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第31話 幼女鏖殺~えっ? 鎌鼬ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

 ウインドカッターを魔力鎧まりょくよろいで無視しながら、鎌鼬かまいたちが集まっている場所にサーモリック術式をブチ込む。


 被弾した鎌鼬かまいたちが、蚊取り線香にられた羽虫はむしの様に落ちていく。 まあ、対空砲火に属する様な魔術は持ち合わせていないので、代用しているのだが、効果は問題無い様だ。


 対空砲火を模倣するには時限信管や近接信管が必須ひっすになるので、開発をあきらめたのだ。 第二次世界大戦中には存在していた技術とは言え、魔術で応用するにはハードルが高すぎた。


 ちなみに富士総合火力演習でお馴染なじみの同時弾着射撃は、野砲と弾道学、時限信管を合わせた精密射撃の一種だ。 野砲などから発射された弾頭が、地球の自転までも計算に入れた弾道軌道の予測にに基づき、地上10メートル程度の空間で爆発するように時限信管を設定し、複数の野砲などが様々な高度を描く様に時間差で発射するという極めて複雑な射撃技術だ。


 何を言っているのか判らないかと思うが、要するにバラバラで発射された弾頭を、地上10メートル程度の空間で同時に爆発させる技術だと言える。


 例えばアニメなどで次々と飛来する砲弾を、走りながら避けるといった表現があるが、同時に爆発して破片が襲って来るので、確実に殺せる技術と言えば判るだろうか。


 まあ、現在の高価な弾頭ではGPS誘導やレーザー誘導を行えるモノもあるので、アニメなどの表現は第二次世界大戦以前のレベルだとも言えるのだが。


 しかし魔術で代用しようと考えると、第二次世界大戦以前のモノでも再現が困難でもあるのだ。 精々出来たとしても、原始的な原理を用いた技術だけと言えるのだ。


 ただし、レールガンや反物質などは原理自体は簡単なので再現可能だったが、科学技術と魔法理論では実現に関するハードルがまったく違うとも言える。


 結論から言えば、ミサイルや魚雷、誘導砲弾、その他の時限信管や近接信管を使用するモノは、再現は難しいって事だ。 時限信管一つ取っても100分の1秒以下で制御しなきゃ意味無いからね。


 結果として鎌鼬かまいたちほふるのにサーモリックを利用するという馬鹿げた使い方になっているワケで、他意は一切無い。


 とは言え魔術の腕が上達すると、《《対空爆撃》》とも言える意味不明な攻撃が行えるのだから、ファンタジーもあなどれないな。 まあ、実験がてらに鎌鼬を鏖殺おうさつしているのは必要な事として納得して貰おう。


 あっ、一応鎌鼬について説明しておくと、素早い回避能力と何処どこからでもウインドカッターを放てる、一般の戦士や魔術師にとっては強敵である。 ただし、移動速度もチーター程度だし何よりウインドカッターの射程が20メートルも無いので、私にとってはゴブリンと大差は無い。


 風景も林といった感じで遮蔽物しゃへいぶつや視界の悪さなどもあるのだが、魔力探査や赤外線探査、エックス線探査まで行える私からみれば、発見も殲滅せんめつも難しくないのでピクニック気分だ。


 このダンジョンでは、火、氷、岩、風の順番になっているので、階層主はウインドドラゴンを予想している。 まあ違っていても似たようなドラゴンだろう。


 当然このピクニックでは階層主を探索しているのだが、上手うまくはいっていない。 手掛かりが無いからしょうがないね。


 以前の経験も踏まえて、適宜てきぎな水分補給とエネルギー補給も行っているので逼迫感ひっぱくかんは無いのだが、少しじれったい。


 やっぱり上空からの探索した方が良いのかな。 全く探すアテが無いのだけれど。 ウインドドラゴンが洞窟どうくつにいるなんて想像が付かないし、そもそも風属性なら広域移動型じゃないのかな?


 空に上がって周囲を見渡すと、あたり一面が何処どこまでも続く林だった。 まあそうだよね、恐らくは空を高速移動するタイプだろうし、空中戦になるだろうから、地形なんて意味無いワケだし。


 そもそもの話、探知能力で負けるとは思えないから、相手が此方こっちを見つけられるかどうかさえ微妙だ。


 一層の事、周囲を火の海にでもして、おびき出すかな。 まあ、地上でやれば環境破壊なんてレベルじゃないのだろうけど、ダンジョンだし。


 うん、そうしよう。


 周囲に無規則にファイヤーボールを撃ち込み、延焼する様に風魔法で新鮮な空気を送り込む。


 おおぅ、自然現象のファイヤーストームって始めてみた。 ちゃんとうずを巻いて、上昇気流が発生するんだな。


 しかし延焼には思いの外、時間が掛かるんだな。 風魔法で支援するとしよう。



 どの程度時間が経過した頃だろうか、その時がやってきた。


 魔力探査に反応が…って上か?


 驚いたな、天空城でも存在するのだろうか? 反応では直上から、かなりの速度で降下してくる。


 とは言っても、速い猛禽類もうきんるいと同じくらいなので、到着までは大分時間がある。 黒竜の重力魔法と風魔法の並用ほどではない。


 まあ精々、速いスポーツカー程度だ。


 ジェット戦闘機の空中戦を経験したパイロットが、レシプロ機を相手にする様なモノである。 軽く遊んでやる事にしよう。


 落下してくるであろう地点に移動してから、通常の徹甲弾で応戦してみる。 えっ、回避すら出来ないの?


 体の至る所から血の糸を引きながら落下してくる。 だが階層主の死亡が確認出来ていないので、弾丸を撃ち込み続ける。


 おおぅ、意外とタフだな。


 通常の目視距離にまで近づいたので、落下地点から離れて観察してみる。 一応は追撃の準備をしているのだが、何だか様子がヘンだ。


 すると、地面に突き刺さるように激突し、階層の情報が流れ込んで来た。 ああ、最後は自爆なのね。


 ん、シルフィード? 外見は美しい女性だと? よし、狩ろう。


 確か体液か何かが、錬金術の材料になるんだっけか? 体液って聖水か何かだろうか? 採取には注意が必要だな。


 場所は…天空城の一室? OK、OK、問題無い。


 ほぼ垂直に上昇し、重力魔法と風魔法で、万有引力を振り切って加速していく。


 小さな点はやがて大きな塊として巨大化し、その全貌が明かになる。


 浮島に乗っかる様に鎮座する白亜の城。 島の面積の大部分を占有するさまは、まるで専用の台座の様な印象を受ける。 バルスで砕け落ちそうもない形状には、若干の失望を感じる。 ロマンが足りないな。


 城の一階からではなく、居場所である部屋の窓を蹴破って室内へとダイブする。


「何者ですか!?」


 シルフィードと目が合った。 さっさとめ上げて、要件を言おう。


 地面をうように接敵し、肝臓を突き上げる様に拳をじ込む。


「ぐへっ!」


 飛び出さんばかりに見開かれたまなこと、カエルの様に開かれた口から糸を引くよだれ。 妖精がして良い顔ではないが、チアノーゼを発症している色合いは素晴らしい。


 折角(あご)を突き出してくれているので、カエルジャンプで綺麗きれいに撃ち抜いてみた。 血走った白目が、失神を訴えてくる。


 さて、取り合えず沈黙させたので、拘束してから要求を伝える事としよう。


 拷問ごうもんってどうやるんだっけか?



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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