表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/300

第52話 幼女俯瞰 ~えっ? 傭兵団ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「ベイナ様ぁ、そろそろ起きて下さいよぉ」

「う~む、あと一日~っ」

「ポチぃ、やっておしまい」

「承知」

「ぎょえ~っ」


 昨日は一日、ベッドの中でふて寝をしていたのだが、二日連続はダメらしい。 くっ、ふて腐れる事すら許されないのか? 理不尽だ!


 魔王認定のダメージは思いの外深く、一日中、動く気すら起こらなかった。 ホント何なん?


 しかし、世間は当然の様に世知辛せちがらく、私に討伐隊を迎え撃てと言う。 憂鬱ゆううつだ。 まあそれでも、このままでは事態が好転しない事も理解してはいるのだ。


 仕方が無い、起きるか。


「ごはんー」

「今から用意しますねぇ」


 そう言って、ヘルが朝昼兼用の食事を用意してくれる。 ふーん、意外と家庭的な所もあるんだな。


「はーい、オークとオーガの兜煮かぶとにですぅ」

「…あのぉ、目が合ったんでちゅけどぉ」


 前言撤回、コイツに期待したのは間違いだったわ。


「あーれぇ、オークとオーガの睾丸こうがん煮の方が良かったですかぁ」

「ちょーゆー事じゃないからっ!」


 何で寝起きから兜煮なんだ? しかも次点が睾丸煮って何だよ! ムラムラしたらどうするんだよ!


 いくら異世界で生きていく心構えが出来たからって、ゲテモノ料理は無理だ。 せめて一般的な食事にして欲しい。


「好き嫌いをしているとぉ、大きくなれませんよぉ」

「ちゅき嫌いの問題じゃない!」

「仕方が無い人ですねぇ。 人間の男を2~3人シメて来てぇ、白子しらこの酒蒸しでも作りますかぁ」

「何で精巣ちばりなんだよ!」


 どうあっても私に金玉を食わせたいのか? 何の恨みがあるんだよ!


「元気が出るぅ、料理の定番らしいですぅ」

「違う方向ちぇいで元気になるわっ!」


 元気を付け様としてくれるのは有難いのだが、性的に元気になるのは違うと思う。 違うよね?


「感ちゃはちゅるが、ゲテモノは却下だ」


 流石に目が合ったオーガを食べる気にはなれないので、マジックバッグから取り出した干し肉を、モソモソとかじる。 うん、定番の不味さだ。


 何とか水で流し込み、これからの行動方針を語る。 あっ、ハトリは窓から覗き込んでいるのね。


「今日はこれから、討伐隊を狩る」

『やったー、いっぱい狩るー』

「ふっ、ふっ、ふっ。 人間を狩るのはぁ、久しぶりで腕がなりますぅ」

「ご下命、謹んでお請け致します」


 ふっ、ふて腐れていたのは私だけだったか。 そう言えばコイツらって、人類の敵だったけ。


「でぇ、どのようにぃ?」

「たーチ&デちゅトロイ、見つけちだい、殺ちぇ!」

『がんばるー』「了解ですぅ!」「承知!」


 ハトリは引き絞られた矢の様に飛び出し、ポチは霧化して音も無く進行する。


 それを見届けた私とヘルは、高高度からの魔力探査だ。 ふーん、まだまだ外縁部ってカンジだな。


 討伐軍の進行速度は遅く、魔の森の攻略に手間取っている様だ。 見てくれだけは勇ましく、周囲にモンスターの死骸が転がってはいるのだけれど、満身創痍まんしんそういな者達も少なくはない。


 あの死骸って、ハトリの気配にビビって逃げたヤツらだよな。 ゴブリンとかコボルトとか、多少はオークやオーガが混じってはいるとはいえ、雑魚感は否めない。


 それなのに苦戦しているのはどうしてなのだろう? 思っていた以上に、この世界の人間は弱い存在なのだろうか?


 あっ、突出した一人がゴブリンに囲まれて、タコ殴り状態だ。 うへーっ、マジ弱ぇ。 恰好を付けて「サーチ&デストロイ」なんて言っちゃったよ。 あんなの駆除レベルじゃん。


「なぁ、ヘル」

「何ですかぁ?」

「人間って、あんなに弱いのか?」

「ほらぁ、あそこの旗を見て下さい」

「旗?」

「あれはぁ、傭兵団の団旗だと思いますぅ」

「どゆこと?」

「それなりにぃ、実績がある傭兵団だと思いますぅ」

「マジか」


 なる程ねぇ、確かに団旗を作る傭兵団なら、寄せ集めって事はないかもね。 でもなぁ、あれじゃぁアロワナにだって食べられるレベルだろ。 魔王討伐隊とは此れ如何いかに。


「多分、スタンピード用の人員だと思いますぅ」

「つまりはちぇん遣隊?」

「本隊はぁ、騎士などで構成されていると思いますぅ」

「アレよりはマちって事?」


 要するに傭兵団は露払いって事か。 でもなぁ、仮にアレの二倍の強さでも、ハトリのブレスで一蹴されるレベルじゃね?


『見つけたのー。 やー』


 おっ、早速ハトリの戦闘かな? あれ、何だか一方的な虐殺になっている気がしないでもないが、取り敢えず無視をしよう。


「いざ、参る」


 ん、今度はポチが参戦かな? ってコッチも一方的な展開になってない? 気の所為せいなのかな?


 数百人はいた気がしたが、今では数えられる程になってはいる。 多分目の錯覚なので、遠くでも眺めて気分を落ち着けるた方が良さそうだ。


 あっ、断末魔が合唱してる…。 うん、ココには傭兵団なんていなかったんだな。 気の所為だよね。



少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ