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第55話 幼女侮蔑 ~えっ? 聖女ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

 私とヘル、ハトリとポチに見つめられる中央で、ミノムシは正座していた。


 さて、どうやって料理しようか。 取りえず情報収集も兼ねて、根掘り葉掘り聞き出そう。


「で、お前は何者なのだ?」

「えーとぉ、魔王討伐に参加すれば黄金がたんまり手に入るって言われてだまされた、しがない聖女っす」

「お前がちぇい女? 随分ずいぶんと見ちゅぼらちいな」

「いやいや、これでも正式にロルマ聖教会で認定された聖女なんすよ。 捕虜ほりょとして、暖かな食事と食後のワインを要求するっす」

き肉とウェルダンはどっちが好だ?」

「血がしたたるような、レアが好っす」

「良ち、このメリケンちゃックで血がちたたる様にちてやろう。 ちょく材として横になれ。 ついでにこの良く切れるナイフでちゅじ切りもちてやろう」

「すんません、ホンマにすんません。 調子に乗っておりましたぁ!」


 ミノムシが土下座した。 ちっ、命拾いしやがったな。 死体は情報を吐かないとは言われるが、死ななければ五体満足である必要性すら無いのだがな。


 面倒だ、さくっと情報収集でもするか。 頭をぐわっと掴み、呪文を唱える。


「マジックちゅキャン」

「うぎゃぁぁぁぁぁ~っ!」


 何だかのたうち回っているバカは置いておくとして、コイツはまごうこと無く聖女だった。 まあ寄付金の着服とか犯罪歴であふれ返ってはいたが。


 だが、このまま処分するのもつまらない。 敵とは言えタダ殺すだけでは芸が無いしな。 よし、一計を案じてみるか。


「お前のちょ属ちゅる国は?」

「聖王国っす」


 うん、嘘は言っていないな。


「討伐軍の全容は?」

「騎士団二つと補佐の傭兵団、後は支援の教会勢力っす」


 これも合っているし、すべて駆逐くちく済みだ。


「ちん行計画の内容は?」

「知らされていないっす」


 所詮しょせんは下っって事だよな。


「うむ、お前はちょうじき者である様だ。 褒美ほうびとしてコレを与えよう。 換金すればちょれなりの金額になるだろう」

「有り難うございます、感謝するっす」


 与えたのは、背中に傷がある血まみれの騎士鎧や、穴だらけ鎧など、換金に困る物を中心にした。


 更には、周囲に散らばっている木材と金属を用いてパパッとリアカーを作成し、積み込みまでも協力する。


「達ちゃでな」

「何から何まで有難いっす。 魔王さんは良い人っすね」

「ちゃっちゃと行け」

「わかったっす」


 結構な重量があるハズの戦利品を牽引けんいんし、汗をらしながら聖女は去っていく。 うむ、良いカンジに悲壮感も無いな。


 いずれは消息不明扱いになる騎士達が着用していたよろいを換金する聖女、普通に考えれば褒美でも何でもない事に気付きそうなものだが、あのバカには無理だろう。


 いや、むしろ情報提供の正式な対価と考えている様子から見ても、強引にでも換金しようとするのではあるまいか。


 良くて死体あさり、悪ければ裏切りなどが疑われて処刑されてもおかしくは無い。


 あの中に忍ばせておいた司祭のロザリオには気付いてくれるかな? 悪用でもしてくれたら最高なのだが。


 まあ、司法裁判が存在しないこの世界では、貴族や教会上層部の心証がバカの未来を決定するのだが、是非ぜひともあの聖女には、強欲な方での努力に期待したい。


 威信を掛けて送り出した騎士団が、全員行方不明。 勿論死体はハトリが美味しく頂くからなのだが、貴族や教会上層部は、唯一の生き残りである聖女に注目するだろう。


 そこで騎士鎧を売り払った事が表面化すれば、さぞかし興味津々《きょうみしんしん》な目で見られるハズだ。


 だが悲しいかな、裏切り者の言葉は信用ならない。 そこで、自分たちが望む答えを、あの聖女に言わせ様とする事になるのだ。


 そう、拷問ごうもんフルコースなどの手段を用いて。


『あっ、ヒールとリカバリーも覚えたのー』


 うむ、今日もハトリは可愛いな。 教会関係者の死体からは聖魔法関連も習得出来たみたいだし、後で教えてもらうとしようかな。


 さてさて、この後はどうしようかな? 残った死体はハトリのオヤツとして確保するにしても、一応の目的は果たしたワケだし。


「今後の希望はあるか?」

「今後ですかぁ?」

「いちょいで戻る必要もあるまい」

「ですねぇ、じゃあ街にでも行ってみますかぁ?」

「街か…」


 街ねぇ、確かにこの世界の住人も見てみたいし、現金も回収してあるので、それなりには楽しめるかも知れないな。


「ハトリはどうしたい?」

『どっちでも良いよー。 あっ、根暗っぽいのから、気配遮断と透明化も覚えたよー』


 根暗って、それって暗殺者じゃね? どうしてそんな奴がまぎれ込んでいるの? てか光学迷彩も覚えちゃったの? やっぱハトリって優秀じゃね?


「ポチは?」

「私は久々に処女の生き血が飲みたいですな」


 あぁ、あの聖女で喉の渇きを覚えちゃったか。


 うん、街も良いかも知れないな。 このメンバーなら危険な目に合うことも無いだろうし。


 よし、行くか。 街を堪能しに。


 まあ、阿鼻叫喚あびきょうかん地獄絵図じごくえずり広げられるとしても、主演する方だしな。


「街に向かってちゅ発ちゅる!」



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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