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第293話 首都決戦編 ~えっ? 真祖の真実ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「クッ、コノ程度デ屈スル我デハナイワッ!」

「えっ、嘘だろ? 直撃だったハズだが…」


 どうやら真祖の蜘蛛くもは、他の蜘蛛たちとは防御力が桁違いに高かったみたいです。


 真祖の真実に驚く幼女、ハイガンベイナ8歳です。


 手加減したツモリは無かった。 いや、黒竜の魂との同調率を考えれば過去最高の威力に近かったハズだ。 だが現実は非情である。


「ちっ、回復の暇なんて与えてたまるかっ! プラズマ・ガトリング!」


 現在の真祖は派手なダメージを受けた後であることからも、見た目はボロボロだ。 だが体の各所から煙のようなモノが立ち昇っており、少しずつ回復しているのが見て取れる。


 しかも忌々《いまいま》しい事に、威力をマシマシで放っているプラズマ・ガトリングは有効打にはならない様子だ。 ドラゴンブレスしか通用しないってか? 上等だ。


「ドラゴンブレス!」


 少し威力を高めようとした結果、余裕を持って転移で避けられる。 クソがっ、回復中でも転移が利用可能なのかよっ!


 魔力探査を全開にしながら、背中の翼で高速移動を行う。 だがそんな高速移動は転移で回避されてしまう。


「別に無策ってワケじゃぁねぇんだぜっ!」


 敵の魔力の移動経路を辿って出現場所に向けてもう一度ドラゴンブレスを放つ。 すると、真祖は避ける事すら叶わずにブレスに直撃した。


「ざまぁっ!」


 口ではあおって見たものの余裕があるワケではない。 咄嗟とっさに放ったドラゴンブレスなど、プラズマ・ガトリングと威力を比較しても、精々倍位なものだ。


 それでも相手にダメージが入っている様子なので、このまま続行だ。 中々倒せない敵ってのは、魔力や神力よりも集中力を消耗する。


 そうなればシンクロ率が低下する可能性があるので、何方どちらかと言えばタイムリミットは私の方にある感じだ。


 だが分かった事もある。 相手の転移は距離に限りがあり、しかも必ず転移先は地上である事だ。


 でなければ、相手はとっくに遠くの街にでも転移して傷をいやしていたハズだ。 転移魔法は一般的に思われているよりも繊細なのだ。


 例えば、地球なら自転をしているし極付近では速度がユックリなのに対して、赤道付近では早い。 さらに時間経過では極では早く流れるのに対して赤道では時間の流れが遅い。


 短距離転移では無視出来る範囲なのだが、長距離転移ではそうはいかないのだ。 私でも長距離転移を行う際には演算能力を多く消費する事からも考えて、どうやら真祖は長距離転移が出来ないのか、あるいは苦手としている可能性が高いと思われる。


 それはつまり、相手に過剰な時間を与えなければ逃げられないとも言えるのだ。 どんなモノであれ、攻撃の手段を緩めるべきではないと強く意識した。


 そして真祖の蜘蛛だが、独特な印象を受ける。 よく言えば万能型、悪く言えば器用貧乏だ。


 例えば気配を消して隠れようとする事もあったのだが、暗殺型の蜘蛛に比べると随分ずいぶんとお粗末な印象を受ける。 気配すら上手く消す事が出来ていないのだ。


 確かに再生能力や防御の固さなどを見れば脅威だが、十分に勝機がある気がする。 その為にはとにかく相手の体力を削りきる事が大切だと思われた。


「ドラゴンブレス! ドラゴンブレス!」


 多少狙いが外れたとしても構わずに連射する。 相手はしぶとく逃げ回っている様子だが関係ない。


「チッ、シツコイ奴ダ」

「お前の方こそ、サッサとクタバレよっ!」


 だが、シンクロ率の低下でもしているのか、それともブレスの命中率が低下しているのか、相手が少しずつ回復しているのが目についた。


 迷っている場合ではないか。 そう考えて私は接近戦へとシフトする。


「竜爪! 【爆ぜろ!】」


 何とか竜爪で傷付け呪言での攻撃も行うのだが、爪や牙による攻撃でこちらも負傷を負ってしまう。 幸いにして毒の注入まではされなかったみたいだが、そこからは体力の奪い合いになった。


 もしも毒を注入されてしまえば一気に不利になる様な戦いで、攻撃力と再生力を競う戦いが続く。


 まるでおぼれているモノが必死に藻掻もがく様に、あるいは狂ったかの様に竜爪を振り回す。 傷付け、傷付けられ、竜燐で弾いて更には斬り付ける。


 どうやら耐久性はこっちが上回っている様で、私よりも相手の傷の数が増える。 そんな時間がどれ程の間、繰り広げられたのだろうか?


 10分? 1時間? いや時間の長さなんて問題ではないか。


 敵がこのままではらちがあかないと思ったらしく、近距離からブレスを放とうとしたのである。


 だが私には問題が無かった。 この距離なら呪言をレジストされるとは思わなかったのである。


「【内側から爆ぜろ!】」


 その呪言の後に、蜘蛛の口の中で大爆発が起きた。


「貴様、何ヲシタ」

「ちょっとした嫌がらせをね」


 顔の半分が吹き飛んだ状態では、もう私の呪言に対応する気力も残っていないだろう。 だがら私は、竜爪に呪言の崩壊の力を込めて切り刻む。


「竜爪、千変万化! 【そのままちろ!】」


 そして蜘蛛の真祖は、そのまま朽ち果てた。 終わってみればあっけないモノである。


「さて、ハトリやヘルに任せっ切りになっている場所も心配だし、少し手助けに行ってみるか」


「その必要はありませんよぉ、ベイナ様ぁ」

「あっ、ヘル。 そっちは終わったのか?」

「えぇ、苦労しましたぁ」


「ハトリも頑張ったのー!」


「ハトリもヘルも良くやった。 こっちも今、終わったところだ」


「えーっ、ハトリと一緒にボスを倒す約束はどうなったのー!」

「す、すまん。 今度埋め合わせをするから許してくれ」


「ほう、随分と余裕があるではないか。 それなら次は私と戦って貰おうか」


 その声を聞いたとき、私は背筋が凍るのを感じた。



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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新作:


VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~


https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902

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