第49話 幼女納得 ~えっ? 即死魔法ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
目の前にはボロボロになったヘルが正座している。 これはOHANASHIを行った結果だ。
「で、ちょくち魔法はおちえてもらえるのか?」
「ええ、即死魔法ですよねぇ。 勿論ちゃんと教えますぅ」
まだ少し、鼻息が荒い様に感じるのは気のせいだろうか? 未だに身の危険を感じるのだが、大丈夫だよな。
「はぁはぁはぁ、ベイナ様の残り香がぁ…って殺気ぃ!」
ちっ、気が付きやがったか。 もう10発ほど殴ってやろうかと思っていたのに。
「それでぇ、即死魔法は要するに強力な自己暗示なのですよぉ」
「自己暗示?」
それってアレかな。 火傷したと強烈に自己暗示を掛けると、肌が爛れたりするとか言う。
「そもそもぉ、死の概念が難し過ぎるんですぅ」
「どゆこと?」
「例えばぁ、心臓を止めても生き返る事もありますしぃ、首を切られても10秒以上はいきてますぅ」
そう言えば、ギロチンで即死するかどうかが議論となって、確かめた事があったらしいな。 結果として切られた首が十回以上も瞬きをしたとか。
「それに、魂を抜いても入れ直せば生き返ったりしますしぃ」
臨死体験の事を言っているのだろうか? でもそう考えると、即死させるのってハードルが高いんだな。
「だからぁ、体全体でぇ、死を認識させるんですぅ」
もしかして細胞単位で死を認識させるのか? 何だか難しそうだぞ。
ならば即死魔法は、個に対して行うモノではなく、むしろ空間に対して行っていると考えるのが正しいのか?
「因みにぃ、広範囲で行えばぁ、広域殲滅即死魔法になりますぅ」
なるほどな。 本質的には同じだと。
「さらにぃ、遅延術式と併用したりするとぉ、即死魔術になりますぅ」
つまり即死魔術は即死魔法の発展版って事か。 なら最初に習得するのは即死魔法だな。
「で、どうちゅれば?」
「【死ね】って空間に対して命令するカンジですぅ。 例え脳や一部の臓器が拒否してもぉ、釣られて死にますぅ」
まるほど、そう言う仕組みだったのか。 魔術じゃなくて魔法である理由が判った気がするよ。
じゃあ隷属魔術を応用すれば、何とかなりそうだ。 後は実験台だが…。
「そんなベイナ様にぃ、ゴブリンを多数用意しましたぁ」
『がんばったよー、褒めてー』
「エライー、エライよー」
『わぁーい♡』
くっ、ハトリを巻き込むとはやりよる。 少しずつ利口になってきているのは歓迎すべき事なのだろうか?
いや、取り敢えずは即死魔法に集中するか。 習得出来たらめっけもんって事で。
さて、折角のゴブリンなのだが、例に漏れずおっ立ててやがる。 思わず殺意が溢れかえるな。
「ちね!」
「ギャギャギャギャギャーッ」
「それじゃぁ、ショック死ですぅ」
えっ、ダメなの? ちゃんと成功した様に見えたのに…。
「次にいって下さいぃ」
死んだゴブリンをハトリがぶん投げて、次の練習台が用意された。 うん、ハトリは手際が良いね。
でもどうすれば良いのだろう。 殺気がマズかったのかな? 命令…命令…命令…うーむ。
「立て」とか「座れ」とかを、強力に強制するカンジだろうか? 命令口調に魔力を合わせて、逆らえなくするイメージだろうか?
「ちね!」
「ギャッ。 ギャギャギャッ」
「あっ、惜しいですぅ。 手とか足とかが壊死してますぅ」
ちっ、ムズイな。 意志がある部分に近くなると、レジストされるのだろうか? 結構大変だぞ。
魔力の鞭を使って強制的に従わせるイメージでどうだろう?
「ちね!」
「ギエッ」
「えーとぉ、一応成功ですけどぉ、何だか魔力効率が悪そうですぅ」
注文が多いな。 サクッと練習台が交換されたので、今度は別のイメージでいってみよう。
魔力で生命力を食べるイメージでどうだろう?
「ちね!」
「グェッ」
「あー、何だか独特ですけどぉ、結果だけ見れば成功ですぅ」
「おおぅ」
流石は私、イメージさえしっかりしていれば、別に命令する必要すら無かったのか。
ヘルの即死魔法が「命令」なら、私の即死魔法は「強奪」だな。
さぁ、ゴブリンを使って、もっと練習するぞぉ! そのフザケた下半身ごと、このダンジョンから消し去ってやる!
少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




