第51話 幼女帰還 ~えっ? 休養ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
ふふふふふふふっ、ふぁはははははははっ。
「帰ってきたどー!」
溢れかえる自然、本物の地面、本物の空。
ダンジョンを脱出したソコには、懐かしい「魔の森」が広がっていた。
「地上はぁ、久しぶりですぅ」
「我も懐かしい気分であります」
『何だか楽しそうなのー』
お供の者達の顔も晴れやかだ。 うんうん、閉塞感のある地の底なんかよりも、解放感があるよね。
「をぃ、何をはっちゃけているのだ?」
「うげぇ、魔女ちゃまだぁ!」
「どれ、マジックスキャン」
「うぎゃぁぁぁぁ~っ、またこのパターンでちゅぅ~っ!」
くぅ、また汚されてしまった。 と言うか、あんまりやられるとバカになりそうなので、止めて欲しい。
「ところでお前は、世界でも征服するつもりなのか?」
「へっ、一体何を?」
魔女様が、とっても残念な何かを見る様な目で睨みながら、飽きれたように溜め息を吐く。 ヤメて、ベイナは良い子だよ!
「そこにいるのは死神だよな」
「ヘルでちゅ」
「そいつは笑いながら国を消滅させた事がある」
「アレは、楽しかったですぅ」
「ちょっ、何やってんの?」
ニヘラニヘラと笑ってやがる。 いや、死神だから、それくらいは普通なのか?
「さらにそこにいる真祖は、現れただけで、中規模の国家なら危機に陥る」
「ポチってやんちゃだった?」
「昔の事でございます」
まあ日光を克服した吸血鬼だからな。 中途半端な戦力なら、返り討ちに遭う可能性もあるかな。
「極めつけは、そこの…ヘルスパイダーだったか?」
「ハトリでちゅ」
「そいつの所為で、付近一帯の魔物が、逃げ惑ってスタンピードが発生しつつある」
「ハトリちゅごいでちゅぅ」
『えへへー、それほどどでもないよー』
ハトリって凄いんだな、いるだけでスタンピードを発生させるとか。 で、どうしてソレが世界制服に繋がるんだ?
「そして、そんな終焉を告げる者達を統べるのが、お前だ」
「ふむ?」
「おめでとう、災厄レベルだ」
「ちぇ界ちぇい服なんて、ちないよ?」
「世界中の神殿では、【魔王が災厄を率いて魔の森に現る】との神託が下ったそうだ」
「ふぁっ?」
誰だよ、そんな神託を発表した奴は! あの抜けている女神の所為だとは思えないから、人為的なモノじゃないのか?
「因みに魔王を倒すと、莫大な量の金塊が手に入るそうだぞ」
「げふぉっ!」
金塊ってアレか? あの泥ウンコの事なのか?
「ハッキリ言おう。 お前は世界の敵になった」
「ふぎょぉーっ!」
「ベイナ様ぁ、ファイトぉ!」
『かんがれー』
「お供いたします」
どうしてだ? どうしてこうなった? orz
「まあ何だ、お前も疲れているだろうし、暫くはユックリと休むが良い。 いくら神託があったとしても、そんなに早く攻めてくるワケではないからな」
「お手ちゅうをお掛けちます」
ダンジョンを攻略したら、ナゼか魔王認定されていた件について。
ちくせう、私が何をしたって言うんだよ!
魔女様に引率されて、トボトボと家に帰る。 背中が煤けているって? これ以上、傷に塩を塗りこまないで!
「一つ聞きたいんだが、アレは元々、ホッピングスパイダーなのか?」
「アレ? ああ、ハトリでちゅか。 元のちゅ族はちらないでちゅけど、枕程度の大きちゃでちた」
「ふむ、間違いなさそうだな。 それで、ヒドラの肉を与えるとああなったと?」
「リッチとかリザードマンとか、いろいろ食べたでちゅ」
「それで食べた魔物の能力も獲得したのか?」
「間違いないと思うでちゅ。 でもある程度の量も必要みたいでちゅ」
「それは何匹だ?」
「量でちゅ。 小ちゃいモンちゅターだとたくちゃん必要でちゅ。 ヒドラなら一匹分も必要ないでちゅ」
「なら何とかなりそうだな」
「何がでちゅ?」
「お前が言うところの【僕が考えた最強のモンスター】を作ってみようかと思ってな」
「リアルでやる事じゃないでちゅ!」
「良いではないか、良いではないか。 はっはっはっ」
ヤベエ、魔女様が考えた最強のモンスターなんて、冗談で済まない気がするぞ。
大体どうして私が魔王になって、この魔女様がスルーされているんだ? 神託の責任者、出てこい!
でもアレだろうな。 愚痴を言った所で、どうせ私に討伐隊がわんさか押し寄せてくるんだろ? 何となく、運命の女神には嫌われているっぽいから想像が付くよ。
なあ、お告げを行った神様よぉ。 私は何処で恨みを買ったんだ?
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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