第48話 幼女辟易 ~えっ? ゴブリンですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
湖を渡った対岸から上陸すると、そこはゴブリンの楽園だった。
ギャギャギャッ、ギャギャギャッ、ギャギャギャギャギャッ。
「ウインドカッター!」
「ギャギャギャギャギャッ!」
マジでウザい。 どうにかならないもんかな。
「ねぇ、アレを…」
『ゴブリンは不味いから嫌いー』
あっ、そうっすか。
ゴキブリのようにワラワラと湧いて出るし、かと言って無視するには面倒な相手なんだよな。
だってアイツら、下半身にテントを張りながら近付いて来るんだぜ? 思わず殺すだろ。 大体幼女に対して何を期待しているんだか。
最初は辺り一面を焼け野原にでもしてやろうかと思ったケド、流石に何処まで延焼するか分かったモノではないし、不完全燃焼を起こして一酸化炭素を発生させてしまったら面倒だからね。
仕方なく風の刃で、見つけたら殺す事にしているんだ。 何かVXガス的なモノを用意出来ないかな。
確かVXガスってのは殺虫剤を作成していたら偶然出来てしまった毒ガスで、人間への効果が素晴らしかった事から、兵器運用が始まったモノだったハズだ。
とは言っても魔術での再現は難しいので、別の方法を考えてはいるのだが、中々良い案が浮かばないのだ。
ならば生物兵器として有名な炭疽菌は、発症までに時間が掛かるし、そもそも即効性を求める身としては生物兵器はNGだ。 大体からしてコントロールが難しい生物兵器は、事故以外でマトモな結果を残した事が無いからね。
人の移動が世界規模になった今では有効性に疑問が持たれ、防疫以外の目的で保有しているのは、共産国家くらいのモノだろう。
まあペストが死神に例えられたのだって、日照不足と移動が盛んでない時代だからこそだろうし。
ん? 死神? そういやいたな、そんな奴。
「おーい、ヘルたんやぁ」
『…今更捨てた女に、何の用ですかぁ?』
おぅふ、ウチの死神さんが面倒くさい事になっていらっしゃる。
「とっても優ちゅうなヘルたんに頼みたい事がある」
『…おべっかなんて手遅れですぅ』
くそっ、マジで面倒くさいな。
「何が望みだ?」
『…一日中、スリスリする権利と、クンカクンカする権利を要求しますぅ!』
えっ、一日中、ヘルのオモチャにされんの?
「他の何かで」
『…じゃあ、添い寝権を要求しますぅ!』
よし、イザとなったらしらばっくれれば何とかなるか。
「ちょれで手を打とう」
「ひゃぁほぉうぅぅぅ~! 呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ~んんんん!」
こんなキャラだったかな? それとも何かを拗らせたか?
「さぁベイナ様ぁ、私は何をすれば添い寝出来るのですかぁ?」
「ここら一帯のコブリンをちぇん滅してもらいたい」
「ゴブリンの殲滅ですねぇ、承りぃ!」
おおぅ、殺る気があるのは良い事だ。
「死出への誘いぃ、フルパワーぁ!」
「ちょれは?」
「広域即死魔法ですぅ、てへ♡」
広域即死魔法なんてモノがあるのか、盲点だったな。 いや、流石死神と言うべきか。
即死魔法なんて単体の敵にしか使用出来ないと思っていたけれど、広域に使えるなら生物化学兵器に代替として使えるじゃん。
「後でおちえてくれ」
「喜んでぇ! 手取り足取り乳取りで、くんずほぐれつお教え致しますぅ」
何だよ乳取りって、まだ発達すらしていねえよ!
「あっ、殺り過ぎっちゃたかもぉ」
「ん、何か問題か?」
「ちょっとばかし、ここら一帯を死滅させちゃったみたいですぅ」
「そう依頼ちたのはわたちだが?」
「いや…えーとぉ、周囲の生きとし生けるモノ全てを死滅させてしまったみたいですぅ」
「つまりはゴブリン以外にも、角兎なども対象にちたと言う事か? 問題ないぞ」
「そうじゃぁなくってぇ、アソコの木をご覧下さいぃ」
「ん、木? アレは…枯れているのか?」
「えぇ、動植物や微生物の全てを殺してしまったみたいですぅ」
「ちゅげぇな」
へぇーっ、即死魔法って殺菌も出来るのか。 じゃぁ、周囲は無菌室と同様の状態になっているって事か? 寧ろ便利じゃん。
「褒めてますぅ?」
「褒めてるぞ。 益々ちゅう得ちたくなった」
「やったぁ、チュウ得ですかぁ。 ではブチュゥ」
「うぉっ、何をちゅる!」
うへぇ、ヘルのヨダレでベトベトになってしまった。 汚いなぁ。 取り敢えず躾として10発ほど殴っておこう。
「ああん、コレはコレで、ちょっと癖になりそうですぅ!」
「くたばれロリコン!」
やっぱり、ペットの甘やかし過ぎはダメだな。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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