第290話 首都決戦編 ~えっ? 激闘の始まりですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「ドラゴンブレスっ!」
「ベイナ様ぁ、撃ち返してきましたよぉ!」
「ちっ、やっぱりかっ!」
首都攻防戦を開始する幼女、ハイガンベイナ8歳です。
こっちがドラゴンブレスを放つと、応射して来やがった。 まぁね、敵だってボサッと待っていたワケではないだろうし、当然の反応といえば当然の結果だろう。
「ベイナ様ぁ、近くに転移反応がぁっ!」
「分かってる! 格闘戦、準備っ!」
「おーなのー!」
開始早々、戦局は泥仕合の様相を呈していた。 視界を赤外線モードに切り替え、暗殺部隊に備えるのだがウジャウジャいやがる。
「【爆ぜろ! 爆ぜろ! 爆ぜろ!】」
近くにいる連中から始末しているのだが、既に囲まれている状態だ。 こりゃぁ完全に敵の罠にハマった様なモノだな。
余裕があれば一撃離脱も考えていたのだが、敵の蜘蛛たちはそこまでは甘く無かったらしい。
「敵の位置が把握し辛いのー!」
「待ってろハトリ! 今、救援に向かう!」
ハトリは気配察知は優れているのだが、敵が見えているワケでは無さそうだ。 敵がそこに存在する事は把握出来ている見たいなのだが、敵が牙を突き立てようとしているのか防御しようとしているのかが判別出来ないのだ。
とは言え勘で剣を振り回しながら敵を数体撃破しているのは、流石としか良い様が無い。 そう、戦えてはいるのだ。 だが有理か不利かと言えば不利な状況だと言える。
それに対して、ヘルの戦い方は特殊だった。 死のフィールドの様なモノを形成して、侵入してくる敵を黙々と殺している。 一見すると地味だが、命だけを刈り取る戦闘スタイルは死体が防壁となり、守りが時間と共に強化されている印象すら受ける。
私は急いでハトリの背中を陣取って、共闘する道を選んだ。 少しでもハトリの負担を減らす事を選択した結果なのだが、すぐさま戦局は膠着状態に陥った。
「くそっ、攻めるつもりが守りに徹しないといけないなんて屈辱だ!」
「ママ、ゴメンなさいなのー」
「いや、単なる愚痴だ。 気にしなくて良い」
都市攻略を無策で攻め落とそうなんて考えた私が悪いのだ。 ハトリは悪くは無い。 それに状況は悪い事には違いないが、最悪とは言えないのだし何か方法があるハズだ。
例えば私はあの最悪だったダンジョンの最下層はどうやって攻略した? もっと臆病に、もっとズルく攻略したのでは無かったか?
姿を隠し、倒せる相手だけど倒していたのでは無かったか? いつからこんな馬鹿正直な攻略方法を取るようになったんだ? 黒竜の魂を自覚してからだったっけ?
ならその力を十全に使えているのか? ただ力を得て奢っているだけじゃないのか?
「そうだな。 私が愚かだっただけか」
「愚かじゃないのー、残念なのー」
「少し黙ろうか、ハトリさん」
「ハイなのー」
そうだよな。 相手だって姿を隠しているのだから、こっちが姿を隠したとしても文句を言われる筋合いは無いハズだ。
「ハトリ、暫くの間、ヘルと協力してここで敵を引き付けて貰えないか?」
「ママはどうすのー?」
「私はズルく卑怯に立ち回ろうと思う」
「一緒じゃダメなのー?」
「そうだな。 敵のボスは一緒に倒そうじゃないか」
先ずは敵の数を減らすことが重要だし、共闘はそれからでも悪くは無いだろう。
『ヘル、聞こえるか?』
『この声はベイナ様ですかぁ? 愛の告白ならいつでも受け付けていますよぉ』
『悪いんだが少しの間、ハトリの事を頼めるか?』
『良いですけどぉ、ベイナ様はぁどうするんですかぁ?』
『少し卑怯な戦い方をしたくなってな。 危険を感じる様ならハトリと退却してもらっても構わない』
『今の「当たって砕けろ」作戦よりはマシだと思いますぅ。 存分に「卑怯」な戦いとやらをやっちゃって下さいなぁ』
『いつも悪いな。 尻拭いみたいな事をさせて』
『本当にベイナ様のお尻を好きにして良いなら許してあげますぅ』
ヘルはいつもの様に余裕がありそうだ。 これなら任せておいても大丈夫だろう。
「ヘルの了承を得た。 悪いがヘルと合流してくれ」
「仕方がないのー。 でもボスは一緒に倒すのは約束なのー」
「勿論だ、ハトリ。 じゃぁ後は任せた」
「了解なのー!」
そして私は熱光学迷彩を発動し、追加で気配遮断や魔力遮断なんかも発動する。 後は竜爪なども伸ばしておけば準備完了だ。
だが地面を移動すると、どうやら歩く振動を感知しているらしく、蜘蛛が警戒体制を取るのが確認出来た。 そう言えば蜘蛛には振動感知もあったんだっけか。
私は黒竜の翼を背中から生やして、宙に浮かんで蜘蛛の1匹を竜爪で両断した。 ヨシヨシ、相手は完全に私を見失っている様子だ。 この調子でガンガン狩るぜ!
そもそもこんな状況に陥ってしまっった原因こそが、実質的にはノープランだった事と、私自身が力を上手く使えていなかった事にある。
作戦などど呼ぶには烏滸がましいが、私自身がアサシンの真似事をして数を減らそうと思う。 やられたらやり返すって意味もある。
そして少し空中に移動して戦場を俯瞰してみると、相手側は指揮する個体と思しき者や攻撃を担当する者、バックアップなどの役割分担などまでシッカリとしている事が分かった。
なるほど、苦労するワケだ。 猪突猛進に攻めてくるバカなんかが地団太を踏むのは当然の結果だったワケだな。
ならばと、指揮を取っている個体がいる場所を目掛けて炎の雨でも降らすとしよう。
「ファイヤーボール・レイン!」
白く輝く炎と玉が、敵の命を刈り取っていく。 これで、ハトリたちの負担も少しは減ることだろう。
さぁ、反撃の開始だ。
私は都市を睨み据えて、一直線にその上空へと向かって行った。 おー、いるいる。 ウジャウジャいやがる。
だが、平和な時間はもう終わりだ。 なぜなら、私がこの都市を地獄に変えるからだ。
そう思いながら、私は有らん限りの魔力と神力を練り込んで、大技の準備に入った。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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新作:
VRMMOゲームをしていたハズが、気が付いたら異世界にいたんだが… ~人を見たら経験値と思え~
https://kakuyomu.jp/works/16818093086783757902