第46話 幼女傍観 ~えっ? キングリザードマンですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
取り敢えず探索したエリアは、山と谷に囲まれたジャングル地帯。 とっても頑張った、主にハトリが。
いやね、空気の中に漂う臭いとかで、私よりも先に見つけちゃうんだよね。
しかも今までは逃げるために使っていた嗅覚を、狩りのために使用出来るんだから、張り切ってしまうのも仕方が無いと思う。
まあ力関係が逆転しているのだから、当然と言えば当然なのだが。
お陰でモンスターのいない、素晴らしい地域になりましたとさ。
えっ、投げやり? 別にそんな事は無いぞ、楽は楽なんだしさ。
でも思う所が無いワケではないので、今はハトリの上に乗って移動しているんだ。 追い付くだけでも苦労していたからね。
「ちょれで、もう敵はいないの?」
『いないよー。 糸にも反応が無いしー』
あ、それもあったな。
『ついでに分身体からの報告も無いよー』
「えっ、何ちょの便利機能?」
『ゴブリンとコボルト、オークで強化された探索用の感覚器官だよー』
それってもしかして、戦術ネットワーク的なモノ? 自衛隊のI3構想も真っ青だな。
「元々は何の能力?」
『私のだよー』
そうか、元々の能力なのか。 まあモンスターだからね、全てがハエトリグモと同じではあるまい。
それにしても「私」?
「もちかちて、おんにゃの娘?」
『えーっ、気付かなかったのぉー。 ままヒドいー』
「ごめんごめん」
そうかぁ、女の娘かぁ。 何だか感慨深いなぁ。 尊いし。
うん、ちょっとボーイッシュでワイルドなだけだしな。 かわゆし。
「それで、もうちゅぐなの?」
『うん、あの谷の底だよー』
この地域の締めとして向かっているのは、嗅いだことのない生臭い臭いの所だ。 言われてみれば、水の臭いがしないでもないな。
『とうちゃくー』
「おおぅ」
まさに断崖絶壁って感じだな。 落ちるのは遠慮したい高さだ。
切り立った崖の下には、大きな川と湿地帯。 なるほどねぇ。 こんな地域もあるんだな。
「降りるの?」
『飛ぶー』
あ、はい。 さいですか。 確かに飛べるんだったら、糸で降下なんてしないよね。
『じゅあーんぷ』
「うぉ、恐っ」
グライダーの様に空中を滑りながら降下していく。 すると必死で逃げ惑っているリザードマン達の姿が目に入ってきた。
そりゃ恐いよね。 巨大化が止まったとは言え、軽自動車並の胴体に脚を広げた巨大な影が迫って来れば。
『ちゃっくちー』
「ぬぉぉぉ~っ!」
横滑りで何体かのリザードマンを弾き飛ばしながら、減速していく。 その上でシートベルトすら無い状態でしがみ付いている私も必死だ。
ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。
『アレだよー』
「ん?」
確かに他の個体よりも体が大きく筋肉質なリザードマンが、雌や子供を背にして巨大な棍棒を構えている。
『じゅあーんぷ』
「くっ、逃げるのだ! 我が子たちよ! ココは私が時間を稼いでおく!」
「あなたーっ!」「パパーっ!」
微妙に罪悪感を感じないでもないが、この世は弱肉強食。 大人しくハトリの糧になってくれ。
「うぎゃぁぁぁ~っ!」 ボリボリボリ。 中々、素晴らしい音ですね。
まあ、幸なのは背に乗っている私からは、陰になってスプラッタな状況が見えない事だろう。
『生臭いー』
うん、現実ってそんな物だよね。 親子の悲劇も、安っぽい食レポになるんだから。
「ちょっと降りていて良い?」
『わかったー。 食事してるねー』
だよね。 世界中の至る所で繰り広げられる食事風景であり、日常茶飯事だ。
ただ、食べられているのが人間でないってだけで、気にもなら無い光景。
あっ、キングリザードマンのエリア情報が入ってきた。
ふーん、下流に行けば、湖があるのか。 そう言えば、お魚は暫く食べていないなぁ。
少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




