今日も可愛いでちゅね~。 あっ、そうだ。 あなたの名前を考えて来たんですよ。 エカテリーヌなんてどうでちゅか?」
「ばぷっ」ぷい
「え~っ、折角考えてきたのに、おばあちゃんショックです~」
えーい、そんなニシキヘビだか縦ロールだか、分かんない名前なんてゴメンだ! 却下だ、却下。
大体、キャラがブレ過ぎなんだよ! 人に会わないからって。
それとも何か、ロリババアに『のじゃ』設定って、盛らないと死ぬ病気なのか?
砂糖にハチミツを掛ける位、濃過ぎるんだよ。
「ところで私は、他人が何を考えているのか、何となく分かったりします」
「ひいっ」
こえーよ、マジで。 急に素に戻るのは止めてくれません? 心臓に悪いからっ!
「ひっ、ひっ、ひっ。 楽しみじゃのう。 3年後くらいかのう」
ひぃぃぃぃぃ、バレてる? 3年後って何? それとまた、キャラがブレてるよ!
「ひっ、ひっ、ひっ」
「ばぶぅ」
悪夢がフェードアウトしていった。
ああっ、ホントにどうしよう。 乗り切れるのか? 3年後。
いや、乗り切れるかじゃない。 乗り切るんだ。
武田信玄も言ってたじゃないか。 「為せば成る、為さねば成らぬ。成る業を成らぬと捨つる人の儚さ」って。
要するに「ヤっちゃえ、私」って事だろ?
上手くすりゃあ、ボケるかもしれないし。
「ボケてないわよ。 ふん」
ひぃぃぃぃぃ、ゴメンなさい、ゴメンなさい、ゴメンなさい、ゴメンなさい。
「本当に期待してるわよ、3年後」
「ばぶっ!」ビシッ!
終わったぁ。 いや、終わりじゃない。
3年。 3年だ! まだ3年ある!
やれることは全てやろう。 生き残るんだ。 たとえ魔女の酔狂だったとしても!
最悪の場合は、逃げれば良いワケだし。
逃げ…られるよなぁ、私。 転移魔法とか持っていたら、完全に詰むぞ。
弱気はダメだ。 最強の一角は、戦う能力が世界最高なのであって、追い込むのが得意とは限らないじゃないか。
どちらかと言えば、蹂躙とか殲滅とかを得意にしているみたいだし。
全力で騙す、ダメだったら全力で逃げる。 それだけだ。
威力だけでなく、精密さや速さも身に着けよう。
全ては、生き残るために!
少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー